第75回ベネチア映画祭賞レースは激戦必至?さまざまな下馬評が飛び交う
2018年9月7日 16:00

[映画.com ニュース] 第75回ベネチア国際映画祭も終盤に差し掛かり、さまざまな下馬評が飛び交い始めた。現時点で批評家、一般の観客ともに評価が高いのは、アルフォンソ・キュアロンの「Roma」、ヨルゴス・ランティモスの「The Favourite」、ジャック・オーディアールの「The Sisters Brothers」、オープニングを飾ったデイミアン・チャゼルの「ファースト・マン」だ。
キュアロンの作品は自身の子ども時代の思い出を反映した、モノクロのパーソナルな物語。ブルジョワファミリーに仕える使用人の視点を通して、メキシコの階級社会とその中の人間関係を見つめる。ビットリオ・デ・シーカの「自転車泥棒」を彷彿させるような、シンプルながら力強いヒューマンドラマだ。
「ロブスター」や「聖なる鹿殺し」など、奇妙で不条理な作風で知られるランティモスの新作は、18世紀初頭の英国王室を舞台にしたドラマ。歴代の女王のなかで最も人気がないと言われるアン王女(オリビア・コールマン)と、その愛人で実権を握っていたレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)、そして新参の召使いの立場から女王の信頼を得てあっという間に権力を握るようになるアビゲイル(エマ・ストーン)の熾烈な三角関係を描く。これまでのランティモス作品に比べわかりやすいものの、この監督らしい毒気たっぷりの仕上がり。三女優の火花散る共演がみごとだが、そのなかでもコールマンは女優賞の呼び声が高い。
フランス人監督オディアールの新作は、彼が初めてアメリカを舞台にした西部劇で、ホアキン・フェニックスとジョン・C・ライリーが対照的な兄弟に扮する。ゴールドラッシュのさなか、早打ちの名手として恐れられた彼らの危険な道程を、ときにユーモアも混ぜた独特のタッチで描写し、定番西部劇とは異なる味を醸し出した。
映画祭はこのあとも、塚本晋也の「斬、」などいくつかの話題作が控える。今年は強力な面子が集まっているだけに、賞レースは激戦になりそうだ。(佐藤久理子)

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