ブルーサーマル
劇場公開日:2022年3月4日
解説
小沢かなの青春漫画「ブルーサーマル 青凪大学体育会航空部」を原作に、上昇気流(サーマル)を捉えることで飛翔する航空機・グライダーでスピードを競う大学航空部の部員たちの奮闘を描いたアニメーション映画。キラキラしたキャンパスライフへの期待を胸に青凪大学に入学した都留たまきは、あるきっかけからグライダーを傷つけてしまい、弁償するため体育会系航空部に雑用係として入部することに。仕方なく練習に参加するたまきだったが、主将・倉持が操縦するグライダーで初めて飛び立った瞬間、一面に広がる空の美しさにすっかり魅了されてしまう。指導係の先輩・空知や仲間たちと過ごすかけがえのない時間を通し、たまきは次第に自分の本当の居場所を見いだしていく。女優の堀田真由が主人公たまき役で声優に初挑戦。「ルパン三世 カリオストロの城」などで知られる老舗アニメーションスタジオのテレコム・アニメーションフィルムがアニメーション制作を手がけ、「プリンセス・プリンシパル」シリーズの橘正紀が監督を務めた。
2022年製作/103分/G/日本
配給:東映
スタッフ・キャスト
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2022年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
アニメで空を飛ぶ描写といえば宮崎駿で、しかも本作はテレコム・アニメーションフィルムが制作しているので縁がある。『カリオストロの城』などで知られる友永和秀などの重鎮も参加していた。原作者も航空部経験者らしいが、入部の決めてはグライダーを見て「メーヴェだ」と思ったからだとか。しかも、東映で配給なので、奇妙にいろいろつながっている。
本作は飛行シーンが一番の見せ場となる。グライダーを3Dモデルを参考に、すべて手描きで描いているのは素晴らしい選択だったと思う。空をはじめとする美術も美しく、飛行シーンのカタルシスは充分にあった。グライダーが空に置かれているだけじゃなく、きちんと浮遊感があって、飛んでいる描写ができていたように思う。
主人公をはじめキャラクターもたっていて、デフォルメ使い分ける芝居のチョイスもいいし、かなり見やすい作品だった。物語は後半やや駆け足に畳んだ印象だったが、飛行アニメとして満足感高い。意欲的な企画だと思うので、こういう挑戦がもっと増えてほしい。
2022年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
上昇気流(ブルーサーマル)にのって空を飛ぶグライダーを題材にした青春恋愛譚。大学サークルの航空部を舞台にしたスポーツ物として楽しめ、予備知識がないところからグライダーの魅力を追体験することができます。主人公たまきを声優初挑戦の堀田真由氏が好演していて、長崎弁のかわいらしい感じが非常によかったです。
「ナウシカ」のメーヴェを思わせる飛行シーンが素晴らしく、とてもスクリーン映えします。今だとCGを使いそうなところを、あえて手描きの作画で描くことで、クラシックな魅力あふれる描写になっています。「ルパン三世」シリーズで知られるテレコム・アニメーションフィルムの端正な作画と、遊び心たっぷりなキャラクター芝居が両立していて、全体とおしてビジュアル的な見ごたえが大きな作品です。
正直パッと見ではキャラクターデザイン等が魅力的には見えず、そこまで興味はひかれなかったのですが、聞きなれないタイトルや予告編のキャッチ―な曲が気になり見てみました。
そして、意外にも内容は良く、紹介すべき作品だと感じました。
まず、キャラクターデザイン等は、そもそも原作マンガがあるため、ある程度は仕方ない面もあるようです。
そして、何と言っても題材が斬新で面白かったです。
これまで私は、大学生が空を飛ぶというと、「鳥人間コンテスト」くらいしか知識がなかったのですが、実は大学には「航空部」なる「航空機・グライダーでパイロットとして空を飛ぶ」体育会系のサークルが多く存在するのですね。割と本格的な機体で空を飛んでいるので安全性は大丈夫なのか、と心配もしましたが、キチンと厳しく安全第一で気を付けているようです。
そんな未知の世界を舞台に繰り広げられる物語ですが、普通に恋愛をする大学生活を憧れていた主人公の女子大生「都留たまき」が、思いがけない出来事でこのサークルに入ることになり、まさに私のように何も知らない目線で話が進んでくれるので見やすいのです。
そもそも航空機・グライダーでスピードを競うのですが、その際に「上昇気流(サーマル)」をつかまえることで飛びます。
そんな中、まれに「雲などを伴わない、目に見えない上昇気流(サーマル)」が存在し、それを「ブルーサーマル」と呼ぶようです。
主人公「都留たまき」を女優の堀田真由が声優初挑戦しているのですが、これがなかなか上手かったです。そして、冒頭の母とのシーンからドタバタな感じなど、コミカルな面もあり楽しめます。
見て損はない作品だと思います。
2023年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
大学のグライダー部に入部した少女の青春を描く物語。
単行本が5巻迄出ている漫画を原作にした作品ですね。
5巻分の物語が2時間の尺に収まるはずもなく、コンセプトを整理して、そのコンセプトに合わせてエピソードを取捨することが大切な作品だったように思います。
しかし、それに失敗・・・ではなく整理も取捨も放棄してしまったような作品でした。
結果、インパクトの強いエピソードがただ並ぶだけの映画になってしまったように思います。
スポーツ面にコンセプトを置くのであれば、例えば、空知とのエピソード等は割愛すべきでした。その代わり、グライダーの特性、競技のルール、競技シーン・・・そして何より主人公つるたまのパイロットとしての成長譚をしっかりと描くべきでした。
恋愛をコンセプトに置くのであれば、逆に羽鳥は登場させる必要はなかったように思います。空知もしっかりと描き、倉持と空知で揺れる気持ちをしっかりと描くべきでした。
家族をコンセプトに置かないのであれば、姉との因縁は入れる必要すらないと思います。
ラストの展開は無理があり過ぎてついていけず、なぜそんな展開になったのか茫然とすらする内容でした。
映像はそこそこレベルが高く、グライダーという題材も意外性があっただけに、残念に感じる作品でした。
私的評価は、当然のように極めて厳しくなりました。