フランス映画祭2014開幕 団長トニー・ガトリフ監督「映画は人間性を高めるもの」
2014年6月27日 19:30
[映画.com ニュース] フランスの最新映画を日本に紹介する「フランス映画祭2014」が6月27日開幕し、団長を務めるトニー・ガトリフ監督を筆頭に、監督、俳優陣らゲストが来日。今年5月のカンヌ映画祭コンペティション部門に出品された「2つ目の窓」の河瀬直美監督が映画祭開催を祝し、セレモニー会場に駆け付けた。
1997年に「萌の朱雀」でカンヌ史上最年少でのカメラドール、2007年「殯の森」でグランプリ受賞、13年には日本人監督として初めて審査員を務めるなど、フランスと縁の深い河瀬監督は「フランスではたくさんの方に私の映画を見ていただいて、フランス人の皆さんに育ててもらっているというくらいお世話になっています。映画を通して生きることの喜びを世界に発信するフランスの映画人のみなさんに敬意を抱いています」と話し、ガトリフ監督に花束を渡した。
会見でガトリフ監督が「フランス映画の代表の一人として日本に来ることができてうれしい。私自身も仏映画を見て私も育ちました。将来有望な若い才能が育ってきているので、その才能を伝えていきたい」と話すように、今年は幅広い世代の監督陣の作品が集まった。
長編2作目「2つの秋、3つの冬」が上映されるセバスチャン・ベベデール監督は「フランス映画はもちろんですが、日本映画も私に影響を与えました。是枝裕和監督、黒沢清監督らは私にとってとても重要な監督陣です」と語る。「間奏曲はパリで」マルク・フィトシ監督は「今年のフランス映画祭の上映作品は幅広いジャンルを網羅しており、質も高いので、観客は必ず好きな作品を見つけることができるでしょう。私は監督として、海外の映画祭で上映されるときには、その国の観客のリアクションが気になります。フランスの観客と同じところで笑ってくれるのか楽しみにしているのです」と話した。
フランス映画で描かれる戦争や暴力について意見を求められたガトリフ監督は、「インターネット上には見るに耐えられないような暴力があり、懸念すべきもの。映画は同じ暴力を扱っても、違う方法で描き、人間性を高めるものです。暴力があっての優しさや寛容性をフランスの映画では描いています」と力強く語った。
セレモニー最後には、オープニング作品「グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子」で俳優に初挑戦したファビアン・エローが「こんばんは、どうもありがとう。日本に来られてうれしいです」と日本語で挨拶すると、会場は大きな拍手に包まれた。
フランスの最新映画を日本に紹介する同映画祭は、1993年から毎年開催されており、今年で22回目。バラエティに富んだ全12作品が上映され、30日まで、有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇で開催される。福岡、大阪、京都、札幌でも一部プログラムを巡回上映する。