トランプ当選で「ゲット・アウト」のラストが変更された!町山智浩が製作背景を紹介
2017年10月31日 13:30

[映画.com ニュース] 全世界興行収入2億5200万ドル超のスマッシュヒットを記録し、米映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では99%(10月31日時点)の高評価を記録した「ゲット・アウト」(公開中)の公開記念トークイベントが10月29日に東京・TOHOシネマズシャンテで開催され、映画評論家の町山智浩氏がネタバレを織り交ぜながらトークを繰り広げた。
「パラノーマル・アクティビティ」シリーズや「ザ・ギフト」「スプリット」を手がける敏腕プロデューサー、ジェイソン・ブラムが製作を務めたスリラー。ニューヨークに暮らす黒人の写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)は、白人の恋人ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に招待される。謎めいた黒人の家政婦、庭を猛スピードで走り去る管理人、パーティに招待されたのは白人ばかりという状況に違和感を覚えるクリスは、パーティの参加者である黒人の若者を撮影した瞬間に急に襲いかかられ、その場から逃げ出そうとする。
町山氏は、アメリカのお笑いコンビ“キー&ピール”のひとりで、本作で映画監督デビューを果たしたジョーダン・ピールを「『宇宙人ポール』や『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』のサイモン・ペッグ&ニック・フロストの黒人版なんですよ」とたとえ、ピールがかなりの映画マニアであり、劇中にはさまざまなオマージュが隠されていると指摘。「冒頭の道に迷った黒人が『生垣に入り込んだみたいだ』と言うのは、『シャイニング』のラストシーンの生垣の迷路のこと。街に住んでいる人たちがみんなおかしかったり、使用人の黒人が従順すぎたりするシーンは、アイラ・レビンという『ローズマリーの赤ちゃん』の原作者が書いた、『ステップフォードの妻たち』(2度映画化された)のオマージュ。また、ドン・シーゲルが監督した『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』の原作になっているジャック・フィニイの『盗まれた町』なども基にしているとジョーダン・ピールは言っている」といううんちくの数々に、観客は聞き入っていた。
さらに、町山氏は「1980年代にエディ・マーフィが『サタデー・ナイト・ライブ』でやっていた、黒人がいると白人は真面目にしているが、黒人がいなくなると一斉に悪口を言い始めるというギャグや、特殊メイクで白人に扮したギャグなどの影響を受けている」と語る。「人殺しがあった家で“ゲット・アウト”という霊の声が聞こえるのに住み続けて大変な目にあう『悪魔の棲む家(1979)』という映画があって、エディは『白人は本当に馬鹿だな、“ゲット・アウト”って言われたら出ていけばいいのに。黒人は迷信深いから出ていくぜ』というギャグをやっていて、それを基にジョーダン・ピールは映画に膨らませた」と本作の元ネタを明かした。
また、本作の背景にはピールの生い立ちが関係していると考察し、「母が白人で父が黒人で、白人にも黒人にもつまはじきにされたことで、どこにも居場所がなかったことから、アニメや映画で育ちかなり詳しくなっている。だから白人でもあり、黒人でもある中間にいる者として両方の文化をコメディのネタにしてきた」と紹介。
「監督は、『オバマ大統領の時代に人種差別が終わったと言われたが、日常生活ではまだ残っていた。そこで作ったのがこの映画で、アメリカ公開の直前にトランプ大統領が当選したことで、やっぱり差別は隠れていたと確信した。トランプが大統領になったことでラストシーンを変えた。それは現実に差別主義者が大統領になったのに、映画の中でも黒人が差別されるだけではあまりにも救いがないから、映画だけでも救いを与えたかった』と述べていた」と製作の裏側を明かした。
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