第36回東京国際映画祭で城定秀夫監督特集
2023年9月19日 10:00
第36回東京国際映画祭(10月23日~11月1日)は、「Nippon Cinema Now」部門で精力的に作品を発表し続けている城定秀夫監督を特集することを発表した。
同部門は、この1年の日本映画を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映するもの。城定監督は、デビューから100本以上の作品を手がけており、昨年だけでも「愛なのに」「女子高生に殺されたい」「ビリーバーズ」「夜、鳥たちが啼く」など、話題作が立て続けに公開されている。
上映される4作品は、以下の通り(いずれも英語字幕付き上映)。
第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞となる文部科学大臣賞を受賞し、全国の高校で上演され続けている兵庫県立東播磨高校演劇部の名作戯曲を映画化。夏の甲子園1回戦に出場している母校の応援のため、演劇部員の安田と田宮は野球のルールも知らずにスタンドにやって来た。そこに遅れて、元野球部員の藤野がやって来る。訳あって互いに妙に気を遣う安田と田宮。応援スタンドには帰宅部の宮下の姿もあった。成績優秀な宮下は吹奏楽部部長の久住に成績で学年1位の座を明け渡してしまったばかりだった。それぞれが思いを抱えながら、試合は1点を争う展開へと突入していく。
■「愛なのに」
城定秀夫と今泉力哉が互いに脚本を提供しあってR15+指定のラブストーリー映画を製作するコラボレーション企画「L/R15」の1本。古本屋の店主・多田は、店に通う女子高生・岬から求婚されるが、多田には一花という忘れられない存在の女性がいた。一方、結婚式の準備に追われる一花は、婚約相手の亮介とウェディングプランナーの美樹が男女の関係になっていることを知らずにいた。
■「ビリーバーズ」
漫画家・山本直樹がカルトの世界を通して人間の欲望をあぶり出した同名コミックが原作。とある無人島で暮らす2人の男と1人の女。宗教的な団体・ニコニコ人生センターに所属する彼らは、互いをオペレーター、副議長、議長と呼び合い共同生活を送っている。瞑想、見た夢の報告、テレパシーの実験など、メールで送られてくる様々な指令を実行しながら、時折届くわずかな食料でギリギリの生活を保つ日々。それは俗世の汚れを浄化し、安住の地を目指すための修行とされていた。そんな彼らの日常はほんの些細な問題から綻びを見せはじめ、互いの本能と欲望が暴き出されていく。
■「銀平町シネマブルース」
青春時代を過ごした街・銀平町に帰ってきた一文無しの青年・近藤は、映画好きの路上生活者の佐藤と、商店街の一角にある映画館・銀平スカラ座の支配人・梶原と知り合ったことをきっかけに、銀平スカラ座でアルバイトとして働くことに。同僚のスタッフや、老練な映写技師、売れない役者やミュージシャン、映画の世界に夢を見ている中学生など、個性豊かな常連客との出会いを通じて、近藤はかつての自分と向き合い始める。撮影は、埼玉県川越市にある老舗ミニシアター・川越スカラ座で行われた。
また、昨年までの「ジャパニーズ・アニメーション」部門は、「アニメーション」部門として今年からコンセプトを新たに再スタート。これまでは国内の作品のみを上映していたが、今回から海外の話題作も取り上げ、国内の最新作と合わせて9作品上映する。さらに、レトロスペクティブは「海外映画祭と監督」というテーマを掲げ、海外の映画祭で受賞した監督の作品を3本上映するという。
上映作品は、以下の通り。
■洋画作品
「アートカレッジ 1944」(2023)、「深海レストラン」(2023)、「トニーとシェリーと魔法の光」(2023)、「ロボット・ドリームズ」(2024公開予定)、「リンダはチキンがたべたい!」(2024公開予定)
「アートカレッジ 1944」(2023)、「深海レストラン」(2023)、「トニーとシェリーと魔法の光」(2023)、「ロボット・ドリームズ」(2024公開予定)、「リンダはチキンがたべたい!」(2024公開予定)
さらに、ワールドフォーカス部門では、「ラテンビート映画祭」とのコラボレーションによるスペインや中南米の秀作、台北駐日経済文化代表処 台湾文化センターとの共催による「台湾電影ルネッサンス2023」、生誕100周年を迎えるイタリアの巨匠フランコ・ゼフィレッリ特集、スペイン・バスク地方の作品の特集、香港映画の特集といった多彩なプログラムが用意されている。また、韓国での日本大衆文化開放25周年の特別上映として、「シュリ」(デジタル・リマスター版)と「Love Letter」の上映を行う。