ミッドナイトスワン

劇場公開日:

解説

草なぎ剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、「下衆の愛」の内田英治監督オリジナル脚本によるドラマ。故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙、実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める。草なぎが主人公・凪沙役を、オーディションで抜擢された新人の服部樹咲が一果役を演じるほか、水川あさみ、真飛聖、田口トモロヲらが共演。第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞し、草なぎも最優秀主演男優賞を受賞した。

2020年製作/124分/G/日本
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2020年9月25日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第44回 日本アカデミー賞(2021年)

受賞

最優秀作品賞  
最優秀主演男優賞 草なぎ剛

ノミネート

最優秀監督賞 内田英治
最優秀脚本賞 内田英治
新人俳優賞 服部樹咲
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(C)2020「MIDNIGHT SWAN」FILM PARTNERS

映画レビュー

3.0コロナ禍最大の注目作は「リトル・ダンサー」を思い起こさせる

2020年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

新宿のニューハーフクラブで白鳥のチュチュを着て舞台に立つトランスジェンダーの主人公と、彼を取り巻く仕事仲間たちの人間模様は、どことなく既視感がある。当時はそういう表現はなかったが、トランスジェンダーの描き方や、映画全体のムードが昭和のそれだからなのか。しかし、草彅剛の渾身の役作りがすべてを凌駕して、この物語を今観るに相応しい愛と孤独のドラマとして、それも、スターだからこその吸引力を持ってして、観客を何とも表現し難い魅惑の世界へと誘って行く。声のトーン、抑揚、強弱、体重の移動、中でも、彼が恐らく最も努力したと思しき歩き方、等、役作りへの献身が、一コマ一コマから零れ落ちたくるようだ。コロナ禍の日本で公開された最大の注目作は、同時に、無名の少女がバレリーナとして花開いて行く過程を描いて、不況時代のイギリスで同じくバレリーナとして羽ばたく少年と家族、友人の関係にフォーカスしたスティーヴン・ダルドリーの代表作「リトル・ダンサー」を思い起こさせる。虐げられた人間たちの夢が次世代へと引き継がれる作品のテーマが、両作品には通じるのだ。

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共感した! 107件)
清藤秀人

4.0「草彅剛の自然体演技×可憐に舞う新人子役」による化学反応で生まれた美しくも儚い空気感をまとった作品。

2020年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

草彅剛の「自然体の強さ」が現れた作品を久しぶりに見られました。トランスジェンダーの「凪沙」という難しい役どころでも、変わらず見事に自然体で演じ切っていました。 この作品は草彅剛の存在感に加えて、子役の「一果」役の服部樹咲の存在感も大きかったです。 「この子役は上手いけれど、誰だろう?」と思っていたら、演技未経験の新人であったことに驚きました。4歳からバレエを始めていただけあって、核となるバレエの上手さは言うまでもなく、通常の演技も草彅剛の演技と相乗効果が増幅していっているほどのハマりよう。 そして、宝塚歌劇団出身の真飛聖の演技も光っていました。日本で(ごまかしのききにくい)バレエの講師役がキチンと務まり、しかも演技もできる女優は極めて少ないでしょう。 ここ最近の水川あさみの弾けっぷりもだんだん板についてきています。 このように脇もしっかりしていますが、何と言っても「草彅剛の自然体演技×可憐に舞う新人子役」が本作の圧倒的な強さ。ぎこちなさから始まり徐々に深まっていく2人の関係性の様は本物でした。 タイのロケもキチンと行ない、ニューヨークでも撮影しようとしていた(新型コロナで物理的に不可能だったので断念)など、製作陣の並々ならぬ気迫も感じます。 バレエを題材にしていることもあり音楽を効果的に使っていて、「一果」と友達の「りん」の関係性など、本筋の軸を曲げかねない重いシーンもありましたが、音楽と映像でむしろ相乗効果が出るように構成されていたのは監督の手腕でしょう。 この音楽と映像で、終盤は「言葉」より「感じる」部分が大きくなっていったのも美しさと儚さが増幅され、「草彅剛×服部樹咲」の演技がより光るものだったと思います。 この先の草彅剛と服部樹咲の活躍がますます楽しみになるような作品でした。

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細野真宏

4.0草彅剛の底力 新人・服部樹咲の果てなき可能性

2020年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

草彅剛の現時点での代表作となることは間違いない。オリジナル作品の企画が通り難い昨今だが、今作は草彅が出演に名乗りを上げたことで大きく動き始めたことは想像に難くない。役に寄り添い、トランスジェンダーの主人公・凪沙として作品世界を見事に生きた。 そして、今作が銀幕デビューとなる新人・服部樹咲が、どこまでも可憐で美しい。幼年期から続けるバレエにより体幹がしっかりしているのだろう、不思議と目が彼女を追いかけてしまう。末恐ろしいと形容すべきか、この新人女優の果てなき可能性も必見である。

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大塚史貴

4.0自己否定感と劣等感からの脱却

2024年10月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

ナギサ(草彅剛)とイチカが徐々に仲良くなる感じが自然で違和感が無くて良いです。。 イチカがコンクールに出てステージで踊るとき、家族の前で友達が同時に踊る演出が感動的です。 飛び降り自殺やリストカットの跡のシーンが見ていて辛いのですが、バレエの先生の存在が希望の光でした。 海のシーン、切ないです。 不幸から始まったのでハッピーエンディングになると予想していましたが、複雑な終わり方でした。 エンターテイメントらしさを感じるラストでした。 性転換手術後の大変さにも触れています。 俳優陣の演技が抜群でした。

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Don-chan