余命10年のレビュー・感想・評価
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温かい気持ちでエンドロールまで
坂口健太郎は最初の自信無さげな青年からの成長をうまく表現できて良かった。
小松菜奈は期待通りの演技。小松は映画デビュー時点で本当に上手かったから、今回も当たり前に上手いと思う。
ストーリーはある意味題名そのまま。想像される展開が続くが、それも良かった。
焼き鳥の店をやる展開がキャラ設定から少し違和感を感じてしまい、興を削がれた。しかし、
出てくる人はいい人ばかりで悲劇ではあるが、温かい気持ちでエンドロールまで観られた。
『よい映画』の定義とは。
待ちに待った、藤井道人監督×小松菜奈様の作品でございます。
四季の映像と音楽が美しすぎて、泣きました。
『美しすぎて泣くってどういう感情?』と、客観的に思いながらも泣きました。
とにかく、ディテールが細かく丁寧に作られた作品。
作り手の心が伝わってきます。
こんなにパーフェクトな作品って、他にあるのだろうか。
『よい映画』の定義とは、エンドロールになっても観客が席を立たないことだと思っていて、まさしくこの映画がそうでした。
エンドロールでも、誰も席を立たなかった。
爽やかでみずみずしく、それでいて心がジンワリとする、あたたかい作品です🌸
捧げる作品
原作の印象として家族は一貫して温かい存在として描かれているんですね。
そして、原作の中に、
ごめんなさい。
誰より遅く生まれたのに、誰より早く死んでしまって。
って有るの。
茉莉の家族構成からすると少し違和感が有ったんだけど、原作者の小坂さんは四姉妹の末っ子みたいなんです。
ここを含めて原作の茉莉の家族に対する思いは、原作者自身の家族に対する思いなんでしょうね。
それでね、この映画の舞台挨拶で小坂さんの家族の手紙が読まれたのを動画で見たんです。
「家族の中で最後に生まれた私が、最初に死ぬなんて何故。と、言われて返す言葉も見付からないまま旅立たせてしまった、娘の最期の姿が目に焼き付いておりますが、この映画のおかげで笑顔の姿に変わりました」
と、メッセージが伝えられたの。
映画は原作以上に茉莉に小坂さんを重ねて描かれていると思うんです。
この映画が、小坂さんの愛する家族の力に少しでもなったのなら、それ以上の事は無いんじゃないかな。
だってこの映画は、小坂さんに捧ぐ映画なのだから。
感動シーン耐えられない
実話に気を使いすぎたのか、フィクションとしての限界は感じた。
なぜあの男に惹かれたのか?
情けない男だったのが、立派になった、という彼の10年間も描きたかったのはわかるが、情けないなら情けないなりのスペシャル感が欲しい。
祭りでも海でも誕生日でも、シーンを重ねるだけでなくひとつひとつのエピソードがラブストーリーの見どころのひとつだと思う。
二人の別れのシーン。
どっちの目線なのかどっちつかずで損してる。
次のシーンが実家なことを考えると、彼女の方からめいっぱい強がってもっと拒絶すべし。
そしたら実家のお母さんのシーンでもっと泣けるはず。
そして彼はなぜ追いかけない?うずくまって泣くだけ?アホ?としか思えなかった。
それと、あれだけ手術痕のことを振っといて、彼に初めて傷を見せるシーンがないのはなぜ?
やっぱり小松菜奈さんの目力演技凄い❣️
「恋は雨上がりのように」からの小松菜奈さんのファン。それで監督が今イケイケの藤井道人氏とくれば、観るしかない。難病で余命10年の茉莉(小松菜奈)と生きる意味を失っていた同級生の和人(坂口健太郎)が出会い、恋に落ちて短いのか長いのか分からない10年を駆け足で生きる物語。相変わらず、小松菜奈さんの目力が凄い。涙を流す演技は俳優最高峰だと思う。
今回の作品は、10年という時の流れを2時間で表現するお手本のような仕上がりです。オリンピックが東京に決定。スカイツリーの完成。元号が変わるニュース。桜に象徴される季節の移り変わりなどが、10年というタイムリミットが近づいていることを意識させてくれます。茉莉は最初は出会わなければ良かったと思っていたが、この2人は出会ったからこそ濃密な10年を過ごせたのだと思う。映像が綺麗で撮り方が実に細かいのは、さすが藤井監督。是非脚本もやって欲しかったな。脇役の松重豊もいい父親を演じてたし、なんといってもリリー・フランキーがいい味出してました。なにやらせても馴染むんだよなあ〜この人。最後に、よく新型コロナの手前で止めてくれました。映画の中では皆んな観たくないと思う。無理くり入れた過去作でドン引きした者より。
ジャスミンの花のように可憐に咲いたのであった
小松菜奈は去年(2021年)公開の映画「ムーンライト・シャドウ」ではほどよく筋肉の付いた健康的でバランスのとれた素晴らしいプロポーションを披露していたが、本作品ではとても痩せて弱々しく見えた。減量したそうである。女優魂というよりも、役に入れ込んだからこその減量だろう。高林茉莉はそれほどの大役だった訳だ。
茉莉と書いて「まつり」と読む名前である。茉莉はジャスミンのことで、茉莉花とも書く。茉莉花茶(ジャスミン茶)として中華料理店で提供されるほど、香りの強い花であるが、見た目は清楚で可愛らしい。薔薇の字を名前にするのは重すぎて憚られるが、茉莉や茉莉花は名前にちょうどいい感じで、付けられた子供も苦にならない。いい名前だと思う。
映画「8年越しの花嫁」を思い出す。脚本も同じ岡田惠和さんだ。あちらは瀬々敬久監督でこちらは藤井道人監督。年月もよく似ているが、あちらはどん底からのスタートで、こちらは幸せな恋からのスタートである。どうなることかと観ていたが、流石に「新聞記者」の監督だ。物語の緩急とメリハリが実に上手い。そしてそれに応えた小松菜奈の演技が素晴らしい。
相手役の坂口健太郎も一生懸命な演技で好感が持てた。加えて脇役陣の名演が人生の機微を上手に伝えている。リリー・フランキーの思いやりのある短い台詞がなんとも味があった。人の優しさとはこうでなければいけない。松重豊のお父さんも同様に短い台詞やちょっとした仕種に娘への気持ちが溢れていた。この二人はもはや名人である。そこに奈緒と黒木華が絡めば鬼に金棒だ。いい作品にならないわけがない。
人間は他人の死を死ぬことができない。死は常に孤独に迎えるものである。そして親しい人間の死は、常に悲しい。中島みゆきの「雪」の歌詞に次の一節がある。
手をさしのべればいつも
そこにいてくれた人が
手をさしのべても消える
まるで淡すぎる雪のようです
小松菜奈が演じた高林茉莉は、淡い雪のようでもあり、舞い散る桜の花びらのようでもある。そして付けられた名前にたがわず、ジャスミンの花のように可憐に咲いたのであった。
涙が止まらない〜
見てよかった
まず、原作と映画の人物像が違った事に違和感を感じた
けれども、個人的な感想ですが、映画を見終わった後
納得出来た。
小説版は、作者がそうでありたかった自分と
言われたかった言葉が詰まっていたのだと感じた。
逆に映画版は、まつりにカズトが言った
【頑張った、頑張った】というセリフが
原作には無かったし、周りの人間が作者に伝えたい
一番の気持ちなんじゃないかと感じました。
それを聞いた時に
小説版は、長文の遺書
映画版は、関わってきた人間の遺書に対する返事も
含まれていたのかなと感じました
悲しいけど優しい物語だと思います。
演者の良さと映像の美しさ。
キャスト、スタッフが好きな方ばかりだったので鑑賞。
原作小説は、作者が自身と同じ病気を持った主人公を据えた恋愛小説とのこと。
ただ、ひねくれ者の私は「病気に侵されたパートナー(彼氏彼女)いずれかが死ぬ話」(+配給会社による「泣ける話」としての売り出し方)に食傷気味だった。
本作も病気で十年は生きられなくなると告げられた二十歳そこそこの女の子・まつり(演者・小松菜奈)が主人公。
おおまかなストーリーはこのまつりが死を自殺未遂を図った青年・カズ(演者・坂口健太郎)と出会い、時間を重ねることで諦めていたと思っていた「生きる喜び」を見出せるようになるけれど、病気は当初の通り進行していて…という感じ。
本作、まず映像がとても美しかったのがとても印象的だった。
春の桜、夏の海、秋の紅葉、冬の雪山。四季(時間の流れを感じさせる)が意識的に画面に取り込まれてて、しかもこれらはそれぞれまつりとカズくんにとって重要なシーンにもなっている。
まつりは病院で亡くなった女性のビデオカメラを譲り受け、友人や家族や風景を撮るのだけど、そこに映る風景が本当に美しく、人々は喜びに満ちていて、だから観ながらどうしても涙が出た。終わりを意識すると普段何気なく見ている景色が美しく儚く見えるものだけど、それが本作の映像からも伝わってきて胸が苦しかった。
演者の皆さんもとても良くてやはり小松菜奈さんはすごい。印象的なのは登場人物とのやり取りの自然さ(本作、直接セリフに言葉で感情を載せるのではなく日常会話の中に悲しみややり切れなさとか、本音を隠してるのが滲むようになってたのが良かった)や、横顔で語る心情。自分の机でひとり、ピルケースに薬を入れる彼女の横顔、キーボードで文章を打ち込む横顔が脳裏に焼き付いている。
坂口健太郎さんもふわっと笑うところが本当に素敵で、カズくんの焦り、戸惑い、喜びが表情やセリフから放出されててとても良かった。
あと山田裕貴くんのノリが良く面倒見の良い同級生も「身近にいそう!」感が良かったし、奈緒ちゃんの程よい距離感でまつりを心から心配する親友感もすごく良かった。
妹の前でしっかりあろうとする黒木華さんのお姉ちゃんもリアルすぎて胸が苦しくなったし、あと松重豊さんの静かに娘を心配し続けるお父さんも良かった。
リリーフランキーさんの焼き鳥屋大将の静かでぶっきらぼうだけど温かい感じも良かった…。
まつりとカズくんの恋は本作のひとつの主軸ではあるけど、それだけではないと感じられるのも良かったな。
カズくんがちゃんと生きようと思い直す物語でもあり、病気になってなんでも諦めてようとしていたまつりが手を伸ばせるようになった物語でもあった。
あと私たちは未来が当たり前にあることを前提に話をしたり、人生の予定を立てたりするんだな、と本作を観て気付いた。
来年また来ようね、とか、数年後の東京オリンピックが、とか。
それが決して当たり前のことではない感覚は忘れないでいたいなと思う。
悔いなき人生
余命10年という言葉を聞くと僕は「短い」と今まで感じていた。
というか余命という言葉を聞くと反射的に短いと思っていたかもしれない。
だがこの映画を観ると10年という数字が残酷に思えてしまう。
短くもなく長くもなく実に中途半端だ。
さらにこの数字は10年確実に生きれますという保証ではない、もしかしたら明日死ぬかもしれないし1年後死ぬかもしれないただ10年以上は確実に生きれませんよ。こんな事を言われて怖くないわけはない。
怖くないわけないよなぁと思いながらあるシーンを見ていて思い涙した。
藤井監督と脚本の岡田さんはゆっくりと時間をかけて茉莉と和人の出会いを描く。
それぞれが背負ってた苦しさ、お互いに心惹かれる瞬間、距離感の変化これらが実に緻密に丁寧に的確に描かれていく。
俳優さんの演技も皆さん素晴らしかった。
沙苗とタケルの結末は「現実だとそんなもんだよなぁ」と妙なリアリティを出していたり。
某チ○ちゃんよりよっぽど「ボーっと生きてたらダメだな」と思えた。
ただ、見守る。。だけ。
違う俳優さんでつくってほしかったかな…
安っぽくない・・☆
予告編で、タイトルを見ただけで、良くあるお涙映画か・・とスルーしていた作品だったが、
「情熱大陸」の藤井道人の特集で彼がメガホンをとり、脚本に岡田恵和の名前が
あがっていたので、鑑賞することに。
やはり、今のっている監督の作品だけあって、とても良かった。
小松菜奈が理不尽な病気に向き合う姿も坂口健太郎の不器用さも良いが、
脇を固める俳優がそれぞれに素晴らしい雰囲気を出す。
特に男性陣、父親役の松重豊、焼き鳥屋店主のそのままのようなリリー・フランキー、
主治医役の田中哲司。
病気の家族を抱える父、母、姉の葛藤が胸に迫ってくる。
小松菜奈が、処方される大量の薬を飲む順番にケースに収めていくシーンが
何ともいえなく悲しい。
泣けと言わんばかりになりそうな物語を、へんな美談にもせずに淡々と
描きながら、美しい映像で紡いでいくところが素晴らしかった。
この手の映画で、見て良かったと思える数少ない作品。
マスクの予備とハンカチ必須
まつりちゃんが思い出の彼とのビデオを泣きながら順番に消していくシーンが本当に涙が止まらなかった😭違う誰かの人生を覗いたみたいで不思議な感覚でした。こんなに泣いた映画は初めてです。最高でした。
初めて泣きました。
20代という人生の輝くべきときを死と隣り合わせで過ごした原作者の想いを、感性豊かにくみ取り、繊細に表現した作品
まず、何度も繰り返される満開の桜のシーンが、
藤井道人監督の原作者を優しく見守る眼差しのように感じられ、印象的だった。
圧倒的な美しさで咲きほこる桜の力強さと、
はらはらと風に散るはかなさが、茉莉に重なる。
そして、茉莉の時間が止まっても、
桜は春がくると同じように満開に咲き、時を刻み続ける…
主演の小松菜奈と坂口健太郎もよかった。
最初、二十代の女の子がこんなにも達観したように
過酷な運命を受け入れられるものかと思ったが、
終盤、こらえきれず「死にたくない」と母親に泣きじゃくって押し殺してきた感情をぶつけるシーンには、泣いた。
小松菜奈の繊細な演技は素晴らしかった。
坂口健太郎も10年という時間とともに人間として成長してゆく和人をうまく表現していた。
RADWIMPSの野田洋次郎も、彼の鋭い感受性で、見事にこのストーリーを1つの曲として表現していた。
エンディングが沁みたー
余命を知らずに生きることを許された者たちは、だからこそ、1日1日を大切に生きる責任があるのかもしれない。
美しい映画だった。
全419件中、301~320件目を表示