お名前はアドルフ?

劇場公開日:

お名前はアドルフ?

解説・あらすじ

2010年にフランスで上演された舞台「名前」をドイツで映画化し、ディナーに集まった5人の男女が、子どもの名づけを巡って繰り広げる舌戦を描いた会話劇。ライン川のほとりにたたずむ優雅な邸宅。哲学者で文学教授のステファンと妻エリザベスは、弟トーマスとその恋人、友人の音楽家レネを招いて自宅でディナーをすることに。しかし恋人の出産を間近に控えたトーマスが、生まれてくる子どもの名前を独裁者ヒトラーと同じ「アドルフ」にすると発表したことから大騒ぎに発展。友人レネも巻き込んだ大論争の末、話はドイツの歴史やナチスの罪へと展開し、やがて家族にまつわる最大の秘密まで暴かれてしまう。ステファンを「帰ってきたヒトラー」のクリストフ・マリア・ヘルプスト、弟トーマスを「はじめてのおもてなし」のフロリアン・ダービト・フィッツが演じる。監督は「ベルンの奇蹟」のゼーンケ・ボルトマン。

2018年製作/91分/G/ドイツ
原題または英題:Der Vorname
配給:セテラ・インターナショナル
劇場公開日:2020年6月6日

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(C)2018 Constantin Film Produktion GmbH

映画レビュー

4.0タブーは何のためにある?

2020年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ほぼワンシチュエーションの数人の登場人物で展開するので、舞台劇っぽいなと思っていたら原作は舞台のようだ。しかも、フランスの舞台らしい。
ある夫婦が生まれてくる子どもにアドルフと名付けようとする。姉夫婦は猛反対する。ドイツでは、ナチスとヒトラーに関するあらゆるものがタブーである。アドルフなんて名付けたらネオナチなのかと思われてしまう。
タブーを作ることについて僕は考えさせられた。ナチスのハーケンクロイツは今日、欧州ではタブーである。しかし、あのマークのモデルはナチスより歴史が古いものだ。タブー視することによって、ナチスよりも歴史の古いマークが、永遠にナチスのものになってしまった。
アドルフという名前自体もヒトラーより歴史が古いに決まっているわけだが、タブー視すればするほど、それはヒトラーのものになってしまう。本当は、ナチスやヒトラーが奪ったそれらを奪還しなくてはいけないのではないか。
ゲイコミュニティの旗印のピンク・トライアングルはナチスが同性愛者を識別・差別するためのマークだった。ドイツのゲイコミュニティは、あえてそれをシンボルにした。結果、今そのマークはナチスのものではなく、性的マイノリティたちのシンボルになった。
タブーとは誰のためのものなのだろうか。

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杉本穂高

4.0面白いだけでなく良い作品だった

2025年6月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

冒頭ピサの配達人に難癖をつける主要人物の一人シュテファンの如何にもアクが強そうなキャラクターはそのあとの展開を期待させるには充分なものだったね。
案の定、シュテファンとトーマスの言い争いは瞬時にヒートアップして、そこへトーマスの妻アンナ合流。ここから面白さに拍車がかかる。

誤解、告げ口、とばっちり、口論は相手を代えながら次から次えと広がって笑い・・・あれ?思ったほど笑わなかったかもしれないと急に思ったが、自分が大爆笑したような錯覚に陥るほど面白かった。
その中に、観ている私たちをも誤解させる展開もありビックリドッキリでもあった。

ヨーロッパ映画、特にドイツ映画だと、つい移民問題の影を探してしまうし、妻はヨーロッパ映画に限らずだけどフェミ的視点で観てしまう。
そんなコメディとは無縁そうなテーマも多かれ少なかれ盛り込まれていて、なんなら他のシリアスな社会派ドラマになりそうなテーマでさえ内包している、ある意味、今時の作品で、そんなことに全く気付かないとしても問題なく面白い怒濤の展開は素晴らしい脚本と褒めるしかない。

そして、面白いだけではなく良い作品だったと感じた理由もある。
アンナを除く四人は30年来の付き合いがある幼なじみで、いわば兄弟や家族同然なのだ。だからこそどんなに激しく口論になろうとも、もう二度と会わないとか、お前とは友達の縁を切る、ここから出ていけとか、最悪の展開にならないことだ。
そこへアンナの出産を経てより絆が深まる。
口論ばかりしていても結局は仲の良い家族を観ただけだというのが良いよね。新たな家族の誕生も喜びである。

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つとみ

3.0☆☆☆ 観客5〜6名? 簡単に。 嗚呼!これは多分舞台劇なんだろう...

2024年3月9日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆

観客5〜6名? 簡単に。

嗚呼!これは多分舞台劇なんだろうなあ〜と思いながら観ていたら、、、やっぱり。

ほぼほぼワンシチュエーション。終盤の長ゼリフはなかなか見事でしたけど…とにかく、台詞の量の多さに付いて行くのがやっとでした。

また間が悪い事に。昨日、北野武の『ソナチネ』を観ていただけに。(比べるな!って話ですけど)
同じくらいの上映時間なのに、3倍ぐらい長く感じてしまった💦
まあ『ソナチネ』自体が、無駄な部分を削ぎ落とすだけ削ぎ落としている…ってところもありますが。

ラストの落ちも少し弱いかなあ〜。
プレストン・スタージエスの『モーガンクリークの奇跡』ぐらいに、とんでもなく突き抜けたラストだったならば。ヒットラーどころか、ムッソリーニを引き連れて生き返っちゃうかも…と^^;

2020年6月7日 シネスイッチ銀座1

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松井の天井直撃ホームラン

4.0謝礼は永遠の感謝

2022年6月14日
iPhoneアプリから投稿

生まれくる子供の名前から始まり、赤裸々な暴露話の応酬。この姉弟夫婦誰を見てもキツいなあと思われ、調整役とはいえレネは大変だなぁと思ったらお話はそこに行き着いたのね。日本の女性の社会進出の遅れについてよく言われるが、大概どの国を見ても映画での描かれ方は大差が無い。よっぽどパーティで当たり前に接待役に徹しないといけない事が多くストレス溜まりそう。
会話劇でほぼ動きなく部屋をウロウロして、誰かがいつも怒っているのだか、仲良く喧嘩しながらも楽しそうだった。日本だとあそこまでアケスケに言わないけどねーちゃんが最後かにわーっと言ったのは爽快だった。
俳優の年齢的感覚がちょっと腑に落ちなかったけど

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GAB I