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「万引き家族」是枝裕和監督、安藤サクラの身に起こった“反射”に心躍らす

2018年6月22日 00:00

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ティーチインに臨んだ是枝裕和監督
ティーチインに臨んだ是枝裕和監督

[映画.com ニュース] 第71回カンヌ国際映画祭で最高賞となるパルムドールを受賞した是枝裕和監督が6月21日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた「万引き家族」(公開中)のティーチインイベントに登壇した。

12日に興行収入10億円を突破、14日には観客動員が100万人を超えた今作。現在は全国325館(330スクリーン)で公開されており、20日までの累計動員は171万6051人、興収は早くも20億8933万7400円を記録している。そして希望が殺到していた英語字幕版の上映が、23日から新宿バルト9でスタートすることが決定。この日のイベントの前には、いち早く英語字幕版をがお披露目され、観客のなかには外国人の姿も多く見受けられた。

「新作が公開されるたびに、ティーチインを劇場でやることにしている」という是枝監督は「国内と海外、それぞれのオーディエンスの印象は?」と問われると「受け取っていただく感覚は、どちちも変わらないと思っている」と回答。「歩いても 歩いても」「海よりもまだ深く」といったある種“ドメスティック”な過去作を例に出し「そういう作品でも、色々な齟齬はあるんでしょうけど、20年やってきて、軸はぶれずに伝わっているという実感を持っている。『超えられる』という確信を持って、作っています」と語っていた。

さらに“家族”というキーワードについて聞かれると「『家族とは何か?』ということに対して、答えを出そうとしているわけではないんです。自分も『家族ってなんだろうな』と考えながら撮っていますし、(本作の)登場人物たちも手探りをしている状態。『そして父になる』は、家族を繋ぐものは血なのか、一緒に過ごした時間なのかという問いをたてました。今回は、共に過ごす時間が終わった後、彼らの中に記憶として残っているものが家族なのかな」と説明。「一緒に暮らすことが出来なくなったとしても、彼らはつながっている。その意識のなかに、家族というものが“見えない形”で立ち上がってくるような話にしたかったんです」と話していた。

物語の構築に関しては「作っていくなかで立ち上がっていくストーリーが一番面白い」と断言した是枝監督。撮影を進行するなかで多くの改変があったようで、信代を演じた安藤サクラとの秘話を明かした。「サクラさんがセットの隅に僕を呼んで『私は1度も自分のことを母ちゃんとは言わないし、(子どもたちに)言えともしない。信代は、そのことをどう思っている?』と質問されたんです。その時は『それほど強いこだわりはないですよ』と曖昧な返事をしてしまったんですが、よくよく考えると面白い。その問いかけのおかげで、商店街でラムネを飲むというシーンは生まれたんです」と振り返っていた。

そして、安藤と池脇千鶴が対峙する後半パートについて言及する。「(池脇の)『なんて呼ばれていた?』というセリフは、最初の台本にはなかったんです。僕がその場でセリフを書いて、池脇さんに言ってもらったんですよ。サクラさんは、何を聞かれるかわからずに座っていた。自分が質問した内容を、今度はセリフとして投げかけられているという状況なんです」とユニークな“反射”のエピソードを披露。「こういうキャッチボールで映画が動いていくのが、とても面白いですよね。スタッフとキャストは大変なんですけど、それで良いシーンが撮れると幸せですね」と思いの丈を述べていた。

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