年末年始に見るべき高倉健さん出演作5本
2014年12月28日 10:00
[映画.com ニュース] 長年にわたり日本映画界をけん引してきた俳優の高倉健さんが、11月10日に永眠した。悲報は日本列島に衝撃を与え、多くの“健さん”ファンが悲しみに暮れた。映画.comでは、高倉さんが出演した全205作品のなかから、この年末年始に見るべき5本を厳選した。
まず挙げなければならないのは、「網走番外地」シリーズ。石井輝男監督とタッグを組んだ名作で、1965年4月18日に「網走番外地」が封切られると大ヒットを記録し、7月には「続網走番外地」、10月には「網走番外地 望郷篇」、12月には「網走番外地 北海篇」が公開されている。また2本目には、同年1月に公開された内田吐夢監督の傑作「飢餓海峡」を推す。日本映画史に燦然と輝く同作では、東大卒の刑事を熱演。両作とも30代前半の若々しい高倉さんの勇姿を垣間見ることができる。
3本目には意外と知られていない「冬の華」(78)、4本目にはビートたけしとの初共演が話題を呼んだ「夜叉」をあげる。それぞれ、高倉さんが47歳、54歳になる年に公開された良作で、盟友・降旗康男監督がメガホンをとっている。
倉本聰が脚本を手がけた「冬の華」は、殺害した相手の娘を気にかけ、服役中も伯父だといつわり文通を続けながら成長を見守っていた元暴力団幹部の加納が、再び義理によって人を殺さねばならない宿命を描いている。池上季実子、田中邦衛のほか、三浦洋一、藤田進さん、北大路欣也、夏八木勲さんらが共演している。
「夜叉」は、大阪のミナミで伝説のヤクザとして名を馳せた修治は足を洗い、日本海に面した小さな漁港で妻や3人の子どもたちと静かな生活を送っていたが、ミナミから流れてきた子連れの螢子(田中裕子)との出会いにより揺れ動く心情を描いている。今作のもうひとつの魅力は、音楽だ。ジャズ・ハーモニカの巨匠トゥーツ・シールマンスによる哀切な調べが大人の男女の愛の機微と絶妙に絡み合うほか、ナンシー・ウィルソンが歌うエンディング曲「Winter Green And Summer Blue」は作品の世界観、修治の胸中を見事に代弁している。
最後に挙げるのは、やはり遺作となった降旗監督作「あなたへ」(12)。15年春には、降旗監督の最新作「風に吹かれて(仮題)」に主演することが決まっており、熊本・阿蘇で撮入を予定していた。それだけに、高倉さんが最後に演じ切った、亡き妻の遺言の真意を探るべく自家製キャンピングカーで長崎へ向かう主人公・倉島英二の姿を目に焼き付けておきたい。