劇場公開日 2020年2月14日

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「舞台装置のような「リアル」」1917 命をかけた伝令 REXさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0舞台装置のような「リアル」

2023年2月2日
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悲しい

怖い

知的

飛んでくる銃弾、空を震わせる爆撃機の轟音、土の匂いや血の触感すら伝わってくるような、圧巻の臨場感。

全編ワンカットの映像は、兵士に完全密着したドキュメンタリーのようでありながら、恐怖に喘ぎながらも使命感にもえる被写体の表情をとらえた完璧なカットにより、いかにも映画的な恰好よさを湛えている。
もちろん実際にワンカメ・ワンカットであろうはずがない。主人公が屋内に入る時、塹壕を飛び越えるときなど、一瞬隠れるその障壁をうまく使って編集したと思われる。この完璧なつなぎが故に、鑑賞している間「これは映画だ」という意識が片隅にあり、払拭はできない。ある意味、壮大な仕掛けの舞台装置を見ているよう。
しかし戦争を体験したことのない多くの人たちにとってこれ以上のリアルははないのでは。まるで主人公の戦友のように戦地へ放り出される没入感は、他の戦争映画とは一線を画する。塹壕、地雷、腐敗する死体、敵と味方の区別がつかない暗闇…。

時間と命の重みを共有しながらたどり着いた先、取り振り向いた上官が「ベネディクト・カンバーバッチ」という最高の仕掛けで、映画的興奮は最高点に達する。

REX