当時“犯罪”だった恋愛を描く「キャロル」、トッド・ヘインズ監督はどう撮った?
2016年2月8日 17:00

[映画.com ニュース] 第88回アカデミー賞で6部門にノミネートを果たした「キャロル」のトッド・へインズ監督が、原作発表から60年以上を経て映画化された作品への思いを語った。
映画化もされた「太陽がいっぱい」の原作者パトリシア・ハイスミス氏が、1950年代当時は犯罪だった“同性同士の恋愛”をテーマに、別名義で発表した小説を映画化。当時のニューヨークを舞台に、上流階級の人妻キャロル(ケイト・ブランシェット)と、フォトグラファーを夢見ながら百貨店のおもちゃ売り場で働くテレーズ(ルーニー・マーラ)の恋模様を繊細なタッチで描く。
ブランシェットが男性ミュージシャン、ボブ・ディランを演じた「アイム・ノット・ゼア」(07)や、同じく50年代を舞台にした「エデンより彼方に」(02)で知られるへインズ監督は、「僕の作品は、ほとんどすべて設定が過去になっているのが特徴」と共通点を挙げながらも、「本作が多分僕にとっては初めてのシンプルなラブストーリーじゃないかな」と語る。
「僕は本作を、主観的な視点から描いたクラシックなラブストーリーと見なしている。ケイトやルーニーともよく話しあったんだが、キャラクターの視点から描くことを重要視した。特に最初はテレーズの視点から。彼女にとって、キャロルの居場所は素晴らしく、光り輝いた存在に見える。エレガントなキャロルは、自分を探しているテレーズにとってフェミニティ(女性らしさ)の象徴に見えたはずだ」。キャロルとテレーズの関係はいわば“格差愛”であり、テレーズの感情も最初は大人の女性への憧れから始まるが、キャロルの内面を知るにつれ、両者の関係は変化していく。「それ(2人の関係の変化)に伴って、物語を語る視点も変化する。最初はテレーズの視点から、その後キャロルの視点へとシフトするんだ。ちょうどデビッド・リーン(監督)が『逢びき(1945)』で試みたようにね」。
キャロルとテレーズの恋愛にドラマを与えるのが、2人の関係を許さぬ“社会”や、キャロルの夫・ハージ(カイル・チャンドラー)が見せる“無理解”、または“偏見”といった試練。ヘインズ監督は「最高のラブストーリーにとって必要なのは、障害、人々を引き離す何かだ。『ロミオとジュリエット』みたいにね。なぜ『ブロークバック・マウンテン』(05)があれほど鮮烈なラブストーリーなのか、それはその障害ゆえだ」と持論を述べる。女性同士の恋愛がタブー視された時代にあってキャロルとテレーズの関係は異端だが「恋に落ちたときというのは人間、他のことが見えなくなるものだろう。前例がないなんて関係ない。そうした気持ちは普遍的だと思う」と強調した。
エグゼクティブプロデューサーも兼ねたブランシェットとマーラは恋に焦がれる女たちを演じきり、第88回アカデミー賞で主演女優賞・助演女優賞のダブルノミネートをはじめ、第68回カンヌ映画祭でマーラが女優賞に輝くなど絶賛を浴びた。「ラブシーンはこの映画の流れのなかで核となるものだと思ったから、とても美しく撮るように心がけた」と振り返ったへインズ監督は、「ケイトはとても洞察力に優れ、明確だ。彼女と一緒に脚本を研究して、そこからチューニングしてまとめていく過程はとても豊かな経験だったよ。僕は彼女に負うところがとても大きかった。ルーニーは大胆で勇気があり、ち密だ。彼女の役柄は寡黙だからその分難しかったと思うけれど、ケイトと並んで映画をけん引してくれたと思う」と女優陣への信頼を語った。
「キャロル」は2月11日から全国公開。
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