【全てが圧倒的】ホアキン・フェニックスの“凄み”を堪能する、主演5作品
2024年2月15日 16:00

「ヘレディタリー 継承」「ミッドサマー」で知られるアリ・アスター監督の最新作「ボーはおそれている」が、2月16日から公開される。主演を務めたのは、本作でゴールデングローブ賞主演男優賞にもノミネートされた、ホアキン・フェニックス。本公開を記念して、映画史に残るかもしれない“小心者・ボー”を演じたフェニックスの“凄み”を改めて堪能できる主演作5作品を紹介する。

極度の“怖がり”な男ボー(ホアキン・フェニックス)。彼はさっきまで電話で話していた母が突然、怪死したことを知り、母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出るが、そこはもう“いつもの日常”はなくなっていた。そして、やがてボーが挑む“壮大な里帰り”は、世界を徹底的にのみこむ物語へと変貌していく。
衝撃や恐怖を遥かに凌駕する“永遠に忘れられないラスト”が待つオデッセイ・スリラーでもある本作。処方薬と一緒に水を飲めなかったことだけで、自らの死の気配を感じとり、姿の見えない隣人からのクレームにおそれおのく、怖がりボーだが、アスター監督自身が「どうしても彼に演じてほしかた」とラブコールを送ったことでタッグが実現した。
フェニックスについて、アスター監督は「一緒に仕事をする前、ホアキンは世界で最もすばらしい俳優だと思っていたが、今では、その想像以上にすばらしい俳優だと思っている。最高の経験になったよ」と惜しみない賞賛を送っている。

「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを目指していたアーサー(ホアキン・フェニックス)。しかし、彼はやがて悪のカリスマジョーカーへと変貌を遂げていくことになる。
「バッドマン」の悪役として知られる“ジョーカー”の誕生秘話を映画オリジナルストーリーで描き、フェニックスは本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞した。ジョーカーを演じるために20キロ以上も減量したことが話題にもなったが、それはあくまで数字だけの話。ごく普通の優しい人間が闇の底に引き摺られ、色気、狂気、繊細さが同居するジョーカーを演じた。

フランス革命後、天才的軍事力とカリスマ性で皇帝まで上り詰めたナポレオン(ホアキン・フェニックス)。フランス革命後、マリー・アントワネットが斬首刑に処され、国内が混乱する中、手に入れた権力を元に多数の戦争を諸外国に仕掛け、ヨーロッパ大陸を制圧していく。
「グラディエーター」(2000)で知られる巨匠リドリー・スコット監督が、フランスの英雄ナポレオンを、その人物像に焦点を当て、新解釈で描き出した。何十万の兵士を死に追いやる冷酷非道さと同時に、一人の女性ジョセフィーヌを生涯溺愛するという一人の男の多面性は新たなナポレオン像として観客に受け入れられた。

NYを拠点にラジオジャーナリストとして働くジョニー(ホアキン・フェニックス)。ある日、ロサンゼルスに住む姉から、数日間、甥の面倒を見て欲しいと頼まれる。初めての子どもとの共同生活に戸惑うジョニー。だが、やがてそれは、忘れられない大事な時間になっていく。
「ジョーカー」の後に選んだのは、“どこにでもいる、普通の男”の役。人が理解し合うことはこんなにも難しくて、だけど美しいことー気ままな一人暮らしから一転、他者とともに暮らすことになった一人の男の心の心情を、「20センチュリー・ウーマン」(2017)など、一筋縄ではいかない人間関係を独自の目線で描いてきたマイク・ミルズ監督が映し出す美しいモノクローム映像とともに、静かで穏やかに、そして軽やかに演じている。

ゴールドラッシュの時代に生きる、“最強”と呼ばれる殺し屋兄弟の兄イーライと弟チャーリー(ホアキン・フェニックス)。兄弟は、一帯を取り仕切る“影の権力者”からの依頼で、川に沈む黄金を見分けることのできる薬を開発した青年を始末する依頼を受けるが、やがて彼ら自身も気づかなかったそれぞれの思惑と欲望があふれ出す。
フェニックスが演じるのは、凶暴で荒々しいが、どこか憎めない少年のような面影を持つチャーリー。殺し屋という稼業の中で“帰るべき場所を探し続ける”切ないホアキンの姿に引き込まれる。
紹介した作品以外にも、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した「ビューティフル・デイ」(2017)では、元軍人であり、行方不明者の捜索を請け負うスペシャリスト、「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」(2005)ではカントリー歌手ジョニー・キャッシュと、どの作品でも凄まじさを確認できる。
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