第74回カンヌ映画祭、濱口竜介監督作に4冠 最高賞は仏女性監督のホラージャンル「Titane」
2021年7月18日 11:30

第74回カンヌ国際映画祭が現地時間の7月17日に閉幕し、下馬評の高かった濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が日本映画として初となる脚本賞に輝いた。また、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞という3つの独立賞も受賞した。
壇上に上がった濱口監督は、「まずお礼を言いたいのは、この物語を与えてくれた原作者の村上春樹さんです」と述べたのち、およそ3時間にあたる脚本の執筆を、共同脚本家の大江崇允さんに励まされたことを語った。さらに続けて、「脚本は映画に映らないので、それを素晴らしいと言って頂けるのは役者たちのおかげです。役者たちこそ、わたしの物語です。どうか海の向こうにいる俳優の方たちに拍手を送っていただければと思います」と語り、会場の拍手を誘った。

最高賞のパルムドールには、ジュリア・デュクルノー(「Raw 少女のめざめ」)の長編2作目「Titane」が輝いた。女性監督がパルムドールを受賞するのは、1993年のジェーン・カンピオン作「ピアノ・レッスン」以来2度目となる。
デュクルノーは、ホラージャンルに相当する今作の最高賞受賞に驚いた様子で、声を震わせながら、「自分の映画は完璧じゃないことはわかっています。審査員のみなさんが映画の多彩さを認めてくれたこと、また(自分の映画のような)モンスターを受け入れてくれたことに感謝します」と挨拶をした。
グランプリはアスガー・ファルハディの「Un Heros」と、ユホ・クオスマネンの「Hytti N°5」が分け合い、監督賞には「Annette」のレオス・カラックスが輝いた。カラックスは授賞式を欠席したため、映画の原案と音楽を担当したスパークスのふたりが、代理で賞を受けとった。

女優賞は「The Worst Woman in the World」のノルウェー人女優、レナート・レンシブに、男優賞は「Nitram」に主演したカレブ・ランドリー・ジョーンズにわたった。審査員賞も今回は2作で分け合い、ナダフ・ラピドの「Le Genou d’Ahed」と、アピチャッポン・ウィーラセタクンの「Memoria」が受賞した。アピチャッポンはスピーチでパンデミックの状況に触れ、タイや本作を撮影したコロンビアや、ワクチンが普及していない国の政府に対して、「どうか行動を起こして欲しい」と呼びかけた。下馬評が高かったポール・バーホーベンの「Benedetta」は受賞を逃した。
スパイク・リーは記者会見で、パルムドールのチョイスについて尋ねられると、「キャデラックを相手に(ヒロインが)妊娠するような映画をこれまで見たことがなかった(笑)」と語り、賞の割り振りについては、「とても興味深い作品が多かったが、全部に賞をあげることができない。審査員メンバーと多くの議論を交わした」と語った。

今年はコンペティションの作品が24本と、例年に比べて多い上に、名前のある実力派が揃っていたため、かなりの激戦であったものの、結果的に若手が評価された年となった。カンヌにとっては、パンデミック後初の開催となり、いろいろと不便な面も見られたが、無事に有終の美を飾ることができ、さまざまな点で歴史的な年になったと言えるだろう。(佐藤久理子)
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