竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
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It's Entertainment !
Uはもはや異世界でなく現実か
細田監督のネット社会描き方に変化が見られた。ネット社会の捉え方に変化があったことはもちろんだが、ビジュアルでの表現の仕方そのものを変えてきた。
細田映画では、異世界に突入するとキャラクターの輪郭線が朱色になる。ネット社会を描いた『ぼくらのウォーゲーム』からやり始めた演出なのだが、『時かけ』のタイムリープの場面でも『サマーウォーズ』のオズの世界でも、『おおかみこどもの雨と雪』でも、主人公が死んだはずのおおかみおとこの姿を見る夢の世界でも、輪郭線が朱色になる。
しかし、今回のUの世界では、そういう演出はなかった。それはどういう意味なのかをずっと考えている。Uはユーザー数が世界で50億いるほどの巨大なプラットフォームだそうだが、それだけの人数がいる世界はもはや異世界じゃなく、現実ということなのかもしれない。唯一の例外は竜だ。竜だけは輪郭線が朱色だ。彼だけ扱いが違うのはなぜなのだろう。Uの他のユーザーは、そこが現実と地続きの世界だが、竜にとっては違うということだろうか。
それから、『ウォーゲーム』や『サマーウォーズ』の頃のネット世界は、余白の多い世界だった。今回のUには余白がない。もうくまなく開発されきっているという印象を与えるほどにびっしりと詰まった世界だった。開拓可能なスペースがなくなってしまったネット世界の窮屈さが今回の作品には重要な要素となっていた。
3DCGのキャラクター芝居が素晴らしかった。日本のセルシェーディングのアニメとも違うし、ディズニーやピクサーとも違う。非常に生き生きとした芝居を3DCGで作っていたのは驚いた。
高知を介して描かれる懐かしい下校風景
現実とバーチャルの世界を行き来する少女。映画が示す2つの世界に隔たりがあればあるほど視覚的な振れ幅は大きくなり、観客はアニメーションならではの落差を楽しむことができる。特に今作の場合は。不規則な7月4連休の最中、久々に足を運んだ劇場はソーシャルディスタンスを守った上でほぼ満席状態。終映後、「いやあ、なかなか凄い世界観だったね」とか「お父さんの声は役所広司だったんだね」とか、口々に感想を言い合いながらはけて行く観客たちの波に揉まれながら、映画体験を共有する至福を感じていたのだった。
なぜ劇場に足を運んだかと言うと、現実世界の舞台がわが故郷、高知を舞台にしているからだった。高知の自然に魅せられたという細田守監督は、実は四万十川より透明度が高い仁淀川の透き通るようなブルーや、沈下橋から眺める山間の村等を、ほぼ克明に再現している。しかし、それらは言わば観光地・高知の看板ショット。筆者が驚いたのは、高知市のど真ん中を流れる鏡川南岸から望む、時間毎に表情を変える市内の様子を背景に取り入れていること。学校帰りのすずやしのぶくんやカミシンが語り合いながら川辺を歩く姿を見て、少年時代の自分を思い出した高知県人はたくさんいると思う。
7月のカンヌ映画祭を大いに沸かせた本作の魅力は、バーチャル空間で起きるドラスティックな展開は勿論、いやむしろそれ以上に、高知を媒介にして描かれる懐かしい下校風景にあるのではないかとすら感じる。あの学校と家の間にある、2度と戻らない心ときめく不思議な時間に。
「サマーウォーズ」のような「田舎町での人間模様」×「インターネット空間の仮想世界」に「美女と野獣」×「歌」で構築した細田守監督の意欲的な最新作。
細田守監督の代表作の一つに2009年の「サマーウォーズ」がありますが、今見ると「わずか10年くらい前なのに、スマホですらなくガラケーだったのか」と現実世界の早さに驚かされます。
「サマーウォーズ」の時は、当時より少し先の未来を描いていましたが、本作でも今より少し先の世界観を描き出して進化しています。
そして、不朽の名作「美女と野獣」をモチーフに使い、主人公の「すず」のインターネット空間の仮想世界での名前は「ベル」。そして、野獣として謎の竜が登場します。
ディズニー映画の「美女と野獣」の世界観を仮想世界「U」で表現され、ベルと竜の2人の関係性が物語の大きなカギとなっています。
さらに、現実の世界では、インターネットでブレイクするアーティストが出る時代なので、歌にも力を入れるなど、新しい試みもみられます。
声優陣は、スタジオジブリ作品のように芸能人が多いのですが、主人公の「すず」役には、中村佳穂という知る人ぞ知るようなアーティストを起用しています。
最初の学校のシーンで親友と話すあたりは、少し素人っぽい話し方が出てきますが、設定も「人間関係が不得意で、心を閉ざす女子高生」なので、案外、これもリアルなのかもしれません。
ちなみに、その「すず」の親友役には音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル幾田りらが起用されていますが、こちらは本職並みの上手さがありました。
母と一緒に歌うのが大好きだったのに、母の死をきっかけに歌うことができなくなった「すず」が「ベル」として歌うシーンは、さすがの歌唱力でした。
これらのような新しい才能を開花させている点でも本作の試みは成功しています。
作画の面でも「U」での世界や、現実世界も含めて非常に進化していました。
また、作品全体の雰囲気も良く、本作はレベルの高い力作と言えるでしょう。
ただ、強いて言うと、「アカウント50億!の中から1つを見つけ出す」という非常に重要なミッションが本作の肝になるわけですが、この高すぎる設定をクリアするには、少し拍子抜けしてしまう点など、もう少し脚本が精査されていたら、より良かったとも思います。
このように所々もう少し練った脚本であれば、と思った面はありましたが、歌は良いですし、高知県の舞台も良いですし、何より人間模様が魅力的に描かれています。
なのでエンターテインメント作品としては、とても出来は良いと思います。
スカーレットが炎上中のこのタイミングで初見
軽い気持ちで見たけれど…これ
名作じゃね?
序盤から世界観に没入し、内向的な主人公に感情移入し、ミュージカルパートでもしっかり心を掴まれました。
わりと好きです。自分は。
もちろん問題点がないわけではないけど…
でもそんなものを上回るくらい加点の要素の方が多かったなと。
これまでは竜を除く全ての細田作品を見てきたけども、スカーレットを見終えたこのタイミングで見てみると、色々合点がいく部分がありました。
まず、細田作品は常に新たな映像表現にチャレンジしてきたという事。
特に龍はそれが顕著に出ています。
2Dで描かれる現実世界と、3Dのアバター「U」の世界。
この2つの世界を行き来しながら「歌」で繋ぎ止める。
細田作品の中でもまさに過渡期にあった作品だったなと思います。
「歌」のストーリー的必然性。
作画の違いの必然性。
それらが有機的に機能していたからこそ、竜は1つの作品としてまとまり得たんじゃないかと思いました。
ただ、スカーレットはそれを更に表現を推し進めた結果。
CGに偏重した世界に一部2Dキャラが混在する世界になっていて。
更に「歌」や「ダンス」が記号にしかなっておらず、明らかに分離してしまっている。
この点が竜が一定の評価を保ち、スカーレットが酷評されてという今の状況を産んだのではないかと思いました。
竜を見た事で、細田守の作家性を再確認でき。
スカーレットの先進性と、問題点のどちらも知ることができた気がします。
今回のスカーレットの興業的失敗を経て、細田守監督が今後どう舵を切るのかはまだ分かりませんが。
自身の作家性を活かせるフィールドに戻ってきてもらえたら良いなと切に願います。
アバターは自分で決めさせてよ…
細田作品はサマーウォーズしか見てないです。最近何かと話題なので一番ヒットしたと言われるそばかす姫を鑑賞しましたが、もう色々気になる!
生体データだかであなたの隠された才能!とか言って異形の深海生物がアバターで出てきたら嫌なんですけど…キャンセル出来るとは言え勝手に作るとかマジ余計な御世話(笑)みんなそれで良いの?てくらい謎の生物アバター受け入れてるし、そもそも隠された才能が深海生物てなに?潜水得意てこと?(笑)
ベルのアバターみて「そばかす」とか言ってたけどアレはメイクに見えたんだがそばかすってああなるんですか?そしてそばかすはそんなにダメな事なの?
謎のアバター竜!何処にもいるかも解らないんだ!…郊外に竜の造形物がある怪しい城あり!あんなところ行き来してたら目立つんだが(笑)
竜の背中にアザがある!あれはマントの上に柄があるからアザじゃなくてデザインじゃないの?マントじゃなくてまさか…皮膚ってことですか?こわ…(笑)
竜に攻撃されてデータ消失しました!とかそんなユーザー垢バンしろよ、ハッカーじゃん(笑)
美女と野獣をまんまやったなんて事はどうでいいくらい気になる事だらけです。でも映像やキャラの動きはとても綺麗でした。あとラストについてはボートマン、ロン毛美人、忍が味方になってくれれば最初こそワーワー言われるけど時間が経てば学校のトップランカーに仲間入り出来るから安心して鈴ちゃん♪て思いました。
色々勿体無い
急に大傑作!細田監督は何かをつかんだ!
失礼な言い方になります。「時をかける」「サマーウォーズ」「おおかみこども」「未来のミライ」と絵の綺麗さと前半の勢いは抜群だけど結局上手くまとめられず取ってつけたようなキレイごとの帰結を持ってきてテーマがブレてしまい全く感動できない作品が続いていましたが、今作品は震えるような感動で涙が止まりませんでした。肉親の死、ネットの現代的問題、地域社会、友情、青春の恋愛、勇気、主人公の成長を「歌う」というテーマを通してラストまで完璧に描き切ったのではないでしょうか。この完成度の作品を発表し何でもっと話題にならないのか不思議に思うぐらいです。細田監督はこれまでの創作活動の苦闘の果てに何かをつかんだように思います。全盛期の宮崎駿のような未踏の域へ突入した細田監督の今後の作品が楽しみです。
途中まで良かったのに、現実世界が非現実的過ぎた
Uはもう一つの現実…らしい
SNS、虐待、承認欲求に青春物語etc…広く浅くって感じで、それぞれを薄めすぎている気がする。一つ一つピックアップしてやればもうちょい良かった気がするなあ。
しっとり感動させたいのかすらよく変わらなかった。展開が急ってわけじゃないけどそこまでほえ〜って感心はできないというか……
「U」の一般人たちもサマーウォーズとかと比べて寒すぎるというか。
美女と野獣や言わずもがなのサマーウォーズ・ぼくらのウォーゲームオマージュはいい感じ。好き。
初手の歌い出しや締めのスッキリ感もかなり好き。
じと〜っとしてねっとりしてたから、ではないと思うけどラストの青春っぽさは素直に良き。
「U」世界経由での話より現実側の恋愛や動きなんかの方が観ていて面白かった。そういうふうに設計されているのかな?
歌えぐい
VRは楽園か?
そもそも「人は何故、生きるのか?」を考えたい。
猿が二本足で立って、知的生命体として人間が誕生したなら、
人は自分達が暮らす理想の場所「楽園」を目指して生きるとも言われている。
それならば、自然から離れ他の生物が持っていない文明文化を創り出し
自分達が暮らすのに快適な居住地造りをする…
つまり「科学の進歩した都市」を創り出したのだ…
今や先進国のみならず、世界多くの国で「都市」と呼ばれる場所は
創られつつある。
ならば「都市」こそ目指すべき「楽園」であったのか?
そこに新たに「ヴァーチャルリアリティ」通称「VR」なる物が誕生した。
1990年代の最初に世界でヒットした、シュワルツェネッガー主演映画
「トータルリコール」で有名になったが、現実で見て聞いて触る世界でなく、
仮想現実世界にて、自分が体験する物である。
「都市」が発展している国であるほど、この「VR」は発展していった。
21世紀の初期では、ゴーグルをつけて「メタバース」なる空間に入るは、
マンガやアニメで描かれる程度であったが「メタ社」が作成した「VR機器」は
本格的で、本当に自分の分身を作って仮想現実世界で生活を楽しむ
者達が多く現れてきた…
何故か…?
自然に人が裸のままでいれば、生活ができないとして「科学を神」と
信じて「都市」を発展させてきたのに、人はその「都市」からも逃げ
仮想現実の「VR」に行こうとしている…
「楽園」は地球上には無かったという事か…?
神は地球に知的生命体として人間を誕生させたはずである…
人は「楽園」に向かうは、今だ道半ばで、茨の場所を必死に旅して
前に進む努力をしている最中なのか…?
人は知的生命体としては失敗作で、猿が少し変わった程度の物で
「VR」に逃げているのか…?
後者で無いことを祈る………………………
インターネット × 美女と野獣
上映当時映画館で観た映画。なぜこの映画を観たいと思ったのは私が高知県出身だからです。そのため高知の風景や、台風が良く通る地域の恐ろしさもしっかり描かれて懐かしく思いながら鑑賞しました。
高知と言えば日本最後の清流と言われる四万十川が有名ですが、仁淀川を選んだところも、個人的にはニヤッとさせられます。そんな綺麗な川でも増水してしまうと人を殺してしまうんだという恐ろしいシーンが、主人公すずの母親という悲しさは、なかなか観ていて耐え難いものがあります。
さて、映画の方の感想ですが、わしと賛否両論の評価を観ていてとても心配になり鑑賞しましたが、全然面白かったですし感動しました。アニメも映画館で大迫力を楽しむ時代になったんだなと、日本のアニメーション技術の進歩には驚くばかりです。
そして映像と音楽のコラボレーションが圧倒的です。インターネットの中の世界で非現実的で未来的な世界観の中に、割と人間味がある(電子音が無い)音楽がとても心地よく、映画館の音響もあってか、とても感動しました。
ストーリーですが、予備知識なしで観に行ったため、まさかの現代版『美女と野獣』にはびっくりしました。主人公の仮想世界「U(ユー)」のアバターの名前が「ベル」ってところから、すでにそうなんですよね。あとで監督のインタビューを見てみるとインターネットで『美女と野獣』を描いたと言ってますからね。
そこに、現在社会の問題点を融合させたのが賛否両論になってしまったのかもしれません。社会的問題に対する描き方や持って行き方が強引さは感じましたね。色々省略過ぎと言うか。(ラストはあれで、本当に救われたんだろうか?と言う疑問は残ります)
とはいうものの、個人的にはラストの歌のシーンでは感動で泣けましたし、映画館で観たので評価が良くは出ていると思いますが、2時間と言う時間もあっという間に終わりのめり込みましたので、楽しめた映画でした。
そばかす
テレビで録画していたのを今日見ました。今まで予告で自分に重なるところが多くて怖くて見られませんでした。自分の話になってしまいますが、昔からの夢でやりたかった仕事を当時しており、その時大好きだった祖母を亡くしました。悲しい気持ちを仕事に力を入れる事で頑張ろうと思っていましたが、そのタイミングでネットに批判的なことを書かれ丁度公開された年に鬱病になりました。食に関わる仕事でしたが、食べることも人と関わることも嫌いになり10㎏痩せました。すずちゃんと昔の自分が凄く重なり涙がたくさんでました。もう少しで3年。祖母の死を乗り越え弱い自分を認めて自分の事を好きになれました。周りの人や家族の協力と助けもあり、以前の自分に戻れた気がします。大好きな食の仕事に戻るのは怖い気持ちがありますが料理をすることは大好きです。今は違う仕事をしていますが大切な人ができたらその人に料理を振る舞いたいです。すずちゃんが成長していく姿を見て、私もこれからも頑張ろうと思えました。素敵な歌をありがとう。
全886件中、1~20件目を表示












