女優・小川紗良、長編映画初監督作はベテラン撮影監督・山崎裕とタッグ!主演は小川未祐
2020年1月16日 10:00
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[映画.com ニュース] 昨年放送されたNHK連続テレビ小説「まんぷく」での好演が記憶に新しい女優・小川紗良が、長編映画初監督作「海辺の金魚」で、「ワンダフルライフ」や「誰も知らない」で知られるベテラン撮影監督の山崎裕とタッグを組んでいることが明らかになった。23歳の小川と79歳の山崎は、どのように出会ったのか……。小川監督、今作で主演を務めている小川未祐(「よこがお」「スペシャルアクターズ」)に話を聞いた。
紗良が監督、脚本、編集を兼ねる今作は、高校卒業を控えた18歳の花(未祐)が主人公。母親が起こした事件が原因で幼少期から施設で育ったという設定。施設で過ごすことができる最後の夏、花は母を取るか、施設の子どもたちを取るかという人生最大の選択を迫られる。花の視線の先には、1匹の金魚。母との記憶をめぐりながら、花は金魚を手に海へ向かう。
紗良は、女優として「イノセント15」「ウィッチ・フウィッチ」などに主演しているが、これまでに短編映画3本を監督している。なかでも、未祐が主演した「最期の星」は、第40回ぴあフィルムフェスティバルのコンペティション「PFFアワード」に選出。早稲田大学在学中は、同大の基幹理工学部表現工学科で教授を務める是枝裕和監督のもとでも学んでいる。
今作の企画は昨春に立ち上がったが、紗良は当初から実母の故郷である鹿児島県阿久根市での撮影を熱望していた。その甲斐あって、多くの阿久根市民、同市フィルムコミッションの全面協力を得て、昨年8月下旬にクランクイン。10日間の撮影を終え、現在は仕上げに入っており、今春の完成を予定している。
撮影監督を山崎にオファーしようと思った理由を聞くと、紗良は「そんな無謀な考えが浮かんだのは、子役ではない鹿児島の普通の子ども達が10人ほど出演しているのですが、彼らを一番自然な形で撮ってくださる方はどなただろうと考えました。そして、佇まいと眼差しがしっかりしている未祐ちゃんの魅力をそのまま切り取ってくださる方は……と悩んでいたときに、どうしても山崎さんにお願いしたいと思っちゃったんです」とほほ笑む。そこからの行動力には驚きを禁じえない。「プロットと手紙と過去作をお渡ししようと、山崎さんのオフィスのポストに入れようとしたら、たまたま山崎さんと鉢合わせて、これは声をかけるしかない! と。そうしたら、すぐに企画書を見てくださり、お返事をいただきました」。
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紗良の過去作を見た、山崎の第一声は「映画っぽいね」だったという。これにはショックを受けたようで、「グサッときました。『ああ、トップの方が見ると映画っぽいと思うのか』と。今回は初めての長編だったので、ちゃんと“映画”にしたいと強く思いました。山崎さんは脚本も見てくださり、とにかく色々と相談に乗っていただいた。常に“映画っぽい”ものを省こうと思いながら撮影に臨んでいました」と述懐。さらに、「仕上げの時に『僕は画を撮るのではなく、対象を撮るんだ』とおっしゃっていた。画ではなく、その外に広がっている世界、人の心の中といった対象を撮りたいんだと。『ああ、そういうことか』とすごく納得しました。“それっぽい”を排除し、対象を見るということを学ぶことができました」と金言を得たようだ。
一方の未祐は、「『最期の星』のときは何も分からず必死でした。あれからの2年半、色々な経験をさせていただいて、紗良さんとまた映画を作れる! ということが本当に嬉しかったんです。私なりに出来ることが増え、一歩ずつ着実に進んでいるつもりだったんですが、いざ現場へ行ってみたら余計なものがいっぱい付いていて壁にぶち当たりました」と胸中を明かす。それでも、撮影2日目の夜に港で話し合ったそうで「背負い過ぎていたものをおろせて、その辺からちゃんと生きているという実感を持ちながら演じることが出来ました。このタイミングでこの作品を出来たことに意味があるなと感じています」と語る。
真摯な眼差しを注ぐ未祐は、心根もどこまでも真っ直ぐだ。今年は「脳天パラダイス」(山本政志監督)の公開を控えるが、映画への思いは増すばかり。「始めたばかりの頃は別世界のように感じて、見ていた世界と自分がやっていることがどうしても一致しませんでした。でもお仕事を続けているうちに、私の中で映画というものがどんどん大きくなっているんです。幅広くお仕事をさせていただきたいですが、私は映画が好きだし、映画を作っている人たちが好き。そこだけは変わらないだろうなと思います」。
水道橋博士から「和製ジョディ・フォスター」と称されたことのある紗良は、18年9月に行った映画.comのインタビューで「女優として目指すのは朝ドラ」と話していた。これは、「まんぷく」出演で実現したことになる。現在はフジテレビ系の連続ドラマ「アライブ がん専門医のカルテ」に出演中だが、いまは何を見据えているのだろうか。「当時は目標のひとつだったのですが、実際に出演させていただいて思ったのは、朝ドラがスタートだったということ。今は、朝ドラのおかげで広がったお仕事を通して毎回違った刺激を受け、学んで…というのを繰り返している時期です。次の到達点が何なのか見えていないのですが、すごく先の見えない冒険を続けている感じです」。
顔を紅潮させながらこう話すと、未祐とともに屈託のない笑みを浮かべる。規格外の才能を秘めた2人の“小川”には、映像業界からの注目度は増すばかりで、今後も目を離すことができそうにない。
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