さがすのレビュー・感想・評価
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彼らは何を探す?
色んな意味でとんでもなかった!!!👏
ヤバさ
リストの「愛の夢」に助けられた
複雑な心情
監督の才能は感じるけれど・・
ずっと気になっていた映画「さがす」
もうそろそろ上映も終わりかなとテアトル新宿にいくと、ほぼ満席!
すげーなと思ってたら、どうやら上映後に佐藤二朗のトークショーがあるようで、それ目当ての客だったよう。
久しぶりに両脇の席に人がいる状況での鑑賞。
ちょっとコロナ的に緊張もしますね。
作品は・・・
娘役の伊東蒼さんが凄いってのは、どこかで耳にしてましたが、本当に凄かったです。もっともっと出番を増やしてほしかった。父親を誘拐した、と思い込む相手を西成の街で追いかけるシーンは、プロジェクトXのようで最高でした。
そして。。。
えーっと、メインのストーリーは僕はちょっときつかったです。
単純に、人を殺すシーンのリアルなのをみるのは苦手だってのもありますが、「自死を望む人の手助けするように近づく殺人者」という、最近の事件をモチーフにしながら、その描き方が少しストレート過ぎて、深みがなかったなと。殺人者の動機というか必然性も、性的な嗜好性のみで、ほぼ描かれてないし。
真面目な話をすると、もし同じような揺らぎを(被害者的でも、加害者的でも)心に抱えている人が見たら、と心配してしまったのも事実です。
「岬の兄妹」は見てないですが、たぶんこの監督はそんなにテーマの重さに頼らなくても素敵な作品を作れるし、きっとそうなっていくんじゃないかなと思いました。
会話やユーモアのセンスは最高だったので
それにしても「おかえりモネ」にも出ていた伊東蒼さんは、最高です。
事務所は、安藤サクラや岸井ゆきのが所属するユマニテ。
もうみんな知ってるのかもしれませんが、これからが超楽しみっす。
見事なモヤモヤ映画
突然姿を消した父親を探す女子中学生。父親が居なくなった理由は?何にも情報を入れてなかったので、親父は佐藤二朗だし、軽いコメディかと思って着席。
ん?なんか登場人物ほぼ全員嫌な感じだぞ。
父親思いの優しい女の子かと思っていたのに、結構、自己中でワガママな楓。人に唾吐くなんて、いつの時代の奴だ。人殺しの兄ちゃん、死にたい人を殺してやるのが親切だとさ。でも金貰ってるし、死体の足フェチ?そして妻を亡くした父親のモヤモヤ、こういう役、二朗さんはまるよね〜。で、まさかの事実。最後は娘に本当の自分を見つけられてしまう。
ずっとモヤモヤムカムカしっぱなし。退屈しないしスッキリもしない。これ凄くない?
ただ、この手の作品でいつも思うのが、警察があまりにもバカなところ。ALSの患者が自殺できる訳ない。殺人事件として捜査するでしょ普通。あと、殺人犯として指名手配されているのに、普通に働いている兄ちゃん。ありえないよ。
こんな感じで満足できた映画初めてかも。
娘の純粋さに負けました
十分面白い作品だけど、期待と前評判が高すぎた
前半はあまり面白みがなくだるい展開が続きます。主演が佐藤二朗となっていますが、ほぼ登場することもなく「娘(伊東蒼)が主役じゃないの?」と感じますが、後半に入るとガラッと雰囲気が変わってラストまで激流のように物語が動き出します。後半からが正に本番で「父(佐藤二朗)の物語」が始まり目が離せません。特に佐藤二郎と妻との物語は誰しもが1度は考えたことのあるテーマではないでしょうか。
またメイン出演陣の演技も作品を引き立てます。娘役の伊東蒼は別作品に出演した時から注目しており期待通りでしたし、佐藤二郎もシリアスな演技もできるんだなと見直しました。様々な社会問題を扱った重いストーリーでありながらエンタメ作品としても見ごたえのある作品でした。
ただ、大筋では面白かったからこそ、細かいところが気になり足を引っ張ります。
まず、前述のとおり前半が弱いです。後半へのフリなので仕方ない部分はありますが、であればもう少し娘と父の親子愛を深堀するシーンが欲しかったです。前半だけでは父親が「どうしようもないクズ親父」でしかないので、失踪した父を必死に探そうとする娘にイマイチ共感しきれません。また、
・娘のボーイフレンドが登場するシーンは必要性が無く邪魔
・警察の対応や捜査が不自然なくらいに適当すぎる
・時系列が少しわかりにくい
・小さな島で住民が殺され行方不明になっているのに近隣が誰も気づかない
・連続猟奇殺人犯の割に人の殺し方が雑
などなど
メインの部分は良かったのでもっと評価を高くしたいところですが、だからこそ細かいところまで作りこんで欲しかったです。公開前から楽しみにしており、皆様の評価も高かったので期待し過ぎたのが裏目に出てしまいました。惜しい。
カメラワークに引き込まれる。結構グロテスクなので苦手な人は気をつけて。
スリリングな展開に目を離せない
物語は前半と後半でざっくりと切り分けることが出来る。
楓の捜索を描く前半は、正直な所、割とコメディライクな演出があり、今一つ本腰を入れて観るという所までいかなかった。
ただ、後半から物語の視点は楓から失踪した父・智に切り替わり、時間軸も過去に遡って彼の失踪後の足取りがサスペンスフルに解き明かされていく。ここから画面にグイグイと引き込まれ、結果的に最後まで面白く観ることが出来た。
実はこの映画、オープニングからして奇妙な始まり方をするのだが、この場面を含め前半のストーリーは全て後半の伏線になっていたことに気付かされる。まずは、この巧みな構成に唸らされた。
また、今回の事件の裏側からは、ネット社会の闇、格差社会の弊害、介護ケアの限界といった問題が透けて見えてくる。ある種ジャンル映画でありながら、そのカテゴリーに収まらない、社会派的なテーマを扱った所に見応えを感じた。作品に奥行きがあり鑑賞後に色々と考えさせられた。
監督、脚本は「岬の兄妹」で鮮烈な長編監督デビューを果たした片山慎三。前作は社会から疎外されながら生きる障碍者兄妹の悲惨な日常を描いたインディペンデント作品だった。好き嫌いがはっきりと分かれる問題作だったが、その彼が本作で本格的に商業映画デビューを果たしている。
前作ほどのインパクトはないものの、人間の業や社会の病巣に迫ったところは前作同様、野心的である。商業映画だからといって作風をマイルドに収めるのではなく、描きたいテーマをとことん追求した所に氏の作家性が感じられた。おそらくこの作家的資質は、自身が助監督を務めたポン・ジュノや山下敦弘といった映画作家から強い影響を受けているのだろう。
演出は粗削りだった前作よりも洗練されており、進化の一途をたどっているという印象を持った。
例えば、序盤で楓が万引きをした智を迎えにスーパーに駆け付けるシーン。監視カメラの画面を巧みに使いながらさりげなく表現して見せるあたりは中々スマートだ。
あるいは、智の尋ね人のチラシを剥がすと、その下に連続殺人犯の指名手配のポスターが現れる、といった演出も中々心憎い。
ラストのロングテイクも見せどころを分かっているという感じで引き込まれた。
一方で、前作「岬の兄妹」の学校のシーンのように、明らかにギャグとして演出しているようなシーンも散見される。
例えば、自殺願望者ムクドリが中々死ねないというのは、シリアスな場面を壊すような破壊力に満ちているし、連続殺人犯の青年を保護した島の老人のキャラクター造形、並びにその顛末はほとんど悪ノリに近いユーモアが感じられた。ある種ブラックなテイストと言えるのだが、このあたりはポン・ジュノ監督譲りかもしれない。
加えて今回は抒情性を漂わせた演出もわずかに見られる。楓と智の父娘の情愛もさることながら、個人的には智とムクドリの関係にそれを強く感じた。特に、トイレで智がムクドリに服を着せてやるシーンには思わず涙腺が緩んでしまった。なぜなら、その手前で描かれた智と妻の関係性が、このシーンに重なって見えてしまったからである。これは作劇の上手さも奏功しているよう思う。
一方、唯一本作で不満に思ったのは楓と母親の関係である。劇中に楓と母親が絡む描写は一切なく、果たして母の死を楓がどう受け止めたのかよく分からない。おそらくひどく悲しんだのだろうが、具体的な描写がないため、その心中は推し量るしかない。ドラマの根幹を成す一つだと思うので、ここはぜひ描いて欲しかった気がする。
ともかくも、このように片山監督の演出は更に洗練されており、それによって作品の重厚感も前作より数段増しているという印象を持った。確かに万人受けする映画とは言い難い。しかし、今後の氏の活躍がますます期待できそうなクオリティの高い作品であることは間違いない。
どこまで見えているのか
舞台は大阪西成
伊東蒼さんこれから楽しみ
映画の途中から、流れる空気感がふっと変わるところが飽きなく惹きつけられました。
この映画では
いつもと違う佐藤二郎さんがきっと見られるのだろうと期待したのですが、
良くも悪くも佐藤二郎は佐藤二郎だな、と。
ちょっと期待はずれです。
ラストシーンの卓球は見ものです。
「空白」で伊東蒼さんのことを知りました。素晴らしい役者さんですね。これからたくさんいろんな役を見せてほしいです。楽しみにしています。
さがす!!さすが!
口の中が渇いた感覚のする作品
観終えた時に、口の中が異様に渇いた感覚のする作品でした。
佐藤二朗扮する父と伊東蒼扮する娘という父娘の物語ですが、2017年に座間市で起きた猟奇的連続殺人事件をモチーフにしながらも、強欲と傲慢、嫉妬と憤怒、色欲と怠惰、そして絶望と諦観という人間のダークサイドの感情によって齎される悲喜劇を描いている、といえます。
前半の社会ドラマ風ミステリードラマは、専ら娘の視点で描かれます。舞台となる大阪西成の土着的文化風俗の爛れた臭いを漂わせながらも、大阪らしいボケツッコミを間良く織り込んでテンポよく展開します。観客に不安感を煽った後にブレイクを誘い、巧妙にテンションを操り、情感と緊張の間で一種のトランス状態に浮遊させて、猶も探求心をそそるという上手いシナリオです。
ただ時制を遡る、後半の父親視点で描かれる殺人犯罪ドラマになると、情感は欠片もなくなり生々しい犯罪の客観描写に徹し、ひたすら畏怖感と嫌悪感が募るのみです。
台詞がない、又は殆どない、そして無論BGMなしでの長回しが頻繁に多用され、映像に深く重い余韻と息苦しいまでの重圧感を与えていきます。
特に後半は、ややローアングルでのカットが多いため、観客には余計に伸し掛かってくる、得体のしれない無気味な圧迫感を感じさせます。
父親、娘、そしてもう一人の若い男、主要な三人が挙って喜怒哀楽のない、殆ど無表情の演技で終始するのも鳥肌の立つ無気味さを煽ります。
ラストの父娘が卓球をするシーン、卓球台を挟んで打ち合う二人を、カメラはかなり引いた画面に収め、ほぼ無言で長回しするカットは、本作のシンボリックなシーンです。
親子といえども、その距離は目に見えながら、手が届かないほど遠く、実相は互いに計り知れない。見た目には、一定の心地良いリズムで機敏にラリーを続けながら、そこに通じるものはなく、ただ虚無空間が広がっているだけでした。
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