「逮捕歴のある私以外には撮れない!」角川春樹監督作「笑う警官」製作会見
2008年10月9日 12:00
[映画.com ニュース] 「男たちの大和/YAMATO」(05)、「蒼き狼 地果て海尽きるまで」(07)、黒澤明映画のリメイク「椿三十郎」(07)のプロデューサー角川春樹が久々にメガホンを取る新作映画「笑う警官」の製作会見が、10月8日、撮影が行われている東映大泉撮影所(東京・大泉)で行われ、製作・脚本を兼任する角川監督以下、主演の大森南朋、松雪泰子、宮迫博之らが出席した。
「笑う警官」は、昨年刊行され話題になった「警官の血」で知られる佐々木譲の同名ベストセラー小説が原作。北海道警の汚職を背景に、美人婦警変死事件の犯人に仕立て上げられた同僚刑事の冤罪を晴らそうと奮闘する刑事たちの活躍がサスペンスフルに描かれる。
メジャー作品では「REX 恐竜物語」(93)以来15年ぶり、劇場公開作品では「時をかける少女」(97)以来11年ぶりの監督作となる角川監督は「実は今回監督することが決まったのは、クランクインの3週間前。何の不安も感じてなくて、三池(崇史監督)のように年間に3本くらい撮っているような感覚で撮ってます」と自信たっぷり。続けて「やはり警察モノとなると、私以外に撮れないのではないかと思っている。(私は)逮捕された経験があって、麻薬まで仕込まれるというかなり酷い目に遭っている。脚本にも自分の体験を織り込んでいるので、リアリティのある映画になると思います。とにかく、一番の体験者が語る警察の暗部ということです(笑)。再び逮捕されることも恐れていない」と話し、会場を沸かせた。
また、今回初めて角川組に入ったメインキャストの3人は、本作の撮影と角川監督について「ワンシーンワンカットの撮影が続く精神的に過酷な状況の中、皆で頑張っている。角川監督の物作りに対する、誠実かつ真剣なところや時折見せるチャーミングな笑顔が大好きです」(大森)、「(男所帯の中で)一緒に野郎な気持ちになって頑張ってます。シリアスなだけでなく、情感があって、とても美しい大人の映画になると思う」(松雪)、「撮影前から怖そうな人だと思っていた角川監督は、現場に行くと怖い人で、飲みに行くとやっぱり怖い人でした(笑)。緊張感はあるけど、心地いい現場です」(宮迫)とそれぞれに語った。
映画製作を始めてから今年で33年になる角川監督は「数字は伏せておくが、東映と約束した目標興収を超えられなかったら、映画を辞めるつもり。今自分を賭けて、この映画を撮ってます」と、本作に賭ける並々ならぬ意気込みを語り、会見を締めくくった。
本作は9月18日にクランクインし、11月にアップ。公開は09年秋になるという。