【第77回カンヌ国際映画祭】山中瑶子監督、河合優実主演「ナミビアの砂漠」が国際映画批評家連盟賞受賞 女性監督として最年少受賞

2024年5月26日 08:30


山中瑶子監督
山中瑶子監督

第77回カンヌ映画祭の併設部門である監督週間に出品された山中瑶子監督の「ナミビアの砂漠」が、5月25日(現地時間)国際映画批評家連盟賞を受賞。女性監督として最年少の同賞受賞となった。

山中監督は19歳で撮影、初監督し、PFFアワードで観客賞を受賞した「あみこ」(2017)が各国の映画祭で評判となり、本作「ナミビアの砂漠」は、山中監督の本格的な長編第一作となる本作。主演の河合優実は、学生時代に「あみこ」を観て女優になりたいと思い、山中監督に「いつか出演したいです」と直接伝え、今作でのタッグが実現した。

国際映画批評家連盟賞は、FIPRESCI(国際映画批評家連盟)によって選ばれ、1946年から授与されている賞で、過去にはヴィム・ヴェンダース監督「さすらい」(76)、「パリ、テキサス」(86)、スティーブン・ソダーバーグ監督「セックスと嘘とビデオテープ」(89)、ケン・ローチ監督「リフ・ラフ」(91)、「大地と自由」(95)、アキ・カウリスマキ監督「ル・アーヴルの靴みがき」(11)など、世界の名匠たちの作品も受賞している。

ナミビアの砂漠」は「21世紀の日本を生きる登場人物たちの間に絶え間なく存在する距離を捉え、それらのイメージを通して、現代における神経多様性を大胆不敵に探究している」との理由で、同賞が贈られた。

日本映画としてはこれまで小栗康平監督「死の棘」(90)、諏訪敦彦監督「M/OTHER」(99)、青山真治監督「EUREKA」(00)、黒沢清監督「回路」(01)、濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」(21)と5作品が受賞。「ナミビアの砂漠」の受賞は、濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」に続く快挙となった。※()は受賞年

授賞式には山中監督が登壇し、「パリに旅行に行っていたのですが、こんなにすぐにまた再びカンヌに戻って来られるとは、うれしいです。そしてとてもびっくりしています。このような賞をいただきありがとうございます。監督週間、そして私の映画のスタッフ、キャストのみなさんに感謝を伝えたいです。映画を作るとき、まだ感覚に頼るところが大きいのですが、いっぱい勉強して、もっとうまく映画を作れるようになりたいです。まず自分のことを大切にしてから、次に周りの人、そしてそれが全くの他人に届くように、日々優しくありたいです。ありがとうございます」と喜びのスピーチ。

授賞式後の日本向けの取材には「今回の映画は、ジャン・ユスターシュ監督の『ママと娼婦』に影響されて作ったところがあるのですが、『ママと娼婦』もコンペティション部門ではありますが同じ賞をもらっていますし、日本の監督でも私の尊敬する方たちがいただいてきた賞なのですごくびっくりしています。受賞が決まった時に、グループLINEで『批評家(連盟賞)だ!』とキャストたちに送ったのですが、本当にみんなで称え合いたいと思っています」と受賞直後の心境を明かしている。

ナミビアの砂漠」は今年の夏に日本で公開が決定している。

▼キャストコメント

河合優実
本当に本当におめでとうございます!これまで国際批評家連盟賞に名を連ねてきた素晴らしい作品たちに「ナミビアの砂漠」がならぶこと、言葉にし難い嬉しさです!この映画を発見してくれたカンヌ国際映画祭と、この度賞を授けて下さった審査員の方々、そして改めて、この作品に力を貸してくれた全ての人にいま最大限の感謝をしたいです。これを最高のプレゼントとして、これから私たちの映画が世界中に自由に羽ばたいていきますように!

金子大地
山中監督、そしてこの映画に関わった全ての方々、受賞、おめでとうございます!
本当に嬉しいです。
先日のカンヌ映画祭登壇の興奮がいまだに醒めない中、こんな嬉しい報告を聞くことができて幸せです。このチームで作品を作れた喜びを改めて噛み締めています。
日本での公開、どうぞ楽しみにしていてください。多くの方に今作が届くことを願っています。

寛一郎
受賞おめでとうございます!
カンヌに行けるだけではなく、賞までいただけるとは…。
すごくいいチームで作れた作品だと映画祭を通して再認識しました。
そんなチームで作った作品が、こうやって顕著に結果として現れてくれたこと、とても名誉なことだと思います。
山中監督おめでとうございます。

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