ジョージア州の人工妊娠中絶規制法にエンタメ界が反応
2019年6月30日 07:00
[映画.com ニュース] 米ジョージア州で人工妊娠中絶を厳しく規制する新たな州法が成立したことを受け、ハリウッドのメジャースタジオとメディア大手各社が同州での撮影取りやめや計画の見直しを相次いで表明するなど、エンタテインメント業界に波紋が広がっている。
米共和党のなかでも超保守派として知られるブライアン・ケンプ同州知事はこのほど、州議会で新たに可決された人工妊娠中絶規制法案に署名。2020年1月1日発効予定の新法は、胎児の心音が確認できる段階に入って以降の中絶を禁じるもので、一般的には妊娠6週目に該当する。
新法の成立に対し、プロチョイス(中絶権利擁護派)のリベラル派が大多数を占める米エンタメ界は強く反発。米ストリーミング最大手Netflixのテッド・サランドスCCO(チーフ・コンテント・オフィサー)が、「新法が施行された場合、ジョージア州への全ての投資を見直す」と同州からの事実上の撤退を表明したのを皮切りに、ウォルト・ディズニー、ソニー・ピクチャーズ、ワーナーメディア、NBCユニバーサルといったメディア大手がこぞって声明を発表し、同様の考えを示した。
ディズニーのボブ・アイガー代表兼CEOが、新法の導入によりジョージア州で働くことを望まない人が多数出るという見通しから、同州での撮影を続けるのは「極めて困難」になるとの考えを述べた一方、ワーナー・ブラザースと有料チャンネルHBOを傘下に置くワーナーメディアは「状況を注視している」としたうえで、「新法が施行されることになれば、ジョージア州での新作の撮影を再考する」と表明。同じくNBCユニバーサルとソニー・ピクチャーズも、新法の施行が「今後の撮影地の選考に大きな影響を及ぼすのは必至」と述べている。
州内で撮影された映画・テレビ番組の製作費に対して最大30%の税額控除を認める税制優遇制度と積極的なロケ誘致によって、全米有数の撮影拠点へと成長したジョージア州では、昨年1年間だけで映画とテレビ番組計455作品の撮影が行われ、9万2000人の雇用創出と27億ドル(約2900億円)の経済効果を同州にもたらしたとされる。
人工妊娠中絶規制法の成立に抗議してジョージア州からの撤退を表明したのは、ハリウッドメジャーだけではない。米バラエティによれば、「スーパー!」「スイス・アーミー」などインディペンデント映画を数多く手がけてきたプロデューサーのミランダ・ベイリーが、同所でクランクイン予定だったブリアナ・ヒルデブランド(「デッドプール」)主演の新ドラマ「Time Capsule(原題)」の撮影を急きょ取りやめにしたほか、人気ドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のリード・モラノが監督を務めるアマゾン・スタジオの新ドラマ、「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」のクリスティン・ウィグ&アニー・ムモロが再タッグを組むライオンズゲートの新作コメディ映画も、同州でロケハン中だったスタッフを呼び戻し、新たに撮影地を探す決定を下したという。
その一方で、ジョージア州での撮影をボイコットすれば、地元の労働者が経済的ダメージを被ることになるため、別の手段で抗議すべきだと訴えるフィルムメーカーもいる。共同で制作総指揮を務める話題の新ドラマ「Lovecraft Country(原題)」を同州で撮影中のジョーダン・ピール監督とJ・J・エイブラムス監督は、撮影地を他州に移す代わりに、自分たちが受け取った報酬の一部を、アメリカ自由人権協会および中絶権擁護諸団体に寄付すると表明している。

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