愛娘は他人の子…M・ファスベンダー&A・ビカンダー“夫婦”が運命に翻ろうされる「光をくれた人」予告編
2017年1月27日 12:00
[映画.com ニュース]「それでも夜は明ける」のマイケル・ファスベンダーと「リリーのすべて」のアリシア・ビカンダーが夫婦役を演じたラブストーリー「光をくれた人」の予告編が、このほど完成した。
全世界で40以上の言語に翻訳され、200万部超の売り上げを記録したM・L・ステッドマン氏によるベストセラー「海を照らす光」を、「ブルーバレンタイン」のデレク・シアンフランス監督が映画化。オーストラリア西部の孤島で暮らす灯台守のトム(ファスベンダー)と妻イザベル(ビカンダー)は、2度の流産を経験し傷心の日々を過ごしていた。そんなある日、女の子の赤ん坊が乗ったボートが漂着し、イザベルとトムは、赤ん坊を自分たちの娘として育て始める。だが4年後、トムとイザベルのもとに赤ん坊の本当の母親ハナ(レイチェル・ワイズ)が現れ、夫婦は苦悩する。
予告編では、自然光を印象的に採り入れた温かみのある映像のなか、幸せの絶頂にあった夫婦が流産によって失意のどん底に沈んでいく様子がつづられる。閉塞感に苦しむトムとイザベルは、赤ん坊との出会いで笑顔を取り戻すが、ハナの登場によって過酷な運命にさらされる。オスカー女優のビカンダーが悲しみをたたえたヒロインになりきっており「運命が連れてきたのよ。私たちが育てなきゃ。悪いことじゃないわ。きっといい親になる」とトムを猛説得して赤ん坊を迎え入れ、ハナの存在を知っても「私が母親よ」と耳を貸さないなど、愛に取り付かれた母の悲哀を体現している。男たちに取り押さえられ娘と離ればなれにされるシーンでは、「引き離さないで。娘を奪わないで」とすがりつく姿が胸に迫る。
「SHAME シェイム」「ジェーン・エア」など孤独感漂う演技に定評のあるファスベンダーが、許されることではないとわかっていながらも他人の子を育て、憔悴(しょうすい)していく妻をどうにかして支えようと身を焦がす夫を繊細に演じている。対して「ナイロビの蜂」でオスカーに輝き、近年では「ロブスター」「グランドフィナーレ」など作家性の強い作品で存在感を発揮するワイズが、トムとイザベルをおびやかす“実母”の喪失感と執念に説得力を持たせている。実力派3人の高い演技力が凝縮されている内容だ。
「光をくれた人」は、3月31日から全国公開。