ある男のレビュー・感想・評価
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妻夫木の演技に震える
邦画ならではの陰鬱な空気が全体を支配しており、 個人的にはかなり好みでした。 幸いにして私は別人になりたいと思うような人生ではなかったので、 この映画の根幹となる問題提起には共感しづらい部分もありましたが、 それでもいろいろ考えさせられながら楽しみながら見ました。 この映画、いろいろ賞をもらったようですが、 そらそうだろうなって納得できるくらい、2022年の映画の中では良い出来でした。 妻夫木聡が、仕事なのでニコニコ振舞いながらも怒りを募らせていく演技が圧巻でした。 1点、 カエルの子はカエル、殺人犯の息子は殺人犯みたいなものが根底にあって それに苦しんでいる・・・ってのは必ずしもそうかなぁと少し気になりました。 人生のスタートからしてハードモードなのは間違いないと思いますが なんとかやっていけるんじゃないのかなぁ・・と 戸籍を変えたところで自分は自分じゃないのかなぁ・・ でもそれは自分が恵まれてるからそういう立場になってみないとわからないことなのかなぁ ・・・とか 色々考えさせられました。
映る顔
窪田正孝の演技が秀逸。親父似の顔に戦慄する表情がこの男の行動に説得力を与える。説得力といえば真木よう子。艶かしいラインに目移りしていたら、そういう話になるものか。 避けようのない出自と言われなきヘイトがテーマであるが、名を捨てようが捨てまいが、今をただ生きるしかないようである。
X
榎本明の怪演ぶりが物語に緊張感をもたらしてるように感じ、ふと「羊たちの沈黙」(91)のレクターを思い出しました。主人公X(窪田正孝)は、子供の頃の不幸な事件によって自分のアイデンティティを壊されてしまったのでしょう。意外な真相が明らかになってからの谷口里枝(安藤サクラ)の台詞に涙が出ました。なぜか不幸は連鎖する、重苦しい印象が残りました。
この作品を評価する映画業界はまだ終わってないと思った
ストーリーは、正直そこまで広がりがあるものでもなく、過去がわかったところでどうなんだという点に物語が収束してく感じが後半からする。 この物語を普通に演出したら本当につまらない映画になると思う。 勿論、色々な映画の語り方があると思うし、もっと適切な語り方もあるかもしれない。 でも、この危うい物語を映画ならでは表現(しかも派手さのない地味な表現)を使って、そして物語に奥行きと深みを持たせたことはとても凄いと感じた。 物語というより、映画の語り方がとても良い。 正直、この作品が映画業界で評価されるとは思ってもいなかった。 まぁ、アカデミー賞や映画祭ってのは、色々な力のバランスがあるとは思うけど、でもその中でもこの派手さのない作品が結局選ばれたってのはね。いいよね。
小説と同じ位かそれ以上
平野啓一郎の小説は大抵読んでいる。 だいたい映画化すると、残念になる事も多いと言われているが、この映画は小説と同じ位良かった。 安藤サクラは淡々と夫を亡くした妻を演じている。妻夫木聡もいい。 それに柄本明は怪優。あの人が静かに流れる映画の中に不穏な雰囲気を作っている。 亡くなった夫がどう生きてきたのか。 丁寧に描かれている。世の中にはいろんな人が溢れてるけど、こんな風に生きてる人いるかもしれないよね。生き直そうとしてたんだな。 あらすじはやりきれないものだけど、最後は辛く悲しくなんかない。それがいい。
自分とはなにか?
自分が誰であるかの証拠が 自分の人生にいかほどの影響を 与えているのか? 刹那の今からこの先の未来だけをみて 相手と向き合うことの大切さ。 自分が平和沼に陥ってると忘れがちな現実。 期待を裏切らない作品だった。 冒頭の絵画が全てを語っている。 これは映画の世界の話だったか、と 見終わった後に現実と混乱しちゃうくらい 名演な俳優陣でした。
他人の人生
離婚して子連れで故郷に帰った里枝は、林業に従事する大祐と再婚。二人に子供も生まれ幸せにしていたが、事故で大祐は亡くなってしまう。その後、大祐の兄が遺影を見るなり弟ではないと告げる。里枝は城戸弁護士に、死んだ夫の身元調査を依頼し。 真相は想定を大きく超えたものではありませんでした。でも、二人の大祐だけではなく城戸の人物像も掘り下げていて、物語に奥行きがあって良いです。
自分が結婚していた相手は誰なのか? その謎を解くミステリーかと思い...
自分が結婚していた相手は誰なのか? その謎を解くミステリーかと思いきや現代社会の問題や人間の業などを突きつけられてハラハラではなくゾクゾクした。 安藤サクラが主演なのでは?と思って観ていたのが最後まで観た時にだから妻夫木聡が主演だったんだと理解した。 ちょっとスッキリしない部分もあるから原作も読んでみたい。
ちょうどいいバランス
エンターテイメント的に謎解きしつつ、終始一貫してアイデンティティ、名前について多角的に丁寧に描いてくれていて面白かった。 ポジティブとネガティブそれぞれにちゃんと振りながらバランスも取れており良い
知らないほうがいいことは、知らないほうが良い
脚本が向井さんで、カメラが近藤さん。そう来たかとという感じで、熊切さんとか山下さんとか含めて同時期に同じ学校で出会っていた才能にただ驚きますね(鬼畜大宴会)。 安藤サクラさんの後半のセリフ「知らなくても良かった。あの楽しい時間は確かにあった」。わたしも、そう思います。今を此処で生きていることなんて偶然みたいなものなんだから、余計な過去を気にしたり、ひけらかしたり、また知ろうとしたりする必要はありません。 映画は、去年のキネマ旬報2位ですよね?正直、それ程の感銘はなかったです。 エンディングは好きです。
出会って親しくなったかと思えば、次のシーンでいきなり結婚して娘が生...
出会って親しくなったかと思えば、次のシーンでいきなり結婚して娘が生まれて数年経っている。 あまりの展開の速さにのけ反ってしまったが、本題はここからだった。 事故死した夫が素性を偽っていたことが判明。 夫は一体誰なのか、という展開は興味深い。 弁護士が探偵のように人探しなどする暇があるのかは疑問だが。 ただ、ラストがよく分からなかった。 弁護士の男も他人と入れ替わっていたのか?
結婚して亡くなった相手が別人だった。 原作は未読。自分の存在自体が...
結婚して亡くなった相手が別人だった。 原作は未読。自分の存在自体が嫌になる人だっている。戸籍を捨ててほど変わりたい人だっている。戸籍が変わっても、その人がどのように生きるかで人生が変わる。ある男である窪田くんは幸せだったんじゃないかと。一緒にいた家族が誰がは関係なく、誰であっても幸せだと感じた時点で救われていたのだ。妻夫木くんの視点も重なると、暗い内容ながらもおもしろく観ることができた。うまく出来ている。 安藤サクラは平凡な女性を演じるに抜群にうまいなと再認識。窪田正孝、妻夫木くん、柄本明、キャストも良かった。
家族のかたちとは
良い映画でした! 家族とは何か、人生とは何かを考えさせられました。 役者陣もGOOD! 最後まで飽きることなく観れました。 ルーツや隠したい過去、みんなそれぞれあるよね。 それでも前を向いて生きられるか。 血の繋がらない家族でも深い絆があるんだね。
鏡のなかにいる自分が心の闇を映し出していた作品
悲しい過去がある心の壊れた男性、窪田正孝 演じる大祐が、事故で亡くなったことにより 判明した事実! 安藤サクラ演じる谷口里枝と、結婚して 前妻の長男、娘の花と幸せに暮らしていた 家庭に見えました。 他人の戸籍になる偽りの人生。 成り済まし。 アイデンティティー、自分の存在証明が 問われるストーリーでした。 妻夫木聡演じる、弁護士の城戸が 調査していくうちに自分の名前と違って いても、自分自身が家族を愛していた 揺るぎない気持ちが伝わってきました。 『また、名前が変わるの?』 里枝の息子が嫌な気持ちで母親に質問していたけれど、 大祐が里枝と結婚してからの人生が 彼のすべてだった。 そんな台詞が心に響きました。 本物の谷口も美涼に会えて良かったと思いました。 名前が違っていても、新しい自分を取り戻して いく、家族の愛情が通じ合うように 思えたストーリーでした。
対面にいる人はだれ?
とても考えさせられた作品ですね。 名前とは何? 生まれとは何? 親とは? しいては 自分はだれ? と考えさせられた作品。 スローテンポではあるが、グイグイと引き込まれた。 ラストは自分としては不要だったと思うが、全体的には良いと感じました。
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