ネタバレ! クリックして本文を読む
「パイロキネシス」(自然発火能力)を持つ少女チャーリーと、謎の政府組織との戦いを描いたSFスリラー『炎の少女チャーリー』(1984)のリメイク版。
生まれながらにしてパイロキネシスを持つ少女チャーリーは、人目につかないよう能力を隠しながら生活していたのだが、ついに謎の組織「DSI」が彼女の居場所を突き止めてしまう…。
原作はスティーヴン・キング。
テレパシー能力者でもあるチャーリーの父親、アンディ・マッギーを演じるのは『ハイスクール・ミュージカル』シリーズや『グレイテスト・ショーマン』のザック・エフロン。
キングの原作小説「ファイアスターター」(1980)とリメイク元の1984年版はどちらも未見。
炎系能力者とそれを追う秘密結社による異能バトルもの。そんなん絶対面白い奴やん!!…と思い鑑賞してみたのだが…。
…いや、これは酷い…。マジで褒めるところが何一つとしてない。監督自身もこれ面白いと思って作ってないっしょ?
本作から透けて見えるのは現場のカツカツ具合。物語の規模に対して予算が足りていないのが丸わかりで、恐ろしいほどにチープ。秘密結社のアジトに人居なさすぎるだろっ!!💦
一応製作費は1,200万ドル。1億ドルや2億ドルは当たり前のハリウッド映画にしてはそりゃ低予算なのだが、それにしたって日本円にして18億円くらいにはなる訳だからまるっきりお金が無かったのではないはず。一体その製作費はどこに消えてしまったのか?ザック・エフロンのギャラに全部使ったのか?
『X-MEN』のような異能力バトルものを期待していると完全に肩透かしを喰らう。だって追っ手が1人しか出てこないんだもん。人手不足も大概にしろっ!!
とはいえ、1人だとしてもそのキャラクターにインパクトがあればドラマは十分に成り立つ。『ターミネーター』(1984)なんかはその最たる例だろう。しかし、本作に登場するネイティブ・アメリカンのオッさんはとにかく地味。なんか超能力持ってるっぽいけどそれが何なのかもよくわからん!
警官を容赦なく射殺し、あまつさえチャーリーの母親まで殺害しているのに、なんか最後は改心してチャーリーを保護しているし…。この人のモチベーションは一体どこにあるんだ!?
物語は起伏がなく、とにかく単調で退屈。94分というタイトなランタイムだが、それすら持て余している感がある。ヒッチハイクなんかしとる場合かーーっ!!
あの黒人じいちゃんとのエピソードも必要性を全く感じないし…。マジで何だったんだこの映画?
予算不足とは関係なく、この映画ダメだ…と思ったのは冒頭のカエルを解剖するシーン。
カエルのお腹にメスを入れるチャーリー。それを横で揶揄ういじめっ子。その光景を見て担任の先生が一言「チャーリー、今ならインターネットで調べられるのよ。もうこんな事しなくていいのよ」…。……?カエルの解剖をさせてるのはアンタやろっ!
チャーリーの家にネット環境がない事を説明したいがために挿入したやり取りなのだろうが、このシーンの意味不明さにのっけからクラクラ。「あっ、この映画ヤバいかも…」と不安が過ったがその予感は見事に的中してしまった。
「キング原作の映画史上最低の出来」とまで貶された作品だが、確かにこれは酷い。ドラマの1エピソードのようなスカスカさで熱量も全く感じられず、何故作ってのか理解に苦しむ紛う事なきクソ…もといヤケクソ映画だった。
せっかく面白くなりそうな題材なのに…。監督と脚本家は「ジョジョ」でも読んで超能力バトルについて勉強しろっ!!
…この映画、音楽担当してるのがあのジョン・カーペンターなんですね。いや、それなら彼に監督を任せろよっ!!カーペンターならこのヘッポコ脚本でもそれなりのものを作り出せただろうに。うーん勿体無い。