北野武監督、大森南朋&ピエール瀧と振り返る「アウトレイジ」シリーズの美学
2017年10月8日 11:00
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[映画.com ニュース] きっちりとケジメをつけたと思っていた。しかし、北野武監督の頭の中ではさらに壮大で物悲しいフィナーレが用意されていた。3部作のラストを飾る「アウトレイジ 最終章」。徹底して追求し計算されたバイオレンスの連鎖の果てに、たどり着いた締めくくりとは。北野監督の下に招集された、シリーズ初参戦の大森南朋、ピエール瀧とともにその美学に迫る。
もとをただせば「アウトレイジ」は、2010年の第1作で終わるはずだった。しかし、興行的な成功もあって続編への機運が高まる。北野監督も承諾し、「アウトレイジ ビヨンド」の脚本執筆にかかるが、その過程で「最終章」のストーリーラインができ上がっていたというから驚きだ。
「大友が復しゅう戦に入ればいい。腹を刺されたけれど、生きていることにすりゃあいいんだからって作ることになった。台本を作っているうちに、この流れは3になる、作れって言われそうだなあと思って。じゃあ3で終わらせる約束にして同時に書いちゃったんだよ」
大友(ビートたけし)は、フィクサーの張会長(金田時男)の計らいによって韓国・済州島で静かな時を過ごしていた。だが、済州島に来ていた花菱会の幹部・花田(ピエール瀧)とのトラブルをきっかけに軋轢(あつれき)が生まれ、張会長の身にも危険が及んだことで日本へ帰国する。これまで義を重んじて生きてきた大友らしい決意だ。
「大友は、親子の関係をつけたら絶対にやらなきゃいけないってタイプ。張会長の若い衆がやられたってなると、盃(さかずき)は交わしていないけれど親だから帰って打ち込みにいく。そういう古いタイプの男を描きたいというのはあった」
済州島で大友の子分・市川を演じたのが大森。北野作品は「Dolls(ドールズ)」、「アキレスと亀」に続く3作目だが、「世界のキタノ」が描くバイオレンスの世界は待ちわびたオファーだった。
「あこがれていたシリーズですし、僕らの青春はそこだったので。1、2と拝見させていただいて加瀬亮さんしかり、2の桐谷健太さん、新井浩文さんしかり、田中哲司さんも出ていますし、しっとというかねたみというか、僕の出番はいつ来るんだろうと思っていましたから、非常に幸せな気持ちで参加させてもらいました」
一方、抗争の火種となる花田に抜てきされた瀧も、初の招集に「チラシやポスターの並びの中に交じっても大丈夫な顔に産んでくれた母親には感謝したい」と冗談めかしながらも、意気に感じたようだ。
「皆さん、顔一発で認識できる人たちばかりですから、その中に入って抗争の発端になってしまう役柄ですが、生きがいいヤツなのかただの調子こきなのかというところで最初は苦労しました。自分の中でたくさんイメージを広げて、その中から現場でリアルタイムでチョイスするやり方なのでスリリングで楽しい現場でした」
そんなアクの強い面々の暴走は歯止めがきかず、当初は裏で手綱を引いていた大友も抗争の矢面に立つことになる。そのケジメのつけ方も潔く、そして切ない。構想は果てしなくあるが、北野監督に完結を宣言し、さらなる大きなプランを披露した。
「違うパターンの映画を2、3本撮りたい。それでまだ寿命があって生きていたら、最後の大勝負で“大やくざ戦争”をやろうと思っている。オールスターキャストで全員に声をかけて。ギャラはとにかく出ないよって。日本の有名な男優、個性の強い男優を全部集めて、どっかん、どっかんやりたいなと思うね」
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