ホドロフスキーのDUNE
劇場公開日 2014年6月14日
解説
「ホーリー・マウンテン」「エル・トポ」などでカルト的人気を誇る奇才アレハンドロ・ホドロフスキー監督が映画化に挑んだものの、実現に至らず失敗に終わった幻のSF大作「DUNE」。フランク・ハーバートの「デューン 砂の惑星」を原作に、サルバドール・ダリやミック・ジャガー、オーソン・ウェルズ、メビウス、H・R・ギーガー、ピンク・フロイドら豪華スタッフ&キャストをそろえながらも、撮影前に頓挫した同作の驚きの企画内容や製作中止に追い込まれていった過程を、ホドロフスキー自身やプロデューサー、関係者へのインタビュー、膨大なデザイン画や資料などから明らかにしていくドキュメンタリー。
2013年製作/90分/アメリカ
原題:Jodorowsky's Dune
配給:アップリンク、パルコ
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計画が頓挫した理由に納得がいきすぎて笑ってしまった
2021年12月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
"世界中の人々の価値観をひっくり返す"
デューンを制作することで、映画の枠を超えた芸術的思想は間違いなく世界を席巻し変革をもたらす。
アレハンドロ・ホドロフスキーのビジョンに偽りが無いことは、その熱のこもった語り口からもよく分かる。
ニコラス・ウィンディング・レフンも語っていた通り、ホドロフスキーのデューンが完成していたら世の映画史は大きく変わっていたかも知れない。
音楽を頼もうと訪れたレコーディング中のピンク・フロイドに対して、素っ気ない彼らの対応に激昂したホドロフスキーが
「その態度は何だ!君らは世界一の映画の音楽を作りたくないのか!」
と罵倒した話は、ホドロフスキーの人柄がよく分かるエピソードとして非常に面白かった。
ダン・オバノンやH.R.ギーガーなど、個人的にも大好きなアーティストが関わっている点からも、間違いなく凄い作品になっていたことになっていただろう。
中止後、デヴィッド・リンチが監督した砂の惑星のあまりの出来の悪さにホドロフスキーが喜んだというエピソードは微笑ましくて笑える。
ドゥニ・ヴィルヌーブ版に期待が高まる。
2021年12月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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2021年10月、ドゥニ・ビルヌーブ監督による超大作SF映画『DUNE 砂の惑星』が公開され、そこそこのヒットを記録しています。そんなタイミングで、映画好きの友人から「観ておいた方がいいよ」とオススメされたのが本作でした。私は恥ずかしながらホドロフスキー監督について存じ上げなかったので、かつて彼が『DUNE』の映画化を試みていたということも当然知りませんでした。ざっくりとした内容について知っている状態での鑑賞です。
結論ですが、映画好きならば観ておくべき作品ですね。ホドロフスキー監督がどれほどの情熱を持ってDUNEの制作に着手していたのか、そして2年半もの歳月を費やし、数々の世界的スターの出演にもこぎつけ、撮影の一歩手前まで行ったにも関わらず頓挫してしまった「DUNEの映画化」がどのように後世に影響を与えていたか。映画好きならば、間違いなくホドロフスキー監督に魅了されてしまうと思います。この映画が実際に完成していたら、間違いなく映画の歴史は変わっていたでしょうね。
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『エル・トポ』『ホーリーマウンテン』などで知られるカルト的な人気を誇る映画監督「アレハンドロ・ホドロフスキー」。SF小説の超大作『DUNE 砂の惑星』の実写映画の監督することになった彼は、並々ならぬ情熱を注ぎこみ、映画の制作準備に取り掛かる。サルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズなどの大スターたちをキャストとして迎え入れ、準備が着々と進んでいたにも関わらず、その映画は撮影することなく制作が中止されてしまう。後の映画に多大な影響を与えた「存在しない映画」の制作秘話を、ホドロフスキー監督本人をはじめとする関係者たちへのインタビューや当時の資料を基に解き明かしていくドキュメンタリー。
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映画評論家としても活躍されているライムスターのラッパーである宇多丸さんは本作を「ホドロフスキー監督の魅力を描いたアイドル映画」と評して絶賛していました。私もそう思います。私は本作を観るまでは『エル・トポ』『ホーリーマウンテン』などの映画はおろかホドロフスキー監督の名前すら知らない状態でしたが、本作を観ただけでホドロフスキー監督のことが好きになるくらいには彼の魅力が強く表れた映画になっていると思います。
とにかく全編通して、ホドロフスキー監督の作る『DUNE』がいかに素晴らしいものだったかを語る内容になっていて、「どのようにして制作を進めていったのか」「どのようにして一流のスタッフを招集したのか」といった、武勇伝にも近い苦労話が展開されていきます。「このような経緯でキャストを集めた」と自慢げに語るホドロフスキー監督の語りの後に、そのキャスト本人がその時の話をする。最初は武勇伝めいたホドロフスキー監督の話を聞いて「自尊心の強いオッサンの誇張を含んだ大げさな話」かと思っていたら、紛れもなく事実だったのが分かります。これが面白い。
本作の監督であるパビッチ監督も「ホドロフスキーは生来のストーリーテラーだ」と語るように、彼の語りは引き込まれるように面白く、多くの観客やスタッフを惹きつける魅力があるのが分かります。多くの一流キャストがホドロフスキー監督のもとに結集し、歴史を変える映画『DUNE』の制作に向けて動いていた理由が理解できますね。
本作の前半は、最高の映画を制作するために文字通り世界中を飛び回り、一流の「戦士たち」を招集し、映画のプロットも出来上がり、撮影も間近というところまで進みます。「制作中止になった映画のドキュメンタリー」と聞いていたのに中盤くらいまでトントン拍子に準備やキャスティングが決まるので、「なんでここまで順調なのに制作が中止されたんだろう」という疑問がどんどん大きくなってきます。
そして映画の終盤。ついに「とある理由」で映画の制作は中止に追い込まれます。この理由がなんとも皮肉ですね。この「理由」が無ければ間違いなくここまで映画の制作準備は進まなかっただろうに、それが原因で映画の制作が中止に追い込まれてしまうなんて。
しかしホドロフスキー監督が情熱を費やして『DUNE』の制作に取り掛かり、世界中から情熱溢れる一流のキャストを招集していなければ、間違いなく映画の歴史は一歩後退していました。『エイリアン』は生まれなかったでしょうし、『スターウォーズ』も違うものになっていたでしょうし、後世の映画も変わっていたでしょう。この世に存在しない映画にも関わらず、間違いなく映画業界に革新をもたらしました。
そして本作『ホドロフスキーのDUNE』が制作されたことをきっかけに、『DUNE』の制作中止以降疎遠になっていた監督のホドロフスキーと製作のセイドゥーが再会し、ホドロフスキー監督の23年ぶりの新作映画『リアリティのダンス』が制作された。本作もまた、間違いなく映画の歴史を変えた作品であったと私は思います。
映画好きなら観て損はしない作品です。オススメです!!!
彼がこんな人物とは知らなかった!
なんて映画愛に溢れた人なんだ!!
しかしこのDUNE、幻だったからこそ輝いてるようにも見える。なんせ絵コンテが最高だし。
真の映画人しか知らない秘密奥義みたいじゃないですか。
いろんなSF映画と比較してくれるし、ドキュメンタリーとしても最高でした。音響が良かった。
にしてもデヴィッドリンチのデューン、楽しみに見てやる。
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