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パリ留学中の熊切和嘉監督、喜びの一時帰国「早く新しい映画を撮りたい」

2015年2月10日 21:10

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熊切和嘉監督(下段右から2人目)、 綾野剛、安藤サクラら受賞者たち
熊切和嘉監督(下段右から2人目)、 綾野剛、安藤サクラら受賞者たち

[映画.com ニュース] 「第69回毎日映画コンクール」の表彰式が2月10日、神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールで行われた。

作品賞に当たる日本映画大賞に輝いたのは「私の男」。文化庁新進芸術家海外研修制度でパリに留学中だった熊切和嘉監督は一時帰国し、「映画作りは順調にいった試しがないけれど、この作品はことのほか過酷だった。それで歴史ある賞をいただけて本当にうれしい」と喜びをかみしめた。帰国は8月の予定で、「いくつも撮りたい作品がある。今は早く新しい映画を撮りたい」とさらなる意欲を見せた。

日本映画優秀賞の「そこのみにて光輝く」は呉美保監督が監督賞、綾野剛が男優主演賞、池脇千鶴が女優助演賞の4冠。故佐藤泰志さんの原作を映画化した前作「海炭市叙景」が熊切監督の作品で、呉監督は「皆で賞を頂けるのは本当にうれしい。熊切監督の作品がなければ撮れていなかった。まだお礼を言えていないけれど、ありがとうございます」と感謝していた。

綾野は、「俳優は自分からは評価できない立場。だから毎回疑ってきたが、こうやって評価され、少しずつ自分を認めることも大事だと教わった気分です」と神妙な面持ち。1999年のスポニチグランプリ新人賞以来の受賞となる池脇は、「あの時は意味が分からず、ただ驚いて喜んだだけだったけれど、もう1回この場に立てたのは奇跡。でも私は何も変わらないので、この賞におごらず自分らしく仕事をしていきたい」と“らしく”自然体で語った。

安藤サクラは、姉の安藤桃子監督の「0.5ミリ」で女優主演賞を獲得。桃子監督も脚本賞に輝き、初の姉妹同時受賞に「姉の作品で一緒に来られたことがとてもうれしい。私のことを一番近くでいろんな視点で観察してくれて、特に感謝している」と称えた。臨月を迎えている桃子監督も、「監督として失敗したら、妹の人生までをもひっくり返してしまうのが怖かった。でも、最もリスペクトしている女優も妹。姉として本当にうれしい。楽屋で(赤ちゃんが)出るんじゃないかと思ったし、トロフィーもズシンときた」とおどけた。サクラも、「生まれてきたら、今日のことを話そうと思います」と、伯母になるのが待ち遠しい様子だった。

WOOD JOB! 神去なあなあ日常」で男優助演賞を受賞した伊藤英明は、映画での演技賞は人生初。「内心は跳び上がるほどうれしいが、ただただ恐縮している。この役を与えてくださった矢口史靖監督に感謝しています」と緊張仕切りで、終了後も「手と足が同時に出ないことだけに気をつけた。空気を楽しむことができなかった」と苦笑いだ。それでも、昨年10月に結婚し「喜んでくれる人が増えたのはうれしい」と相好を崩していた。

鈴木京香は、名女優・田中絹代の名を冠した田中絹代賞に三つ紋の訪問着で登場。「半信半疑で、あまりにも大きな名前が付いた名前で、賞とトロフィーの重みに戸惑っています。田中さんのような日本の母親像、女性像を演じられるよう、少しずつでも前に進んでいけたら」と静かに決意を口にした。

スポニチグランプリ新人賞に輝いたのは、「ホットロード」の登坂広臣と「渇き。」の小松菜奈。「三代目J Soul Brothers」のボーカルでもある登坂は、「まだまだ表現者としては未熟なので、もっともっと自分を磨いていきたい。まずは歌をしっかりやって、また(映画と)巡り合う機会があれば考えます」と神妙な面持ち。小松は、同作のオーディション時には女優にあまり興味はなかったそうだが、「撮影をしているうちに、自分ではない何かを演じるのが楽しくなってきた。これからもイメージを覆していきたい」とどん欲な姿勢を見せていた。

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