ホドロフスキーの幻の大作「DUNE」をめぐるドキュメンタリー フランク・パビッチ監督に聞く
2014年6月13日 20:10
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[映画.com ニュース] カルトムービー「エル・トポ」(70)のアレハンドロ・ホドロフスキー監督が映画化に挑んだものの、実現に至らず失敗に終わった幻のSF超大作「DUNE」。のちに、この映画のストーリーボードがハリウッドに出回り、「スター・ウォーズ」や「エイリアン」など多くのSF映画に影響を与えたとされている。そんな伝説の「未完の映画」に迫ったドキュメンタリー映画「ホドロフスキーのDUNE」のフランク・パビッチ監督が来日し、ホドロフスキーの魅力を語り尽くした。
映画史には、「もしも黒澤明の『影武者』が勝新太郎主演で完成していたら……」「もしもルキノ・ビスコンティが亡くなる前にプルーストの『失われた時を求めて』を映画化していたら……」といった、映画ファンが夢想する「もしも」がいくつも存在するが、ホドロフスキーの「DUNE」もそんな映画ファンの夢想をかき立てる伝説の映画として語り継がれてきた。今作では、その伝説の「DUNE」の企画がいかにして生まれ、そしていかにして失敗したのか。そのてん末が語られる。
「DUNE」への参加が予定されていたのは、サルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズ、メビウス、H・R・ギーガー、ピンク・フロイドら、そうそうたる顔ぶれだ。「この映画に携わる全ての人間は“魂の戦士”だ。最高の戦士を探す」と決意を固めたホドロフスキーが、映画史でも類を見ないドリームチームを結成するために、いかにして彼らを仲間に引き入れたのか。ホドロフスキー自身が魅力的な語り部として、その裏側をユーモラスに語るのがこの映画の魅力だ。パビッチ監督も「見ての通り、彼は話すのが大好きな人。彼自身、生まれつきのストーリーテラーなんだ。だからあれだけの人たちが魅了されたんだろうね」と振り返る。
しかし、「DUNE」の映画化は実現しなかった。ホドロフスキーの手を離れた「DUNE」は、のちにデビッド・リンチの手によって「砂の惑星」(84)として映画化されることになる。パビッチ監督は15年ほど前に「砂の惑星」を見ていたというが、「今回のドキュメンタリーを作るにあたって、改めてリンチ版は見ないと決めたんだ。ホドロフスキー版『DUNE』は、リンチ版が出来上がる前の話だから、それによって影響を受けたくなかったんだよね。だからミック・ジャガーとスティングを比べることもなかったし、ピンク・フロイドとTOTOを比べることもなかった」という。
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このドキュメンタリー映画の副産物として、ホドロフスキーにとって23年ぶりの新作となる「リアリティのダンス」が製作されたことは特筆すべき事件である。このドキュメンタリー映画がきっかけで、「DUNE」のプロデューサー、ミシェル・セイドゥーとホドロフスキーが再会を果たしたからだ。
「DUNE」の失敗以来、何10年もセイドゥーに会っていなかったというホドロフスキーは「僕は彼に嫌われているし、お金を無駄遣いして、失望させてしまった」と思い込んでいたという。しかしこのドキュメンタリー映画を完成させるためには、セイドゥーの協力が不可欠だった。ホドロフスキーから「アートワークはみんなセイドゥーが持っているから、彼がノーと言ったらこの映画は実現しないよ」と言われたパビッチ監督は、セイドゥーの事務所を訪ねることにしたという。
「彼の事務所を訪ねたら、廊下にクリス・フォスが描いた『DUNE』の絵が掛けられていたんだ。それから会議室には、ホドロフスキーがセイドゥーに送ったメッセージが書かれた『ホーリー・マウンテン』のポスターが貼ってあった。つまり彼は毎日、それを見ながら仕事をしていたことになるよね。それを見て、2人を引き会わせてもうまくいくと確信したんだ。2人はその1、2週間後に食事をすることになった。そこで近況を話し合っているうちに、ホドロフスキーが実は映画を撮りたいんだと言い出して、その瞬間にセイドゥーが『支援するよ。一緒にやろう。いくら必要なんだ?』と返事をしたんだ。少しは僕も役に立ったのかな?」とおだやかに語るパビッチ監督。彼もまた、ホドロフスキーにとっての「魂の戦士」なのだろう。
「ホドロフスキーのDUNE」は6月14日公開。
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