くまもと復興映画祭開幕!行定勲監督、高良健吾、奥田瑛二らが熱いメッセージ
2019年4月20日 11:00
熊本地震から3年。「復興に邁進してきた熊本に映画の力で元気を与えたい」と、今年も映画祭のディレクターを務める行定勲監督は「この映画祭の“復興”には、常に前に進んでいく映画祭にしたい、という思いがあります。10年後、20年後(復興した後も)、映画祭から“復興”の文字はとりたくない」と熱い思いを語った。
同県出身で毎年参加している高良は、「復興映画祭が3年目を迎えることができて、本当に嬉しい。毎回、映画祭や観客の方から受け取ることの方が多くて、訪れるたびに、熊本はめちゃくちゃ良いところ、最高って思います」と郷土愛を語り、建て直しが進む熊本城についても言及した。「少しずつ元に戻っていく姿を目にすることで、僕らも復興を感じることができる。改めて熊本城の凄さを感じています」。今年は、主演作「多十郎殉愛記」を引っさげての参加となった。
映画祭のオープニングを飾ったのは「洗骨」。今年の2月に公開となった照屋年之監督作で、沖縄の一部離島に残っている“洗骨”という風習を通して、バラバラになっていた家族の再生と、親から子への命のバトンタッチを描いたヒューマンドラマだ。
上映前の舞台挨拶には、主演の奥田瑛二、水崎綾女、古謝美佐子が登壇し、行定監督が登壇。妻を亡くし酒浸りになった父親・信綱を演じた奥田は、「熊本とは縁が深くて、映画の撮影や舞台でも来ていますし、飲み友だちもいます。自分が携わった作品の8割をDenkikan(熊本市の映画館)で上映してもらっている」と感謝を伝えた。同作をオープニングに選んだ理由について、行定監督は「この映画で描かれる“死”が“生”を導き出すエンディングがとても素晴らしかった」と明かし、「俳優・奥田瑛二の新境地になったのではないか」と最敬礼。その背景には照屋監督の妥協のない演出があったそうで、「まだ奥田瑛二が残っています」とテイクを重ねる撮影現場だったと秘話も語った。
そして、大西一史熊本市長の「この市民会館のステージも客席も地震によって崩れ落ち、当時は今日のように、ここでまた映画を見られる日が来るとは思っていませんでした。3年間、多くの人たちに元気を与えてもらいました。みなさんと一緒に素晴らしい映画を楽しみ、熊本の復興を心震わせながら、前に向かって頑張っていきたい」というメッセージと共に、くまもと復興映画祭は開幕した。
映画祭の目玉である特集上映、今年は女優・有村架純の特集で、作品は「かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発」と「ナラタージュ」。両作品の上映後には有村を招いてのティーチインが開催される。ほかにも「デビュー作には魂がこもっているので、その原石のような映画を今このタイミングで見てほしい」と、今年も行定監督が太鼓判を押した若手監督たちの作品が招待作品として上映される。
くまもと復興映画祭は、4月21日まで開催。