ノーベル文学賞受賞作家ル・クレジオ氏は小津&溝口ファン
2008年10月15日 12:00
[映画.com ニュース] 村上春樹は受賞できるか?と日本のマスコミも大注目だった今年のノーベル文学賞。結果は、フランス出身の作家ジャン=マリ・ギュスターブ・ル・クレジオが、「新しい出発、詩的冒険、官能的エクスタシーの作家であり、支配された文明社会やそれを超えた人間性の探究者」との理由で受賞した。
ル・クレジオ氏は1940年4月13日、イギリス人医師の父、フランス人の母の間に南仏ニースで生まれた。ナイジェリアで少年期を過ごし、英ブリストル大、仏ニース大で文学を学んだ。63年、23歳の時に発表した処女長編「調書」で仏ルノード賞(文学賞)を受賞。以後の主な小説やエッセイに、「大洪水」(66)、「物質的恍惚」(67)、「悪魔祓い」(71)、「砂漠」(80)、「ディエゴとフリーダ」(93)、「はじまりの時」(03)などがある。
北アフリカや中米を放浪しながら創作活動を行ってきた同氏は、一貫してヨーロッパ文明への批判的視点と神話的世界への志向を豊かなイメージでつむぎ出してきた。06年、36年ぶりに来日して東京外国語大学で講演、奄美諸島や北海道をフィールドワークとするなど、日本にもなじみ深い作家である。
熱心なシネフィルとしても知られる同氏の07年にカンヌ国際映画祭60周年を記念した映画エッセイ「Ballaciner」で、リュミエール兄弟から、現代のインド、イラン、韓国の映画まで、映画の歴史をつづっている。また、溝口健二監督の「雨月物語」、ジャン・ビゴ監督の「アタラント号」、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「情事」、ラース・フォン・トリアー監督の「奇跡の海」を引用しながら文学との“共感覚”について言及。また、映画の旅として、「東京物語」で世界的に有名な小津安二郎監督が脚本家・野田高悟とともに数々の傑作脚本を生んだ神奈川県茅ヶ崎市の「茅ヶ崎館」を“巡礼”するなど、同氏の親日ぶりがうかがえる本になっている。
関連ニュース
イザベル・ユペール「謎が残っているからこそ想像力が働く」 「不思議の国のシドニ」日本で撮影の愛と再生の物語、意外性あるラブシーンにも言及
2024年12月15日 15:00
映画.com注目特集をチェック
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
【魂に効く珠玉の衝撃作】「私が死ぬとき、隣の部屋にいて」――あなたならどうする?
提供:ワーナー・ブラザース映画
キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド
【本作は観るべきか、否か?】独自調査で判明、新「アベンジャーズ」と関係するかもしれない6の事件
提供:ディズニー
セプテンバー5
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】こんな映像、観ていいのか…!? 不適切報道では…?衝撃実話
提供:東和ピクチャーズ
君の忘れ方
【結婚間近の恋人が、事故で死んだ】大切な人を失った悲しみと、どう向き合えばいいのか?
提供:ラビットハウス
海の沈黙
【命を燃やす“狂気めいた演技”に、言葉を失う】鬼気迫る、直視できない壮絶さに、我を忘れる
提供:JCOM株式会社
サンセット・サンライズ
【面白さハンパねえ!】菅田将暉×岸善幸監督×宮藤官九郎! 抱腹絶倒、空腹爆裂の激推し作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
激しく、心を揺さぶる超良作
【開始20分で“涙腺決壊”】脳がバグる映像美、極限の臨場感にド肝を抜かれた
提供:ディズニー