富田靖子、大林宣彦監督作「さびしんぼう」を黒澤明監督が感動していたと知り大興奮
2019年11月3日 22:08

[映画.com ニュース] 大林宣彦監督の「さびしんぼう」が11月3日、第32回東京国際映画祭の特集上映「映像の魔術師 大林宣彦」で上映され、ティーチインが行われたが、登壇予定だった大林監督は体調不良のため急きょ欠席となり、俳優の富田靖子、小林稔侍が登壇した。
「今日は皆さんにお会いできて非常に恥ずかしい思いをした。30数年前の僕だった。失礼しました」(小林)、「スクリーンで上映されると聞き、いても立ってもいられず来た。今日は何でも聞いてほしい」(富田)と挨拶したあと、司会の安藤紘平氏が大林監督の欠席について「今朝、メールをいただいた時は来ると言っていたが、その後、『体調があまりよくなく周りの人に止められた。観客の皆さんと富田さんと小林さんに本当に申し訳ない』と連絡が来た」と経緯を説明した。
大林作品の常連である小林は、今作が初の大林組。戦中から終戦を経験し、常に外国のあとを追いかけて育ってきた自身の生い立ちを説明したあと、「監督とニューカレドニアにロケに行った時、大勢の外国の方が協力してくれて、監督の『用意、スタート』の号令で動くのが不思議だった。大林監督の作品では、そういう体験が一番の思い出」と語り、「僕は監督作品の出演者の中でも最後の年代の人間。監督の病もありますが、何とも言えない気持ちで」と言葉を詰まらせた。さらに、7月に今作があるイベントに呼ばれた話を紹介しながら、「つたない俳優でもいいセリフをしゃべると、こんなに映画っていうのは力があるんだというのをこの年になって目の当たりにした」と作品への感謝を語った。
一方、「何でも話す」と言った富田は、撮影時の衣装が自らの私物だったと告白。「その時に私が着ていた服がそのまま衣装になった」と明かした。ピアノの演奏シーンは、プロのピアニストが弾いた音に合わせて手の動きだけ練習したが、最後に尾美としのりが弾いているのは大林監督との“2人羽織”だったと暴露し、「監督が弾きながら『用意、スタート!』と言っていた」と話すと、小林が「監督は若い頃、ピアニストになりたかったけど、野球か何かで指をケガして諦めたという話を聞いたことがある」と意外な一面を披露した。また、今作に感動した黒澤明監督がスタッフ全員に見ることを進言し「夢」が出来た話を聞いた富田は、「今の今まで知らなかった。ものすごく光栄です」と大喜びし、興奮のあまりワンピースのホックが外れるハプニングも見られた。
Q&Aでは、同作が人生ベストワン映画だという観客が「映画を見たあとに富田さんと小林さんのトークが聞けるのは夢のよう。映画を見ながら泣いた」と興奮気味に語り、今だから話せるエピソードを求めた。富田は「監督はほとんど声を荒げることがないが、撮影中に1度だけ大声を出した。それは撮影中に犬が通りがかり、それをスタッフがよけようとした時、『ダメだ! そのまま通らせろ』と言った」と監督の人柄が伝わる話を紹介していた。
「さびしんぼう」は、広島・尾道を舞台に少年の淡い恋を描いた青春ファンタジー。“大林ワールド”を代表する作品で、主人公は監督の分身と言われている。「転校生」「時をかける少女」に続く“尾道三部作”の完結編。第32回東京国際映画祭は、11月5日まで開催。
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