伝説的ロックスターの光と影を描く「エルヴィス」 二村ヒトシ&映画.com編集部が語る
2023年4月12日 21:00

TOKYO FMほか全国38のFM局のオーディオコンテンツプラットフォームで、スマートフォンアプリとウェブサイトで楽しめるサービス「AuDee(オーディー)」 と映画.comのコラボ新番組「映画と愛とオトナノハナシ at 半蔵門」。作家でAV監督の二村ヒトシと映画.com編集部エビタニが映画トークを繰り広げる。第7回は、伝説的ロックスター、エルビス・プレスリーの人生を、「華麗なるギャツビー」のバズ・ラーマン監督のメガホンで映画化した「エルヴィス」の感想や見どころを語り合った。
第95回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞ほか計8部門にノミネートされた本作は、「キング・オブ・ロックンロール」と称され、スターとして人気絶頂のなか若くして謎の死を遂げたプレスリーの物語を、「監獄ロック」など誰もが一度は耳にしたことのある名曲の数々にのせて描いていく。
世代的にも「曲は知っているけれど、どういう人生背景があったのか知らなかった」というエビタニ、二村も「なんの予備知識もなく見た。若いころ、ミスタードーナツなどで掛かっていたアメリカの古い音楽という認識」と、ふたりともプレスリーのファンとしてではなく鑑賞したと明かすが、二村は、「自分のプレスリーの知らなさが繋がっていって感動した。いつのまにか自宅で踊りながら見ていました(笑)」と主人公と一緒に“踊れる”作品だったと楽しみ、「強烈だったのは、後に悪いマネージャーとなる人物がサーカス出身の興行師で、(無名の)若者のプレスリーと出会うという流れが『仮面ライダー』だと思った」と、ヒーロー誕生秘話を描く独特の演出方法に唸っていた。
「ロックの形を作ったのがエルヴィスだと分かった。曲も衣装もすべてが新しくて、あの時代に生きていたら、私も傾倒していたと思う」とエビタニ。プレスリーの生い立ちや歴史とともに、音楽とダンスがセクシーさにつながること、誰もやっていなかったことを「初めてやる」ことの重要さなどを語り合い、また、「黒人が歌うような歌を歌ったから逮捕される……そんな時代だったことに驚いた」と人種差別が横行していた当時のアメリカ社会についても言及する。
二村は「エルヴィスが腰を振って踊るのは、ポルノみたいなもの。興奮しちゃった女の子がパンティを脱いでステージに投げたり、エルヴィスが観客にキスしたり…。それは彼が初めてやったこと」と日本の歌舞伎など伝統芸能の歴史と共に解説した。また、今作主演のオースティン・バトラーを「(エルヴィスの)絶頂期から中年期までひとりで演じ、目の芝居がすごい、色気がある」と絶賛した。
本作の後半、大スターとなったプレスリーは精神状態を崩していく。「この映画は芸能の搾取がテーマ。全芸能人が見るべき映画だと思った。取り巻きがすべて悪いということではない、あのトム・ハンクスが演じたマネージャーがいなかったらスターにはなっていなかった」と二村は述べ、「人間は何かに依存しなければ生きていけない」と持論を語る。
世界中を熱狂させたプレスリー自身も、彼の才能を見出し、プロデュースしたマネージャーも晩年は幸せではなかった。エビタニは、同様に才能ある歌手でパフォーマーを題材とした「ロケットマン」「ボヘミアン・ラプソディ」を挙げ、「孤独が彼らの原動力だったのかな。苦しみが曲に灯って、いろんな人に共感されて残っていくのかも」と感想を述べ、優れた音楽が人々に与える力を強調した。
トーク全編はAuDee(https://audee.jp/voice/show/55260)で聞くことができる(無料配信中)。次回は庵野秀明監督作「シン・仮面ライダー」を取り上げる。
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