本当はこうなるハズだった!? 2016年公開作の幻のキャスティング10選<後編>
2016年12月31日 17:00
[映画.com ニュース] 今年も残すところあとわずか。今回は、2016年に日本で公開された洋画の中から、実現しなかった幻のキャスティング10選をお届け! 「本当はこうなるハズだったの!?」と妄想しながら、この1年間を振り返ってみてくださいね。
ジェームズ・ボンド役でおなじみダニエル・クレイグは、リーガルサスペンス「砂上の法廷」をクランクインの8日前にドタキャン。その1カ月ほど前には裁判を傍聴していて敏腕弁護士役をやる気満々かと思いきや、まさかの急展開。それからかれこれ1年半経ちましたが、その真相は謎に包まれたまま……。結果的には “代理人”にキアヌ・リーブスが決定し、作品の舞台もボストンからニューオーリンズにお引越し。映画づくりって本当に何が起こるかわかったもんじゃありません。
ボクサーの再生物語「サウスポー」は、もともとラッパーのエミネムの主演映画としてスタート。ところがエミネム、本業の音楽活動を優先しアルバム制作に専念するためにリングから去ってしまいました。 “セコンド”として映画の音楽をサポートすることにしたエミネムに代わり王座決定戦に挑むことになったのは、カメレオン俳優ジェイク・ギレンホール。直前の「ナイトクローラー」で減量した14キロを戻しただけでなく、闘うボディのために7キロ近く上乗せする肉体改造に挑みました。これぞ役者魂!
マッドなキャラならおまかせトム・ハーディは、実はDC悪役集団「スーサイド・スクワッド」を率いるハズでした。降板直後は、「脚本が気に食わなかったんじゃ?」なんてウワサが飛び交いましたが、本当のところは「レヴェナント 蘇えりし者」の撮影の大幅延長が原因だったそう。悪党集団を束ねる軍人リック・フラッグ役を逃したトムは、「ガッカリだよ。おれにぴったりの役だったからな」と恨み節。だけど、「ジョエル・キナマンなら上手く演じてくれる」とバトンを託したようです。「レヴェナント 蘇えりし者」でオスカー候補になって、結果オーライ?
名作ラブストーリーとゾンビをマッシュアップしたトンデモ小説の実写映画化「高慢と偏見とゾンビ」。2009年、ナタリー・ポートマン主演で企画が始まった時に原作ファンは色めきたったものの、完成までは気の遠くなるような長い道のりでした。まずナタリーが、20歳という設定の主人公を30代で演じるのはキツいと判断したのか、主演は諦めてプロデューサーとして残ることに。その後、エマ・ストーン、スカーレット・ヨハンソン、ブライク・ライブリー、リリー・コリンズらが候補に挙がるも、一向に決まらず。作品自体がまさにゾンビ状態。そして、企画誕生から約5年、実写版「シンデレラ」でブレイク寸前のリリー・ジェームズの参戦が決まり、ようやく製作・完成へとこぎつけたのでした。
交代の嵐に見舞われた、ナタリー・ポートマン主演の西部劇「ジェーン」。まずは、主人公の元婚約者を演じるハズだったマイケル・ファスベンダーが「X-MEN アポカリプス」の撮影とのバッティングでジョエル・エドガートンとバトンタッチ。その2週間後には、準備段階からプロデューサーといろいろモメていたらしいリン・ラムジー監督がクランクイン前日だというのに、ばっくれてしまったんです!! さらには、「ラムジー監督だから出演に応じた」というジュード・ロウが降板する玉突き事故が発生。すったもんだは、まだ終わりません。その代役に決まったブラッドリー・クーパーも、当時撮影中だった「アメリカン・ハッスル」とかぶってしまうことが判明し、またも悪役の席が空白に。ここまで続くとお祓(はら)いを勧めたくなるレベルです。救世主となったのはユアン・マクレガー。開拓時代のゲス男をネチっこく演じてくれました。
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父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
文豪・田山花袋が明治40年に発表した代表作で、日本の私小説の出発点とも言われる「蒲団」を原案に描いた人間ドラマ。物語の舞台を明治から現代の令和に、主人公を小説家から脚本家に置き換えて映画化した。 仕事への情熱を失い、妻のまどかとの関係も冷え切っていた脚本家の竹中時雄は、彼の作品のファンで脚本家を目指しているという若い女性・横山芳美に弟子入りを懇願され、彼女と師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするうちに芳美に物書きとしてのセンスを認め、同時に彼女に対して恋愛感情を抱くようになる時雄。芳美とともにいることで自身も納得する文章が書けるようになり、公私ともに充実していくが、芳美の恋人が上京してくるという話を聞き、嫉妬心と焦燥感に駆られる。 監督は「テイクオーバーゾーン」の山嵜晋平、脚本は「戦争と一人の女」「花腐し」などで共同脚本を手がけた中野太。主人公の時雄役を斉藤陽一郎が務め、芳子役は「ベイビーわるきゅーれ」の秋谷百音、まどか役は片岡礼子がそれぞれ演じた。