「インクレディブル・ファミリー」監督が明かす、オスカー受賞やNo.1ヒットより“大切なもの”
2018年7月31日 14:00

[映画.com ニュース] 第77回アカデミー賞で2冠に輝いた「あの家族」が帰ってきた。大人気作「Mr.インクレディブル」14年ぶりの続編にして、記念すべきディズニー/ピクサー第20作となる「インクレディブル・ファミリー」のブラッド・バード監督が来日し、映画.comのインタビューに応じた。
全米アニメーション史上最高のオープニング記録を樹立しただけでなく、全米歴代最大ヒットのアニメ作品となった本作。バード監督は「貨幣価値の違いがあるから、本当は『白雪姫』がNo.1(のアニメ映画)じゃないかと思うんだけど」と謙遜しつつも、「やっぱりすごくうれしい。皆が楽しんでくれてるのは純粋にありがたいことだし、現実的に考えると、このヒットのおかげでまた1本、映画を作れるチャンスが生まれたというのもうれしいね」と語る。大ヒットの理由は、「誰もが共感できる“家族”の姿を描いたからじゃないかな」と実感を明かす。
「Mr.インクレディブル」「レミーのおいしいレストラン」での2度のアカデミー賞長編アニメーション賞受賞に加え、今作でNo.1ヒットの座も獲得したことになるが、「作品づくりにおいては、そういうのは全部、気が散る要素だと思ってる」と言う。「例えば、賞をいただいた、じゃあ次の作品は2つ賞を取らなければ……みたいなことを考えていたら、その先々はどうなっていくのか。意識すべきはそういうことではなくて、やっぱり僕らは、見てくださった皆さんが共感できるような、心に何か響くようなものを作っていくべきなんだと思う。そして、(ヒットさせて)そんな映画を作り続けられるチャンスをちゃんと手にしていくことが重要なんだと思ってるんだ」。
そして、「唯一の100%正確無比な批評家は『時間』だと思う」と断言。「たとえ発表当時、商業的に成功していなくても、評論家の間で低評価でも、いまだに多くの方に愛されている作品というものがあるわけで、僕らが目指すのはそこ。100年後も、皆さんが支持してくださるような作品を作ることなんだ」と信条を明かした。
ドキドキするアクションやユーモア、そしてキャラクターの可愛らしい魅力に目が奪われるが、現代社会を反映したメッセージが込められているのも、「インクレディブル・ファミリー」が幅広い支持を集める理由だろう。なかでも、テレビモニターを通じて人々を操る悪役スクリーンスレイヴァーの存在は、情報や娯楽を手に入れる苦労がなくなった代わりに、スマートフォンを手放せなくなってしまった現代人への警鐘とも受け取れる。
監督は「確かにそんな危機感を感じるところもあるんだけれど、僕も小さいときには『テレビを見過ぎだ』って言われてたわけだから、同じだよね(笑)」と笑い、かつて親交があり、iPhoneを生んだスティーブ・ジョブズ氏のエピソードを挙げる。「今の状況を見たら、驚くかもしれないね。彼は本当に史上最高にパーフェクトなデバイスを生み出したと思うんだけれど、自分の子どもたちにはスマホをいじる時間制限を与えていたというから、ハマってしまう可能性は気づいていたかもしれない。ただ、そういうネガティブな側面は、すべてのテクノロジーの進化に付きもの。人間の脳、考え方がテクノロジーについて行けるのか、これは多くの映画でもテーマの下敷きになっているね」。
「個々のシーンに対して思い入れはある」としつつも、「全部を楽しんで欲しいから、好きなシーンは挙げない」と言うバード監督。「よく言うのは、『オープニングとエンディングの間』」と冗談めかすが、実は今回は、そのオープニングとエンディングもこだわり抜いた。1960年代の、ソール・バスが手掛けたようなグラフィックデザインが展開し、レトロさと斬新さが両立する世界に観客を一気に引き込む。
「あのオープニングを実現するには、かなり戦わなければいけなかったんだ。これまでの作品とは違う躍動感やノリを持つ作品なんだと、頭から表現したかったからね。やっぱり、通常とは違うやり方をしようとすると、交渉ごとは生まれるよね。ディズニーは、最初は僕の案に興味を示してくれなかったんだけど、それでもあきらめずに説得した。今は……(こんなに大ヒットしたんだから)すごく気に入ってくれてると思うよ!(笑)」と、笑顔で裏話を語ってくれたバード監督。戦った結果どんなことになっているのかは、ぜひ劇場のスクリーンで確かめてほしい。
「インクレディブル・ファミリー」は、8月1日から全国公開。
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