天海祐希、吉永小百合と18年ぶりの共演で“最高の相棒”に「小百合ちゃんは僕が守る!」
2019年2月13日 06:00
[映画.com ニュース]吉永小百合が主演を務め、天海祐希と約18年ぶりに共演する映画「最高の人生の見つけ方」の撮影現場が1月31日、このほど報道陣に公開された。「千年の恋 ひかる源氏物語」(2001)以来、2度目の共演となった吉永と天海。あうんの呼吸でセリフを掛け合い、撮影の合間には和やかに談笑する2人の姿――天海は吉永の“最高の相棒”になったからこそ、ある決意を抱いていた。
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが出演した米映画「最高の人生の見つけ方」(ロブ・ライナー監督)を原案とする本作は、主役を女性に変更。人生のほとんどを家庭に捧げてきた主婦・北原幸枝(吉永)と、人生のほとんどを仕事に捧げてきた社長・剛田マ子(天海)は、突然の余命宣告を受ける。入院して初めて「自分の人生がむなしい」と気づいた2人は、ひょんなことからある12歳の少女の「死ぬまでにやりたいことリスト」を手に入れ、項目を代わりに実行すると決断する。
メガホンをとるのは「ジョゼと虎と魚たち」などで知られる犬童一心監督。「(吉永は)ある種“伝説”のようなところにいる女優さんですよね。日本映画史を背負ってきている。その点を意識はしますが、僕の性格上、吉永さんの映画を撮るからといって、プレッシャーを感じることはない」と語りつつも、「吉永さんを撮っている時、山田洋次監督、浦山桐郎監督、中平康監督、そういった方々の“影”が見えることがありますね。その人たちと一緒にいるような感覚です」と告白。撮入後、山田監督と対面する機会があったようで「『頑張れよ』と。それは多分『ちゃんとやれよ。少なくとも俺が面白いと思える映画を作って欲しい』ということかな(笑)」と振り返っていた。
本作で目指しているのは「(吉永の)キュートな感じを映画のなかに残すこと」と語る犬童監督。一方、天海については「コメディエンヌとしての力がある方。ちょっとしたディティールで、そのシーンを笑える方向に持っていける。そこに映画のタッチが助けられている」と厚い信頼を寄せているようだ。初タッグとなる吉永と天海を伴い、犬童監督が向かったのは、古都・京都。大女優2人の来訪に、同地に住む人々、そして遠方から訪れた観光客もざわつくばかりだ。
小雨舞うなか、吉永と天海が姿を現したのは、鴨川に架かる五条大橋。欄干に寄り、景色を眺めながら一言二言会話をするという短いカットだったが、牛若丸と弁慶が出会ったという“伝説の場所”だったこともあり、2人の背後には多くの観光バスが行き交う。ふと車内を見てみると、和装姿の吉永と天海に気づいた乗客たちが、騒然といった様子で視線を遣っていた。名残惜しそうな人々を乗せ、バスは無情にも走り去っていく――そんな光景が何度も繰り広げられていた。
続けて訪れたのは、1972年に創業した珈琲店「からふね屋珈琲」(三条本店)。幸枝とマ子が「死ぬまでにやりたいことリスト」のひとつにあった“日本一のジャンボパフェを食べる”という項目を実行するシーンの撮影が行われた。30人分はありそうなパフェが運ばれてくると、あまりの大きさに目を丸くする幸枝とマ子。犬童監督は、吉永と天海への演出だけでなく、エキストラの反応、小道具の配置を細かく指示、台車に乗って運ばれてくるパフェをGoProで活写するという手法を駆使しながら、スムーズに撮影を進行していった。
同日に行われた会見では「天海さんは“最高の相棒”です。今回の撮影はハードなんですが、ある時は兄貴のように、ある時は娘のように励ましてくれます」と胸中を吐露した吉永。一方、天海は開口一番、自らの特徴的な髪型を引き合いに出して「こんにちは。中森明菜です」と発言して爆笑をかっさらう。そして「小百合さんと18年ぶりにご一緒させていただけることが、まさに夢のよう。『本当は夢なんじゃないかな?』と思ってしまう毎日の連続です」と話すと、本作への並々ならぬ意気込みを明かした。
天海「とても大きなことを言う感じになってしまいますが…小百合さんと18年前に共演させていただき、また今回もご一緒させていただくということ、私にとっては大きな、大きな意味があると思っています。お仕事されている姿、お芝居をされている姿、それを毎日見ることができているということは、私の人生にとって大きなものになっていく。経験させていただいたことを大事にしていきたい。そして『小百合ちゃんは僕が守る!』という気持ちで毎日現場にいます(笑)」
18年ぶりの共演とは言うものの、プライベートでは食事に行き、芝居を一緒に見るほどの仲だという吉永と天海。「(撮影中にも関わらず)役を離れて“彼女と2人で歩き回っている”ような表情になってしまっている部分が、ちょっと心配(笑)。でも、それでもいいのかしらと思うんですよね。素晴らしい旅を通じて、色々な表情を気張らずに見せられたら」(吉永)という言葉を受け、天海は自らの役を生き抜くだけでなく「今まで見たことのない吉永さんの姿を映画のなかに残したいんです。私が知っている小百合さんのお茶目なところを、幸枝という役に被せて表現できたらいいなと思います」と使命感を抱いているようだ。
原案となっている「最高の人生の見つけ方(2007)」について「本当に素晴らしい映画」と評した吉永は「今回の作品は、その原案に勝るとも劣らないドラマがあるんです。(幸枝というキャラクターが担うのは)家族というテーマ。バラバラになっていた家族がどうやってひとつになるか……幸枝がそれぞれへの思いをどう伝えるかという展開があるのですが、私自身もとても好きな部分。是非見ていただきたいです」とアピール。また撮影に使用されたジャンボパフェにちなみ「甘いものに関する思い出話は?」と問われると「10代の頃、とっても忙しくて、ストレスの解消方法といえば、甘いものを食べることだけ。ロケの合間に11個のケーキを食べた思い出があります。(甘いものは)大好き」(吉永)、「子どもの頃から駄菓子が大好きなんですね。麩菓子だったら何袋でも食べられますよ。あれを主食にしてもいいくらい(笑)」(天海)と回答し、場の雰囲気を和ませた2人。それぞれの発言にしっかりと耳を傾け、時に笑い、時に深く頷いてみせる姿からも、互いにとって“最高のパートナー”を見つけたことがうかがえた。
「最高の人生の見つけ方」は、今秋に全国で公開される。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
第86回アカデミー作品賞受賞作。南部の農園に売られた黒人ソロモン・ノーサップが12年間の壮絶な奴隷生活をつづった伝記を、「SHAME シェイム」で注目を集めたスティーブ・マックイーン監督が映画化した人間ドラマ。1841年、奴隷制度が廃止される前のニューヨーク州サラトガ。自由証明書で認められた自由黒人で、白人の友人も多くいた黒人バイオリニストのソロモンは、愛する家族とともに幸せな生活を送っていたが、ある白人の裏切りによって拉致され、奴隷としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。狂信的な選民主義者のエップスら白人たちの容赦ない差別と暴力に苦しめられながらも、ソロモンは決して尊厳を失うことはなかった。やがて12年の歳月が流れたある日、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会う。アカデミー賞では作品、監督ほか計9部門にノミネート。作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門を受賞した。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。