THE FIRST SLAM DUNKのレビュー・感想・評価
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懐かしくも新鮮な味わいを凝縮させた傑作
何も情報を入れずに観て本当によかった。まさに目から鱗。子供の頃から心と体に染み込んでいるはずの物語がこれほど新鮮に感じられるとは衝撃だった。本作を観て改めて気づかされたのは、そもそも「スラムダンク」の本質が5人の主人公たちが共に織りなす群像劇だったということ。筆先から生み出される横一線に並び歩く姿そのままに、各々が濃密な個性を打ち鳴らし、それが合わさることで疾風怒濤のハーモニーが生まれゆく。その上、本作に限っていえば、伝説の山王戦に時間軸を定め、さらに5つの視点の重心を変化させることで、我々が慣れ親しんだハーモニーから”これまで聞こえてなかった響き”を鮮やかに抽出してみせる。これは原作者だからこそ成し得た画期的なアプローチと言えよう。公開から約一月が経つのに人気が衰えない。年の瀬らしく僕の観た劇場では家族連れや地元の古い仲間どうしで鑑賞する人も多く、その様子がもう一つのドラマを生んでいた。
CGアニメーションだからできた運動描写
本作のようにリアルで本格的なバスケットボールのシーンを作るには、この方法しかなかったと思う。手描きアニメでは、物量的に厳しい。実写映画では、これだけのプレイができる役者を探すことが難しい。本作はモーションキャプチャによる3DCG作品だが、この方法でしかこの動きは作れないだろう。
モーションキャプチャは人の動きをデータ化しているなら、そいつらに実写で演技させればいいと思う人もいると思うが、実際にはかなりCGアニメーターによって膨大な動きの調整を施され、画面にも手で大量に描き込んで、あの映像に仕上がっている。生身の人間にやらせるだけではできない、さらに本格的な運動を、CGアニメなら追求できるとこの映画は証明した。
今後のスポーツ描写のメルクマールになることは間違いない。手描きアニメでも実写でも到達できない表現を、ついにCGがやったという点で画期的だ。これは実写を模倣するCGでも、手描きを模倣するCGでもないのだ。
マンガに色を塗り動くかの如く制作したような理想的なアニメーション映画が遂に誕生。アニメに新時代到来!
これまではマンガのアニメ化というと、基本は手塚治虫の延長線上にあり、セルアニメを基調としたような2Dアニメーションとして制作されてきていました。
そんな流れに、全面にCGを駆使しながらも自然な2Dアニメーションに見える「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」で大きな変化が起こったかと思っていたら、「THE FIRST SLAM DUNK」では別の角度から進化させていて驚きました。
マンガの持ち味の良さを損なわないように、全面にCGを駆使しながら、マンガにペンで色を塗り動くかの如く制作したような理想的なアニメーション映画として仕上がっていたのです!
おそらく、これこそがマンガのアニメーション化としては、最も難易度が高く理想的な「解」なのかもしれません。
予告映像の段階では、やや違和感を持ちながらも、いざ大きなスクリーンで見ると、ほとんど気にならなくなるクオリティーの高い映像表現で、まさに日本のアニメーションに新時代の到来を予感させる作品でした。
内容も「ファン」はもちろんのこと、「一見さん」でも十分に楽しめる構成になっています。
私は、マンガやテレビアニメは昔にチラッと読んだり見た記憶はありますが、正直「一見さん」と変わらないレベルです。
ただ、そんな私でも最初から最後まで十分に楽しむことができました。
さらに「ファン」であれば、本作では描かれていない原作の部分を補完できるでしょう。
本作は「SLAM DUNK」という名作に触れる「第一歩目」に相応しい作品で、この究極的に進化したアニメーション映画が、この先にどうなっていくのか非常に興味深いです。
本作におけるバスケットボールの試合の臨場感などの破壊力は劇場でこそ発揮されると思うので、劇場のスクリーンで見ることをお勧めします。
【ネタバレなし】各キャラクターの心情にグッと寄り添って見せた、大人も楽しめるスラムダンク
初日に鑑賞。朝から物販コーナーは、スラダングッズを求めて長蛇の列。
客席にはちびっ子やバスケ少年の姿も多々見受けられ、否が応にも期待感が高まる。
ネタバレ要素を書き込むような、野暮なことはいたしません。
公開前段階で、これほどまでにヤキモキさせられた作品は久しぶりではないだろうか。
スラダンの世界観どんぴしゃの土地出身で、バスケ部でしたから、客観的な視線はもちろん忘れず、それでいて多少厳しい目で鑑賞したことも事実です。
個人的な見解……… スラムダンクファンは、これは劇場で観るべきではないだろうか。
原作者であり、監督を務めた井上雄彦氏も公式インタビューで語っているが、原作が完結して26年。年齢を重ねたことで描けることもある、という言葉の通り。
原作でも様々なエピソードが盛り込まれているが、それでも各キャラクターの心情の、さらにもっと深いところにまで寄り添って描いたのが今作といえる。
井上氏にはぜひ、更にこの先についても描いてもらいたいと切に願う。
声優さんが代わっていて・・・
宮城リョータの生い立ちには考えるものがありました。リョータに対する兄の優しさや姿勢は感動しました。
ただ私が昔観ていたスラムダンクとは程遠かった。流れてくる音楽だったりアップデートされているのだけれど、どうしても私には受け入れられませんでした。
左手はそえるだけ
いやー、今更ながら鑑賞しましたよ世代ど真ん中の男がね。このマンガでバスケを始め、このマンガが終わってバスケを辞めた青春をもう一度振り返る事が出来ました。なるほどねー、主軸をリョータに据えて流れはそのままに、それぞれのストーリーを再構築した映画なんだ。プライベートで謎が多かったリョータを掘り下げるとは、さすが井上雄彦ですわ。絵コンテも素晴らしく上手くCGを駆使した迫力ある映画になってました。声優さんが全員違うと聞いていて心配だったが、よく考えるとアニメ版にそれほど思い入れは無かったわ。久しぶりにこういう映画を観て、腹の辺りが熱くなり何かやらなくちゃ、まだまだ俺は出来る!という、青い気持ちにさせられました。ありがとう!
この映画、所々感動や泣けるシーンがあったが、不思議と涙は出なかった。やはりストーリーの結果を知っているからかな?まぁ、このマンガを見てない奴なんて居ない世代だからしょうがないかー。怒られて、吐くまで練習させられて、そして試合に負ける。悔しくて、また練習して、力を出し切って引退する。今の若年層にはコスパ悪くて無駄に見えるのかなー。こうやって大人になり、青春時代を思い出す事も素敵な事だと思うんだけどね。娘にはこの熱い思いは届かず、意味不明とか言われましたわ笑
活きる。
話題ではあったが、劇場鑑賞することなく過ぎ去ってしまい。職場の同僚がDVDをたまたま手にしていたので借用することに。
桜木メインじゃないことすら知らなかった。前の世紀で作品に触れてはいるものの、あまり覚えておらず、山王戦の行く末をまるで初めて見るように、手に汗握り見守ることに。
何かに真剣に、最後まで全力で取り組む、やりきるって、誰もが出来ることではないから。
それを出来る、成し遂げている人たちをみて、我々は尊敬の念を覚え、また、その体現しているものに感動するのだ。
「俺に必要な経験を下さい」山王の彼は神に祈ったが、祈ろうが祈るまいが、我々が日々暮らす中で出会う出来事は、今の自分自身にとって全て必要なものである、と言えるのではないか。その経験を活かすも殺すも自分次第。その積み重ねの中で、我々はこの世界を転がっていくのだろう。
史上最低なスラムダンク
タイトル通りです。中学時代にリアルタイムでアニメや漫画を何回も見た世代です。
まず、声優さん総入れ替えからしておかしかった。
本当は観るはずじゃなかったんですけど、観る前にSNSで散々開始早々で泣けるだの面白かっただの観に行かないと損だの文句言うなら観てから言えだのいろいろ言われて、というわけで文句言わせてもらいます。いざ観たら「え?」違和感ありまくりの回想シーン多めの作品に「え?」ってなりました。どこで泣けるのか、どこが面白かったのか全くもって理解できません。
主題歌もただうるさいだけだったし笑
WANDSや大黒摩季さんやZARDではなく、あの人達は誰ですか?
よくもまああれだけ人気作品になったなと思いました。
ただ一つだけ良かったところを強いて挙げるなら臨場感はあった。
以上。
私は「SLAM DUNK」を全く知らなかった。
私には中学時代のバスケに苦い思い出がある。だから「SULAM DUNK」の漫画も読んでいないしテレビアニメも見ていない。でもこの映画はロングラン上映されているし世界的にも大人気なのは知っていた。公開から半年が過ぎようとしていた頃に劇場で上映されていたので何の気なしに観てみた。純粋に面白かった。映像もストーリーも想像以上にクオリティーが高かったし私が思っていたスポコン映画ではなかった。そして気が付いた。ずっと私はバスケに傷つけられたと思っていたが、実は無意識のうちに私の方が中学時代のバスケを通して誰かを傷つけていたのかもしれない。私は「SLAM DUNK」を全く知らなかった。そして今回の映画で本当の「SLAM DUNK」を知る事が出来た。映画を観てから1年が過ぎようとしている今でも心に残っているのは40年以上も前に出来た私の心の傷を鮮明に思い出させてくれたから。そしてその心の傷の原因は私の過ちだったのではないかと、この映画が気づかせてくれたからかもしれない。
元気になれる!
線画に命が吹き込まれるオープニングから胸熱のエンディングまで満ち足りまくってる2時間!
立ちはだかる最強山王に挑み続ける湘北の奮闘。
いける?
いや無理か。
いやいける!
ラスト10秒の躍動に固唾を飲む。
痺れる!震える!興奮する!
かっけー!
上を向いて笑顔を見せるリョータの表情に感涙。
エピローグが最高。(花道のその後も気になるけれど)
攻守の攻防が瞬間ごとに詰まっているバスケットボールの魅力を、白熱の臨場感で活写した井上監督の手腕がすごい。
壁を乗り越える達成感を王道展開の心地よさに乗せて気持ちよく体験させてくれた。
その没入感を通して、応援することの前向きさに気付かされる。
努力する姿に声援を送ると活力がみなぎってくるんだな。
鑑賞後、心の奥から元気が湧き出す快作!
少女時代の自分と手を繋ぎながら見た幸せな2時間
連載終了してから26年経った今でも、なぜ私がこの作品を愛し続けているのか。それはこの作品が、葛藤や成長や人間の機微を、とても丁寧にリアルに描かれているからです。
登場してくるどのキャラクターにも自分を当てはめることができると同時に、私もこうなりたいという一歩先の憧れを描いてくれるので、いつも見た後は私も頑張ろうと前向きな気持ちにさせてくれます。
26年前の学生の頃と社会人生活を13年過ぎた今では、感じることも響く言葉もあの頃とは少し違うけれど、やっぱりSLAM DUNKが魅せてくれる世界は、私にとっては原点で、基盤なんだと映画を見て思いました。
今作は原作で一番の名勝負と言われる山王工業高校とのIH2回戦目を描いているんですが、だからといってただ原作通りにそれを描いている訳ではありません。
井上監督が、人生は短いからただ過去の話をなぞるとか、焼き増しするとかではなく、今の自分だから描けるSLAM DUNKを描きたいとおっしゃってつくられた本作なので(だからタイトルにTHE FIRSTを付けています)昔からファンの私のような人も、今回初めてSLAM DUNKに触れる人も、みんなまだ見ぬ漫画の1ページをめくるときのドキドキ感を味わうように、初めてのSLAM DUNKを体験することができる作品になっています。
また試合のシーンでは実際のプロのバスケ選手にモーションアクターとして映画のシーンを再現してもらい、そこに3DCGを当て込んでいるのですが、よく見る無機質なツルッとした3Dではなく、井上監督の絵のざらっと感を残しつつ、絵のぬくもりを感じることができ、初めて見るような技術を使っています。確かにアニメなのに、ここまでリアルなスポーツアニメを見たことはありません。その点から見ても衝撃が大きかったです。
「こんな作品初めて見た…」とまさにTHE FIRST尽くしの作品なのです。
声優が変わった。主題歌も変わった。作画も見慣れた2Dではなく2Dと3DCGのハイブリッド技法。前情報もほとんどなく、全てが異例で予想外で、それ故に映画公開前は連日映画への批判コメントが溢れていました。
けれど、作品を見た瞬間それを一瞬で黙らし蹴散らすほどの作品でした。実力で黙らすってこう言うことだと、かっこいいと心から思いました。
26年経った。
でもその長い期間を一瞬で越えて、色褪せないどころか、より生き生きとパワーアップして帰ってきた彼らを、多くの人に見てほしいです。
原作者による過去との決別。
純粋に面白かった、原作への愛も感じられ、2時間の中に凝縮された珠玉の内容だった。
…が、原作が好きで過去のアニメも大好きだと、そっちへの想いに引っ張られてちょっと複雑な気持ちになる作品でもあった。多分、原作者は昔のアニメとか、連載当時の大変だった思い出が、あんまり良い印象じゃなかったのかと感じられる、「本当はこんな感じで、こうしたかった。」という受け止め方をしてしまいました。
流川が格好良く無い、桜木の凄さも伝わらない。リョーちんは作者がそう言うのだからそうなんだろうけど、漫画じゃもっとお気楽だったよね!?重いよ!
映画単体の完成度では星4~5だと思うけども、個人的には見たかった内容じゃなかったから半分です。
声優変更に関しては、皆様プロなので違和感無いし作品として問題無く良かったと思います。が、じゃあどっちが良いかと評価したら昔の方が好きなので、やっぱり星は厳しくなりました。
酷いとしか言いようがない
原作ファンからしたら駄作としか言いようがない駄作でこれに原作者が関わったと思うと戸惑いを覚える程です
まず山王戦をするにあたって新規を置いてけぼりにするのかと思いきや無駄に新規の為なのか原作に登場してたキャラである魚住や海南等が出てきません
そして代わりなのか何故かリョータにフューチャーを当てる為に原作にないキャラ設定追加キャラや無駄としか言い様のない回想が挟み込まれて試合に集中出来ません
結果的に新規向けなのか既存向けなのか中途半端な感じです
魚住の「泥にまみれろ」、春子への告白、ゴリの春子が花道が救世主になるかもと言う回想、三井の「諦めの悪い男」、みんなの「シシュー!!」等々の山王戦で試合を熱くする展開が尽くカットされてます
その代わりがリョータの回想だと思うと意味が分かりません
原作を何百回と読み影響を受けバスケも始める位大好きでしたが本当に残念です
映像に関してはとても綺麗です
ただそれだけで迫力が尽く減ってます
CGは確かにデザインが崩れませんがアニメの良さは人間と違いバランスを敢えて崩してデフォルメして迫力を映像にもたらせる事です
なので途中のリョータの回想中の沖縄でのドリブルシーンは従来の作画だったのですがそっちの方がは苦慮がありました
他にもCGを使い回すせいで合間合間の花道やリョータの変顔も使われませんでした
なので映像に関しても正直あまり評価は出来ません
声優に関しては元々のアニメ声優の方が馴染みがあるので好きですがそこまで酷くはありせんでした
ただ花道だけちょいちょいジャイアンが出てくるのがウザかったです
山王戦が観れた事に星5
映像の残念さに-1
回想の気怠さに-1
ストーリー構成に-1
で星2ですね
次世代アニメの金字塔
すごいアニメでした。モーションキャプチャによる生き生きとした動きに不自然さがなく、漫画の主人公達が普通に動いていて、ついに日本のアニメもここまで来たかと感心。愛すべきキャラクター達、声優さんもバッチリ合っていて自然に感情移入できました。何故劇場で観なかったのか後悔。続編があれば是非劇場で観たい!
そこまで?
娘の影響で観ていたが、今更映画?と足を運ぶ気にはなれなかった。
大ヒットしてもそれは変わらず、DVDが出たらと思っていたので観賞。
悪くはなかったが、そこまでヒットする?というのが率直な印象。
スピンオフ風だが、メインはしっかり確保。
なので、個人的にはメインに魅力を感じる。
リョータのバックグラウンドにはそれほど心は動かない。
そこを深掘りするなら、やっぱり桜木をもっと観たい。
俺はど素人だからな、という台詞には痺れた。
アフターもリョータのそれには少々興醒め。
それより桜木はどうなった?
原作ではどう終わったんだったろう。
所詮その程度の爺さんがコメントしていい作品ではないのかも。
声優さんと監督のセンスが◎
世代じゃなく当時のアニメは全く観たことがない私からすると声優さんの演技が素晴らしかったです。アニメーションや脚本が良い訳では無いので声優さんの演技で持っているという感じでした。
漫画は1、2巻を読んだことがあるという程度の初心者ですが、初心者向けの映画では無いと感じました。だけどレビューを読むとファンの方も物足りないみたいなので、誰向きの映画なのかというとエンタメをそんなに観ていない10代とアニヲタ向け、あとスポーツ観戦やバスケ観戦が好きな人にはいいと思います。私はどれにも当てはまらないので肩透かしを食らった気分になりました。
ファンの方は暗い過去いらないと言っている方が多いですが、初心者からするとそれが無いとただバスケの試合でしかないのであって良かったです。
監督は音楽の才能と、センスがあると思います。第一弾のトレーラーが大好きでしたし、オープニングや劇中にテーマ曲が流れる所も格好良かったです。
ただあるシーンがあまりにスローモーションすぎてその間に予想が出来るので、映画的にそらそうやろと思いました。
原作を何十回と読んでいるからこそ
なんでこんなに大ヒットしたのか謎でしかないと感じた。面白くなかったという訳ではない。ただ、内容的にスラムダンクなんて知らない、って人向けでは無いはずなのだ。そもそも原作の最終戦という時点で当たり前ではあるのだが。ところが原作なんて読んだことないけど、って世代に何故かウケているようなのだ。昔流行った漫画原作だからと、とりあえず観に行って、原作気になったという感じで漫画に入り、SNSや口コミで広めてみたいな感じらしい。確かにいきなり31巻もある漫画から入るよりは、映画の方がとっつきやすくはある。それにしたって異例のヒットぶりだが。
かと言って原作愛読者向けという訳ではない。何故ならセリフを覚えるくらい読み込んでいる自分からすると、なんでそのセリフやシーンを端折ってるの?というのが余りにも多過ぎるのだ。2時間しか無いから仕方ないと言えばそれまでだが、原作にない宮城の回想シーンを省けば余裕で入る。自分みたいなタイプは、セリフが飛ばされる度に気になってしまった。原作読んだことあるよ、あんま覚えてないけど。アニメも全然観たことないよ、って人向けだと自分は感じた。
自分は声優総入れ替えの時点で映画館で観る気が無くなった。しかし超ロングランで興行収入157億円なんてのを観て、そんなに面白かったのか?とこの度視聴することにしたのだが、声は途中まではそこまで違和感は無かった。しかし、花道と安西先生が喋り出すと違和感しか無い。旧アニメの印象が強過ぎてこいつら誰?状態になる。そして元々声がついていなかったので本来は違和感など無いはずなのだが、丸ゴリこと河田の声もイメージと全然違うと思ってしまった。流川も正直違うなという感じがしたが、それ以外はそこまで気にならなかったのが正直なところだ。まぁ花道が違い過ぎる時点で☆-1くらいの衝撃だったが。
回想が終わり試合が始まるが、未読の人なんかは序盤でミッチーが3Pを連続で入れるシーンなんかなんとも思わないだろう。そもそも3Pの凄さが分かっていないと思う。しかし原作でここはチームメイト全員がすげーなと感心し、絶好調と読んでいた堂本監督も警戒を更に強め、ディフェンスのスペシャリストである一之倉は更に三井へのプレッシャーを掛けて行こうと決意する重要なシーンなのだ。
「40分付き合ってやるよ、この野郎」なんて原作に無いセリフが飛び出したかと思ったら、次の瞬間なんと前半が終わっている。まだ劇中では14分しか経っていないのにだ。当然沢北やポールが一時ベンチに下がるシーンはなく、美紀男と花道のマッチアップも丸々省略されてしまう。宮城が主人公とはいえ、あんまりなカットである。原作でも美紀男を交代させた時点で9分くらい前半が残っていて、そこから後半に一気に飛ぶのだが、それにしたってこれは酷い。
そして回想が挟まる。死亡フラグを立てられたソータは案の定亡くなっている。後半が始まったと思いきや、怒涛のゾーンプレスになるのだが、またも回想が入る。神奈川に来たと思われるリョータの前に何故か中学生のミッチーが出て来るのだ。しかもヘアスタイルがグレる前のでは無いという謎改変。あの髪型だった三井がグレてロン毛になるからインパクトがあるのだが。
河田に赤木がやられるシーンも原作では重要なのだ。湘北の大黒柱であり、これまで数多の強敵と渡り合い、ねじ伏せて来たゴリが全く通用しない。河田雅史は住む世界が違うとまで赤木に言わしめるのだ。全国大会に向けて会得した新技スピンムーブですら、豊玉戦で出したことから研究されており、ブロックされてしまう。このブロックは湘北全員にショックを与える。そして三井にボディブローのように効いているというセリフが入る。これは一之倉と三井のやり取りがカットされているのだから、原作ファン以外は全く分からないだろう。このように別にそれは要らなくね?というセリフは入っていたりする。まぁ一応三井が疲れてるんだな~という感じは伝わるだろうが。
そして謎の1年前の湘北の回想シーンが入る。何故赤木が10番なのだろうか?原作では赤木が10番は1年生の時で、2年生の時の赤木のユニフォームは8番なのだ。そもそもインターハイの相手は陵南だったはずだ。ここでも謎改変である。正直しなくていいし、する意味が分からない変更だ。
追い上げのためにオフェンスリバウンドが4点の価値があると丁寧に説明するが、未読者ではまずリバウンドって何?という人が多いだろう。原作を読んでいれば、序盤からひたすらスクリーンアウトの重要性、リバウンドの重要性、リバウンドを制する者は試合を制す、リバウンド王桜木というものが刷り込まれているのだが、未読者からすると、とりあえずこれからやることで逆転出来る程度の認識だろう。それ故に無駄に丁寧に説明する意味が分からなかった。
魚住が登場しない関係で、よく分からん妄想シーンが入り、赤木は復活する。そこで「もう俺の願いは叶えられている」という謎セリフが登場する。おそらく「全国制覇の夢を一緒に追える仲間とバスケをする」という類の話なのだと思うのだが、全国制覇は譲れんのだと原作でも語っている通り、願いは叶えられていると言われても違和感しか無い。とはいえ、一応最後のチャージドタイムアウトのシーンでそれらしき涙を流すシーンはある。お陰でそのシーンはカットされているのだが。
復活した赤木のスクリーンから三井の3P。二人が拳を合わせるシーンを見たメガネ君が「2年間も待たせやがって」と感無量になるシーンが入るのだ。そして高頭監督による信頼という説明が入り、海南のメンバーがギョッとする流れは鮮やかなのだが、当然全カットである。
海南は背景になっており、陵南は昨年のインターハイの試合からも省かれ欠片も登場しない。お陰で仙道が流川と1on1で才能を生かしきれていないというシーンも無いし、安西先生に言われた日本一の高校生を目指すため、日本一の高校生である沢北を抜くためにパスを選択するという部分が一切無い。未読者は流川のパスの意味なんて分かる訳も無いし、おそらく一読した読者でもそこまで覚えて無かったのではなかろうか。
流川から赤木へのパスを見てベンチから盛り上がるより先に安西先生が大きなガッツポーズをする。これはバスケットカウントワンスローになったからだけではない。今までの流川になかった1on1からのパスを選ぶという成長を見て咄嗟に出たものなのだ。いつもは置物のようにしている安西先生までもが闘志を燃やしていることに、木暮やヤスだけでなく読者も驚愕し、興奮する重要なシーンである。
ここまで改変が多かったが、その中でも決定的なのが、「安西先生、バスケがしたいです」が無かったことになっているのではないかとすら思える改変である。ずっとバスケから離れていて、バスケ部なんかどうでもいい、バスケ部を潰すと体育館へ乗り込んで来る三井がいいのだ。バスケ部の試合を見に行くとか全然不良時代の三井らしくない。正直未読者が見たら、なんかいきなり心変わりしてロン毛カットしてバスケ部入って来たの?という感じしかしないだろう。一応膝を気にしたり、安西先生とニアミスするシーンはあるのだが、本当に唐突なのだ。かと思えばこの後、かつて混乱を、というセリフは残っている。一体どういう扱いになっているのか意味不明だ。
深津は一年生の頃から山王工業のレギュラーの座を獲得していたということになったのだが、これも正直残念な変更。常勝山王の中で一年でレギュラーになったのは沢北だけって方が良かったと思う。まぁ確かに原作では牧を抑えられるディフェンス力を見せたりしているのだが、宮城との身長差でのミスマッチの割には得点シーンが少ない。深津を中心に攻めるはずが、得点シーンは作中でわずか5点である。そして前半カットされた影響で、唐突に現れる美紀男。もう完全にやられ役でしかない。未読者からはなんかいきなり丸々したデカイ奴が出て来たとしか思えないだろう。
花道のプレイにより湘北の応援を始める観客たち。ここも原作ではこれまで山王一色だった応援が、という感じだったのに、それが全然伝わって来ない。そして花道の押し込みダンク後のシーン。ノーカウントだったが会場全体が驚愕するシーンである。ただ未読者からすると、意味の無いことして怪我を悪化させて引っ込んだだけにしか見えないだろう。回想シーンにバスケットが好きかのシーンがあったのでまさかカットされるとは思わなかったが、「大好きです。今度は嘘じゃないっす」も丸々カットである。
残り49秒、起死回生の三井の3Pバスケットカウントワンスロー。よくこのプレイのせいで松本が戦犯扱いされるのだが、それは結果しか見ていないと言わざるを得ない。まぁ三井の言葉を真に受けての「奴は打てねえ!!」は満面の笑みと合わさってピエロそのものではあるのだが。もう一つ桜木が引っ込んでいる間、木暮とのマッチアップをしていたのだが、他校でエースを張れる実力と評される割にはオフェンスも微妙である。というか前半は美紀男が引っ込んだ後から出場していたのだろうか。
戦犯と言えば堂本監督で間違いない。まぁ大体の人はこの意見だし、自分もこれを推す。少なくとも後半三井が3Pを入れまくった時点で、松本を下げて一之倉を再度投入しても良かったはず。そこで何故河田を桜木、美紀男を赤木なのか。さすがに赤木を舐め過ぎだし、試合前からあれだけ警戒していた三井への対応としては滅茶苦茶だ。あいつらに油断や慢心は無いというセリフもあるが、でも自分には合ったのだ。歴代最強のメンバーが負けるはずがないという油断と慢心が。
そして途中堂本監督はメンタル的にかなり押されている。湘北はいつになったら諦めるんだ?と。相手が折れるのを待っている時点で弱気になってしまっている。そして極めつけ、桜木は限界だと判断してのチャージドタイムアウトのキャンセル。流れを何度となく変えているキーマンである桜木は怪我をしていこそすれ、コート外にいて貰った方がいいはずなのに、ここも弱気に流れてしまっている。事実上5対4の方が有利だという、動かない選択肢だ。
桜木から流川、流川から桜木という普段犬猿の仲の二人が見せたホットライン。これを未視聴者が理解するのは不可能だろう。左手は添えるだけ、ここでスラムダンクではなく合宿シュート!となるのだが、なんとセリフすら無かった。口パクである。そして審判が得点を宣言するシーンが入るのだが、本当に小さく映っていた。そこはシュートが間に合ったことを印象付ける本当にいいシーンなのだ。なんでそれを小さくする。
沢北が人目も憚らずに泣くシーンがあるのだが、沢北ってそういうキャラというイメージがあんまりない。まぁ泣き虫な設定は上級生に殴られたシーンであったが。そしてアメリカでの沢北VS宮城で終わる。いや、宮城ってアメリカでもやれるような能力では無いと思うのだが。フリースローは苦手。ミドルレンジのジャンプシュートも深津は打たせていいとすら判断するレベル。しかも山王戦で言えば、フリースローの2点しか得点シーンが無いのだ。自然に考えれば流川なのだが、この映画では正直流川は完全に脇役である。スタメン全員に見せ場があるのが、スラムダンクのいいところのはずなのだが。
終わってみれば決してつまらなかった訳ではない。ただ、あらゆる点を加味しても連載終わった直後に旧アニメを再開してくれていたら、絶対にこれより面白かっただろうということが断言出来てしまう。原作一読程度の層には懐かしいと同時に、もう一回読んでみようかという気にさせるだけのクオリティはあると思う。原作未読の層も上述した通り、原作に引き込めるだけの力があるのだろう。宮城を主人公としたことで、全員が知らない設定が出て来るというのが良いところなのだろうが、何十回と読んだ自分みたいな愛読者からするとカットされたシーン、演出に物足りなさを感じてしまった。スラムダンクは桜木花道という主人公が最初から最後まで成長する物語なのだ。文字数ギリギリなのでもうちょっと書きたいが、ここまでにする。
全1133件中、1~20件目を表示