映画.comで展開する新企画「あの人が見た名作・傑作」は、そんな皆さんの映画選びの一助として、映画業界、ドラマ業界で活躍する著名人がおすすめする名作、傑作をご紹介するものです。第14回は、「オカルトの森へようこそ THE MOVIE」に主演した堀田真由さんです。
(C)2022WOWOW・KADOKAWA・ひかりTV
(C)2017 InterActiveCorp Films, LLC./Merie Wallace, courtesy of A24――堀田さんにとって、生涯のベスト映画は何ですか?
堀田:わたしは「レディ・バード」がすごく好きなんです。地元の滋賀から夢を追いかけて上京した自分と重なる部分があって……。家族に対して、近くにいるとなかなか「ありがとう」の一言が出て来なかったりしますが、外に出てみて初めて地元の良さが分かる部分ってあるじゃないですか。劇場で観て、そういう自分とリンクする部分に触れて、すごくいいなって思いました。
――「
レディ・バード」が、堀田さんの心を揺さぶり続けるのは何故だと思いますか?
堀田:多くの方がそのように感じているのかもしれませんが、映画を観ているとどこか自分の人生と写し鏡のように感じたりすることがありますよね。コロナ前の映画館でわたしは鑑賞したのですが、自分自身すごく悩んでいた時期だったので、主人公のクリスティンとかぶる部分があって心を掴まれました。その後、配信が始まった時にも観ているので、本当に好きなんでしょうね。
――他にも、何か思い入れの深い作品はありますか?
堀田:自分が出ている作品でもいいですか? 平松恵美子監督の「あの日のオルガン」という作品は、私が10代の頃に京都で撮影した作品で、平松さんに本当に色々なものを引き出していただいたんです。当時、泣く演技が全くできなかったのですが、何度も何度も粘って待ってくださいました。
現代の作品ももちろん素敵だと思いますが、時代劇を含めて日本で実際にあったことを後世に残し、伝えていく作品って、日本人としてとても大事だと感じています。戦時中に子どもたちを守るために戦った保母(保育士)さんの姿を通して、女性の強さが出ていて好きな作品なんです。
(C)2017 InterActiveCorp Films, LLC./Merie Wallace, courtesy of A24「
フランシス・ハ」「
20センチュリー・ウーマン」などで知られる
グレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもある米カリフォルニア州
サクラメントを舞台に、自伝的要素を盛り込みながら初めて単独監督作としてメガホンをとった青春映画。閉塞感漂う田舎町でカトリック系の女子高に通い、自らを「
レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、みずみずしくユーモアたっぷりに描いている。主人公クリスティンを演じたのは、若手実力派の
シアーシャ・ローナン。
第90回アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネート。ガーウィグも女性として史上5人目の監督賞候補になった。
(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会第2次大戦末期に保母(保育士)たちが幼い園児たちとともに集団で疎開し、東京大空襲の戦火を逃れた「疎開保育園」の実話を
戸田恵梨香と
大原櫻子の主演、
山田洋次作品の多くで脚本、助監督を務めてきた
平松恵美子の監督、脚本により映画化。1944年、第2次世界大戦末期の東京。品川の戸越保育所では園児たちの安全を確保するため、保母たちが保育所の疎開を模索していた。受け入れ先として見つかった埼玉の荒れ寺で疎開生活をスタートした若い保母たちと園児たちは、日々噴出するさまざまな問題に直面しながらも、互いに励ましあいながら奮闘していく。
(C)2018 Daisuke Igarashi / Kodansha All Rights Reserved.――最近見たなかでは、どのような作品に感銘を受けましたか?
堀田:ちょうど昨日、橋本愛さん主演作を韓国でリメイクした「リトル・フォレスト 春夏秋冬」を観ました。主人公がソウルで夢破れ、故郷に帰って来るのですが、春夏秋冬の季節を味わいながら色々なご飯を作り、故郷の良さを改めて知っていく……という作品なんです。
わたし自身、そういう作品が好きなんでしょうね。なんだかホッとするんです。コロナ禍で大変な状況が続くなか、育った土地って自分を支えてくれる場所だなと思うので。食事のシーンもすごく魅力的に映し出されていて、日常生活を豊かにするというのは本当に大事だなって思いました。映像も綺麗で、主演のキム・テリさんの自然なお芝居も素敵でした。
(C)2018 Daisuke Igarashi / Kodansha All Rights Reserved.大自然に囲まれた小さな集落で自給自足の生活を送る女性の姿を描き、日本でも
橋本愛主演で映画化された
五十嵐大介の漫画「リトル・フォレスト」を、韓国で新たに映画化。恋愛、就職と何一つ思い通りにいかない日常から抜け出し、自然に囲まれた故郷に戻ってきたヘウォンは、旧友であるジェハとウンスクに再会する。2人と一緒に自分たちで農作物を育て、食事をする。そんな生活を送りながら、やがて季節はめぐり再び冬を迎えることになったヘウォンは、四季を通じた日々の中でこれまでの自分を振り返り、新たな春を迎えるための第一歩を踏み出すが……。
(C)2022WOWOW・KADOKAWA・ひかりTV――「
オカルトの森へようこそ THE MOVIE」についても聞かせてください。今作はWOWOWオリジナルドラマの特別編集版に、短編を追加して劇場公開するものです。俳優デビューもWOWOWの作品「テミスの求刑」でしたね。
堀田:アミューズの新人発掘イベント「オーディションフェス2014」に応募したときに頂いたのが、WOWOWドラマ賞でした。デビューのきっかけをくださったのがWOWOW。今回に限らずWOWOWの作品は大好きですし、個人的にはホームに帰ってきた……みたいな感じで臨むことが出来ました。
主演というのは、やりたくて出来るものではありません。当初はホラーに苦手意識を持っていましたから悩みもしましたが、誰もが経験出来ることではないので頑張って演じました。
白石監督の真骨頂ともいえる、編集も兼ねたオリジナルPOV(ポイント・オブ・ビュー=主観視点)ホラーとして描かれている。ホラー映画監督の黒石光司(白石)が、助監督の市川(堀田)を連れて実録映画の撮影のために山奥の家を訪れるところから物語は始まる。そこには、黒石作品のファンだという精神状態が錯乱気味の美女・三好麻里亜(
筧美和子)がいた。「私が体験した出来事は、監督の映画の内容そのものなの」と必死に訴える麻里亜に懐疑的な眼差しをおくっていた市川だったが、黒石のカメラが思いもよらぬ現象を捉え始める。事態は不可解で危険な方向へ猛スピードで進展し、次々と恐怖が迫りくる森の中で、“スーパーボランティア”の男性・江野祥平(
宇野祥平)やイケメン霊媒師のナナシ(
飯島寛騎)に助けられるが、カメラは絶えず恐ろしい出来事を記録していく……。