山形国際ドキュメンタリー映画祭2019受賞結果発表! 8時間超えのワン・ビン新作に栄冠
2019年10月17日 20:00

[映画.com ニュース]10月10日から山形市で開催されていた山形国際ドキュメンタリー映画祭2019の受賞結果が発表され、ワン・ビン監督の「死霊魂」が、インターナショナル・コンペティション部門の大賞となるロバート&フランシス・フラハティ賞に輝いた。
1986年から隔年で開催されている山形国際ドキュメンタリー映画祭は、今年で30周年&16回目を迎え、映画祭全体で176本の作品を上映。コンペティション部門の「インターナショナル・コンペティション」「アジア千波万波」では、130の国と地域から2371本の応募があり、その中から36作品が披露された。
「死霊魂」がとらえているのは、50年代後半に起きた中国共産党の反右派闘争で粛清され、ゴビ砂漠の中にある再教育収容所へ送られた人々の姿。生き抜いた人々が語る壮絶な体験と、収容所跡に散乱する人骨の映像――ワン・ビン監督は「無言歌」「鳳鳴(フォンミン) 中国の記憶」で描き続けたテーマを追い続け、8時間を超える証言集にまとめあげてみせた。10月16日に行われた表彰式では「『人間の本質』に分け入って行く稀有な叙事詩である。映画の本質に分け入って行く稀有な叙事詩である。存在はもっとも強力な証拠である。映画が歴史を呼び覚ます」という言葉がおくられた。

「インターナショナル・コンペティション」は、審査委員長をオサーマ・モハンメドが務め、ホン・ヒョンスク、サビーヌ・ランスラン、 デボラ・ストラトマン、諏訪敦彦が審査を担当。総評では「我々審査員は、15本の映画を見ることで、その選択の豊かさと多様性がもたらす現代の世界のビジョンに、深く心動かされ、映画祭の期間を通して心を満たされることが出来た。拘束された人々、消された人々、声なき者たち、不在の者たち、女性たち、故郷を失った者たちに目を向ける映画たち…それは決して容易に映画として達成できるものではなく、映画作家たちはその表象のためのアプローチに多くのリスクを自らに課している。私たちが見て来たそんな映画たちは、映画というメディアには力があり、未だに世界を変えられる可能性を保持していることを、確信させてくれたのである」と述べられた。
山形市長賞(最優秀賞):「十字架」(テレサ・アレドンド監督、カルロス・バスケス・メンデス監督)
優秀賞:「ミッドナイト・トラベラー」(ハサン・ファジリ監督)、「これは君の闘争だ」(エリザ・カパイ監督)
審査員特別賞:「インディアナ州モンロヴィア」(フレデリック・ワイズマン監督)
奨励賞:「ハルコ村」(サミ・メルメール監督、ヒンドゥ・ベンシュクロン監督)、「エクソダス」(バフマン・キアロスタミ監督)
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