第70回ベネチア国際映画祭開幕!コンペは「風立ちぬ」ほか刺激的な20本
2013年8月29日 14:00

[映画.com ニュース] 今年で70回目を迎えるベネチア国際映画祭が、8月28日(現地時間)に開幕した。カンヌ、ベルリンと並んで三大映画祭と称されるベネチアは、そのなかで最も古い歴史を持つ。今年は第70回を記念し、70人の映画監督に短編製作を依頼したオムニバス作品「Venezia 70 - Future Reloaded」が特別上映される。日本からは同映画祭に縁の深い塚本晋也と園子温が参加している。
今年のコンペティションは、計20本。日本映画では宮崎駿の「風立ちぬ」が出品されるほか、特別招待作品に李相日がクリント・イーストウッドの名作をリメイクした「許されざる者」と、荒牧伸志のCGアニメーション「キャプテンハーロック」、オリゾンティ部門に園子温の「地獄でなぜ悪い」の計4本が並ぶ。審査委員長のベルナルド・ベルトルッチを囲む審査員メンバーには、「ラスト・エンペラー」でベルトルッチとコラボレーションを果たした坂本龍一が加わった。また旧作を上映するベネチア•クラシック部門には小津安二郎の「彼岸花」(1958)、中村登の「夜の片鱗」(64)、大島渚の「戦場のメリークリスマス」が出品され、日本にとってはことさらなじみ深い年となった。
今年のコンペティションは、グザビエ・ドラン、ジェームズ・フランコ、ジョナサン・グレイザーら刺激的な若手と、スティーブン・フリアーズ、テリー・ギリアム、ツァイ・ミン・リャン、フィリップ・ガレルらベテラン勢がバランスよく混ざった顔ぶれ。さらにアカデミー賞ベストドキュメンタリー監督、エロール•モリスが元米国務長官のドナルド・ラムズフェルドに肉迫した「The Unknown Known」などの注目作が並ぶ。映画祭ディレクターのアルベルト・バルベラは記者会見で、今年のセレクションについて大胆さとベネチアならではの特徴を目指した意図をこう語った。
「ソーシャルネットワークが氾濫しても、映画祭はつねに映画を見る上での特等席と考えている。それだけに見る価値のあると思える作品を選ぶこと、単にさまざまな映画のショーウィンドウとなるのではなく、映画の真髄と言えるような作品を選ぶことを心がけた」
また一度は審査員長の座を断ったものの、バルベラの熱意にほだされて受けることにしたというベルトルッチはこう付け加えた。「彼の熱意ある手紙を読んで、自分の映画界に対する、特に若手監督たちに対する責任感のようなものを刺激された。金獅子賞には自分のキャパシティを超えるような作品、自分をびっくりさせてくれる映画を選びたい」
映画祭は9月7日に閉幕し、各受賞作が発表される。(佐藤久理子)
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