セックスと嘘とビデオテープ
劇場公開日 1989年12月16日
解説
ルイジアナ州の小都市。弁護士のジョンは理想的な家庭を築いているかに見えるが、実は妻の奔放な妹と関係していた。そんな折、学生時代の友人が訪れ、ビデオカメラで性的対話をしようという。心優しき変態者の来訪により、それぞれの男女が自己崩壊と自己発見のスリルを味わっていく。ソダーバーグ監督デビュー作。
1989年製作/100分/アメリカ
原題:Sex, Lies, and Videotape
配給:日本ヘラルド映画
スタッフ・キャスト
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どうせアンはグラハムと最後にくっつくんだろう、と思ってお気楽に見ていたら、徐々にグラハムの非尋常性が浮き彫りにされてきた。そこから映画はぐっと個性的に。
グラハムの正直さ、率直さ、見ていて気持ちいい。
ただ、負い目があるのか、もともとなのか、少しひ弱さも感じる。そこはアンがフォローしていくんでしょうね。
セックスはじめ、人の志向は多種多様で難しいけれど、他人に迷惑がかからない範囲でなら許されていいだろうし、身近な人たちにまで伏せるのはかえって不誠実というものだし、かえって害にもなりうる。グラハムのように率直である方が、本当の人間関係は築きやすいのだわ。
これは<多様性を認め合おう>的なテーマの映画だと思うけれど、そこそここういう映画はありそうに思うけど、もしかして制作当時は新しい感覚だったんだろうか?
2021年10月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
誰しも人に言えない秘密や欠点があったり、それを隠そうとして嘘を吐いたり、変わっている、と言われたくないから無理して周りに合わせたり。けれど普通の人なんていないし、また悩みを打ち明けたところで理解してもらえるかどうかもわからない。
グレアムの病気を治したい、彼を救いたい、とビデオを彼に向け逆質問をするという荒療治に出たアンだが、グレアムこそが嘘で蔓延る関係を嫌い真実を求めようとする唯一の人なのかもしれない。
大抵の映画にはメッセージが詰まっていて、その伝え方はもちろん監督それぞれなのだが、本作のように人の奥底に潜むある種普遍的な性の問題を、このような切り口で伝えてくる映画は、本当に「斬新」と言うしかない。
2021年5月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
YouTubeで『リンカーン』の人気コーナー『朝までそれ正解』を観ていたら『「せ」ではじまる名作映画は?』という質問があった
リンカーンのレギュラーメンバーは『千と千尋の神隠し』とか『セーラー服と機関銃』とか『戦場のメリークリスマス』などと解答
しかし僕が真っ先に思いついたのはなぜかこの作品だった
無意識に記憶の奥底から引っ張り上げてしまった
中学生じゃあるまいしセックスで頭がいっぱいだったわけではない
四半世紀以上前にレンタルビデオ屋で借りたVHSを観て以来だからすっかり忘れていたはずなのに
当時の自分には内容が今ひとつよくわからず難しかったし眠くなった
期待していたモノではなかったし
ヌードは全く出ない
弁護士のジョンと妻アンはセックスレス
アンがセックスを拒否している
精神科医にも相談するアン
ジョンは妻の妹シンシアとこっそり浮気をしている
ジョンは大学時代の旧友グレアムと再会
グレアムは数々の女性に対しセックスに関するインタビューをするのが趣味
それをビデオカメラで撮影しあと全裸でビデオテープを鑑賞する変わり者
やがてジョンとシンシアの裏切りはアンにバレてしまう
低予算のインディーズ映画でカンヌのパルムドール受賞
しかもデビュー作
猥褻だが知的な会話劇
自他ともに認めるおじさんになった今ひさびさにこの作品を観たわけだがわりと面白い
大人の映画である
解説の『心優しき変態者』というフレーズに笑ってしまった
『変態という名の紳士』みたいなものだろう
褒められた経験がないせいか最近のネット民は褒め言葉のボキャブラリーが乏しく「変態」も褒め言葉になっているが僕はそんな文化が大嫌いだ
久しぶりだが色褪せない。無駄や装飾なく、人のあり様に迫る。古典的な真珠のイアリングと思いきや、直感が先ず起動する。そちらの方が説得力を持つ。自分にとっての真実は棚の上にあって見えづらい。
人の行いを撮ったビデオをさらに映画で見る多重構造から切り替わって、観ている視点がジャンプする感覚が面白い。ジェームス・スペイダーのトロッとした視線が印象的。
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