【第90回アカデミー賞総括】「シェイプ・オブ・ウォーター」が作品賞含む4冠!
2018年3月5日 14:31
[映画.com ニュース] 第90回アカデミー賞授賞式が3月4日(現地時間)、米ハリウッドのドルビー・シアターで開催され、ギレルモ・デル・トロ監督のファンタジーロマンス「シェイプ・オブ・ウォーター」が作品賞をはじめ監督賞、美術賞、作曲賞の4冠に輝いた。ここまで同作とともに賞レースを牽引してきた「スリー・ビルボード」は、フランシス・マクドーマンドの主演女優賞、サム・ロックウェルの助演男優賞という2部門受賞にとどまった。
デル・トロ監督がJ・マイルズ・デイルとともに製作した「シェイプ・オブ・ウォーター」は、ベネチア国際映画祭でも金獅子賞を戴冠。最多13ノミネートを果たした今回のアカデミー賞でも激戦を制した。監督賞を受賞したデル・トロ監督は、ノミネートされていたサリー・ホーキンスやリチャード・ジェンキンス、オクタビア・スペンサーらと抱き合い、感極まった様子で喜びをかみ締めた。1960年代の冷戦下のアメリカが舞台の映画は、政府の研究所で清掃員として働く言葉を持たない女性と、アマゾンから研究所に連れてこられた不思議な生きもののラブストーリーを描いている。
また、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」で主演ゲイリー・オールドマンの特殊メイクを担当した辻一弘氏が、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。辻氏にとっては10年ぶり3度目のノミネートで初めてオスカー像を手にした。日本人個人の受賞は、1993年・第65回に衣装デザイン賞を受賞した故石岡瑛子さん(「ドラキュラ」以来25年ぶり。なお、ウィンストン・チャーチル英元首相を熱演したオールドマンも主演男優賞に輝いている。
技術部門で際立ったのは、クリストファー・ノーラン監督作「ダンケルク」だ。編集賞、録音賞、音響編集賞の3冠。そして、「ブレードランナー 2049」の撮影監督を務めたロジャー・ディーキンスは、14度目のノミネートで初めて撮影賞を獲得した。同作は、視覚効果賞も受賞している。
昨年の授賞式では、作品賞発表時に手違いで主演女優賞(「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーン)の名前が刻印された封筒が手渡されたことで、一旦は「ラ・ラ・ランド」の名前が呼ばれ、直後に「ムーンライト」に訂正されるなど大混乱の幕切れとなった。今年は、ハリウッドはおろか社会問題にまでなった大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインのセクハラ問題が大きく取り沙汰される格好に。主演女優賞に輝いたマクドーマンドは、スピーチの途中で会場にいる全ての女性ノミニーに起立することを呼びかけ、大きな喝さいを浴びていた。