ビゴ・モーテンセン、主演作「ギリシャに消えた嘘」は「本当の意味でフィルム・ノワール」
2015年4月10日 14:30
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[映画.com ニュース] 俳優のビゴ・モーテンセン主演で、「太陽がいっぱい」「リプリー」で知られるパトリシア・ハイスミスの名作サスペンス小説「殺意の迷宮」を映画化した「ギリシャに消えた嘘」が、4月11日に公開される。1962年を舞台に、詐欺師チェスターとその美しき妻コレット、図らずも2人の犯罪に加担してしまった青年ライダルの逃避行を、荘厳なギリシャ悲劇のメタファーに彩られた映像世界で切なくもスリリングに描き出した本作について、モーテンセンが語った。
「この映画は見始めた時から、何か見逃しているんじゃないかと感じる。何か起こったんじゃないかってね」。モーテンセン演じるチェスターと、キルステン・ダンスト演じる妻のコレットは、それぞれ偽名だ。「彼らの本当の名前は何なのか、どこから来ているのかもはっきり分からない」。そこで、オスカー・アイザック演じる米国人の青年ライダルが観客目線として機能し、「すべては見た目ほど美しくなく、第一印象より完璧でもフレンドリーでもない」ことが徐々に暴かれていく。
夫婦のガイド役を買って出たライダルは、チェスターが犯した殺人の後始末を手助けしたことで共犯となり、逃亡にも手を貸すうちにコレットと親密な関係になっていく。この三角関係の運命共同体を作り上げたモーテンセン、ダンスト、アイザックはこれが初めての共演だ。「2人のシーンでも3人のシーンでも、僕らは非常に相性がよく、いいエネルギーがあった」というように、3人の化学反応は「監督だけでなく、僕らにとっても驚きであり、この映画にとっても良いことだったと思うよ」と、モーテンセンは振り返る。
本作のメガホンをとったのは、「ドライヴ」の脚本家ホセイン・アミニ。自ら脚本を手がけ、初監督に挑んだ。ロシアンマフィアに扮した「イースタン・プロミス」でオスカー候補になったモーテンセンは、本作の脚本を初めて読んだ時の印象を「とても知的で非常によく書かれていると感じた」と語る。「非常に野心的でこの映画にふさわしい監督だと思った」というモーテンセンの確信どおり、アミニ監督は初メガホンだと感じさせないほど念入りに事前準備をしていたそうで、「まるでずっと一緒に仕事をしてきた仲間みたいで、初日にもかかわらず、撮影が再開された日だと感じられるほどだったよ」と明かす。
本作はロケーションも実に豪華で、ギリシャ・アテネにあるパルテノン神殿、クレタ島のクノッソス遺跡、そしてトルコ・イスタンブールのグランバザールといった歴史ある観光名所で撮影が行われた。現場ではいつも、「僕らはとても幸運だ。この場所でこうやって働いている。このすばらしい景色を見ろよ」と話していたというモーテンセンは、「実際にその場で撮影できることは、俳優にとって非常に有益だ」とも語る。「他の俳優だって、もし僕がこの映画に出ていなければ『こんな映画に出てみたい』ときっと思うだろう」とその充実振りを言い表した。
本作では、屈折した感情を抱えるキャラクターたちの心理戦が人間性をあぶりだしていく。鑑賞後に映画の続きや登場人物たちの言動や願望について考えさせられる作品が好きだと言うモーテンセンは、本作では「全てのキャラクターに欠点があり、全員が後悔し、間違いを犯すんだ」という。くせ者たちが異国の地で繰り広げる犯罪と嘘と三角関係。「この映画は、本当の意味でフィルム・ノワールだと思うよ」
「ギリシャに消えた嘘」は、4月11日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。
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