1917 命をかけた伝令のレビュー・感想・評価
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舞台装置のような「リアル」
飛んでくる銃弾、空を震わせる爆撃機の轟音、土の匂いや血の触感すら伝わってくるような、圧巻の臨場感。 全編ワンカットの映像は、兵士に完全密着したドキュメンタリーのようでありながら、恐怖に喘ぎながらも使命感にもえる被写体の表情をとらえた完璧なカットにより、いかにも映画的な恰好よさを湛えている。 もちろん実際にワンカメ・ワンカットであろうはずがない。主人公が屋内に入る時、塹壕を飛び越えるときなど、一瞬隠れるその障壁をうまく使って編集したと思われる。この完璧なつなぎが故に、鑑賞している間「これは映画だ」という意識が片隅にあり、払拭はできない。ある意味、壮大な仕掛けの舞台装置を見ているよう。 しかし戦争を体験したことのない多くの人たちにとってこれ以上のリアルははないのでは。まるで主人公の戦友のように戦地へ放り出される没入感は、他の戦争映画とは一線を画する。塹壕、地雷、腐敗する死体、敵と味方の区別がつかない暗闇…。 時間と命の重みを共有しながらたどり着いた先、取り振り向いた上官が「ベネディクト・カンバーバッチ」という最高の仕掛けで、映画的興奮は最高点に達する。
極限の危険地帯を、ただ前だけを見て、ひた走る
緊迫の極限でした。 舞台は第一次世界大戦の西部戦線。 若きイギリス兵・スコフィールドとブレイクの2人は、 《戦闘即時中止》との伝令を持って、16キロ先の前線へ 赴くのです。 それを伝えないと1600名の兵士の命が危ないのです。 《即時撤退、戦闘停止》 通信手段の電話ケーブルはドイツ軍に切断されていました。 伝令の手段は2人の足だけ。 第一次世界大戦(1914年〜1918年)だからこそ起きる、 手段は足のみ(アッ、途中、トラックに乗るシーンありました、) たった半日だったけれど、スコフィールドとブレイクには、 一生で一番長い半日、そして困難なミッションでした。 それにしても塹壕の長さに驚いた映画でした。 塹壕の壁に寄りかかって眠る兵士。 (地面はぬかるみ、4月とは言え肌寒く彼らは疲弊している) スコフィールドは走る・・・ カメラは『全編ワンカット』に見えるように途切れなく編集され、 臨場感がハンパない。 まるで私も銃を担いで、弾と弾の嵐をかいくぐり、 共に走っているようでした。 橋は落とされ、川に身を潜めて潜りながら進む。 川には死体の山が累々。 (兵士の死体だらけで、戦争の惨さが胸に迫る) 夜は更ける・・・まだ着かない・・・だいたい近づいてるのか? 味方の方向も、ろくに分からない・・・ スコフィールドが焦れど焦れど、味方は遠く・・・ 少ないシーンながら、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、 マーク・ストロングの存在感が光りました。 私に伝わった伝令? それは戦争の虚しさでした。
苦手な洋もの戦争映画だが
この映画を観ていてわかったことが。これまで洋ものの戦争映画は苦手だったが、その理由はテーマの重さもさることながら登場人物が多すぎて、個々の差別化が難しく感情移入がしにくかったことだと。その点、この映画は描き方が一人称に近くとても臨場感を持ちながら観ることができた。 ちょっと惜しかったのは市街地の場面。荒野の戦場に比べると、少しデフォルメしすぎで、リアリティに欠ける気がしたのが残念でした。
評判通りと言うのはこの事か・・・
見る前から高い評価を獲得していて、僕も同意見だ。技法や手法はどんなに奇抜でも肝心の映画の中身が伝わらなければ意味がない。この作品ではプロの仕事を見せて貰った。文句なし。
拘り抜いた撮影法から生まれる異常な緊張感
第一次世界大戦下において1600人もの兵士を救うための撤退命令を戦線に届けるべく戦場を駆け抜ける2人の若き兵士を描いた戦争映画。 全編ワンカット撮影を売りにした本作はどこに敵や罠が潜んでいるかわからない戦場を駆ける2人の主人公たちのリアルな視点により生まれる異常な緊張感と恐怖を表現した他に類を見ない作品だった。 各メディアでも特集されていた通りその撮影方法は多岐に渡り、ハンディカムはもちろん、車に乗ったままの撮影をすることで疾走感を演出したり、ワイヤーを用いた撮影でまるで宙に浮いてるような不思議な画角の映像などにより、常に主人公たちの目線もしくはその同行者のようなアングルで鑑賞できるため没入感が尋常ではなく、終始息苦しい笑。 さらには映像に一貫性を持たせるために全ての撮影を曇りの日に行ったそうでその拘りも尋常ではないと感じた。 また一つ新たな映像体験を味わえる作品だと思う。
第一次世界大戦の最前線、敵の罠である英国軍の作戦中止を伝令するとい...
第一次世界大戦の最前線、敵の罠である英国軍の作戦中止を伝令するという重要な任務。 ワンカット撮影されたというこの作品、戦争映画にあるような派手な戦闘シーンはないが、終始続く緊張感がすごい。のんびりとした風景から戦場へ場面が変わっていくシーンも戦争の怖さが伝わってくる。 違う角度から戦争を観る、新鮮な映画でした。
臨場感がすごい
リアルな戦争の映像と臨場感 プライベートライアンを思い出す。 2時間ドキドキして引きこまれる。 緊張感が観てる側に伝わるというかその場にいるような怖さ。 観たあとは脱力感。主人公と同じく。
ドキュメンタリータッチ
兵士の目の高さのカメラが二時間、塹壕の中を進んでゆきます。 手持ちカメラ的映像で閉塞感抜群、スリラーも最上です。 米軍とは違う英軍の格調の高さがよく表現されています。 全編ワンショットみたような撮影だそうですが、あらかじめ知らせておかないと映画学校の生徒以外は気づきません。せっかく苦労したのにもったいないです。そうと知って観るとなかなか感心します。
戦争の不条理と人生の無常
観終わって、戦争の不条理、人生の無常という言葉が浮かんできた。戦争映画ではあるが、従来作とは些か異なる作品だった。戦争映画というよりは、哲学的な領域まで踏み込んだ作品だった。アカデミー賞作品賞ノミネートに相応しい作品だった。 本作の舞台は1917年、第一世界大戦中のフランス。主人公は、連合国軍のイギリス軍兵士・スコフィールド(ジョージ・マッケイ)、ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)。彼らは、ドイツ軍追撃中のマッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)への追撃中止命令の伝令役を命じられる。彼らは、危険な任務に戸惑いながらも、懸命に様々な困難に立向っていくが、そこには、熾烈な運命が待ち受けていた・・・。 本作は、ワンカットのような映像、前後と左右のカメラワークの使い分け、戦争の緊迫と静寂を巧みに織り込んで、主人公達の道程を描いている。それによって、いつ、何が起きるか分からない、生と死が常に隣り合わせの、不条理な戦争の姿を浮き彫りにしている。 冒頭の塹壕シーンからラストまで、画面から目を離すことができない。全編、ワンカットのように見える映像で主人公達を追っていくので、彼らに帯同しているような雰囲気になる。 加えて、カメラワークが絶妙である。緊迫したシーンでは、カメラは主人公達を前後から捉える。カメラの前後の映像は、観客に不安感を与える。主人公達の居る戦場に放り込まれたような臨場感、緊迫感でハラハラドキドキ感が止まらない。 一方、主人公達が一時の静寂の中で語り合うシーンは、彼らをカメラの左右の動きで捉えるので安心感があり、落ち着いた気持ちで彼らの会話を聞くことができる。 後半になると、物語は、戦争とともに、主人公達の生き方、人生に迫っていく。人生の無常といった哲学的な雰囲気が漂ってくる。切なさで胸が熱くなる。 本作は、臨場感ある映像で、戦争の不条理と、それに翻弄される人間の想いを綴った秀作である。
まさに命懸けだ
2019年アカデミー賞の「撮影」「視覚」「音響」部門受賞作。 ということだけ知ってました(授賞式見てた)。 ストーリーはざっくり。 1917年イギリス対ドイツの戦争時。 「戦線から退避せよ」という将軍→大佐の命令を伝える兵士の話。 それだけですが。 真っ直ぐすすめは15kmほど。だけどそうはいかない。 待避壕の中を進む時もあれば、何もない野原の中を走る。 最初は二人、でも途中からはたった一人で。 静かなところと、砲弾行き交う中の爆音。 メリハリがすごくあって、もう何度も「わあ!」って驚いたり。 中盤以降は「走れ〜、行け〜」って、走れメロス状態の脳内。 自分の伝令が届かなかったら、より多くの味方が傷を負う。 いやいやどうする、どうなるの?とハラハラしどおしでした。 戦争物特有のどんより感(負傷とか)は、画面からさほど感じないので。 そういうのが苦手な人でも、大丈夫。 後意外な英国紳士俳優が、ゲストで出てました(ネタバレ省略)。 この話はサム・メンデス監督の祖父の体験や、戦友の話が参考になっているそうで。 その話も今の時代の時空を超えた伝令、だったのかもしれない。 ⭐️今日のマーカーワード⭐️ 「Yes、I will」(必ず届ける)
一兵卒の運命!
ストーリーの起承転結 次々と襲いかかるアクシデント その合間合間で繰り広げられる人間模様 戦争映画というジャンルは アクション、サスペンス、ヒューマンドラマ を一度に楽しめる作品だと思う。 ワンカット風の映像編集も 作品への没入感をより感じられて良かったと思う!
4
全編ワンカット風という圧倒的な没入感と迫力は 衝撃でした。 ワンカットであるが、カメラワークや音楽で展開が掴め、 加えて伝令を伝えなければいけない理由など ストーリー性に深みもある。 見終わった後、凄いものを観たなという興奮は忘れません。
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