ベル・カント とらわれのアリア
劇場公開日 2019年11月15日
解説
テロリストと人質の心の交流を描いたアン・パチェットのベストセラー小説「ベル・カント」をジュリアン・ムーア、渡辺謙、加瀬亮ら日米の豪華俳優陣の共演で映画化。南米某国の副大統領邸で、実業家のホソカワが経営する会社の工場誘致をもくろむ主催者が企画したソプラノ歌手のロクサーヌ・コスのサロンコンサートが開催された。ホソカワ、通訳のゲン、現地の名士や各国の大使らが集まり、パーティはスタートしたが、突然会場になだれ込んだテロリストたちによって副大統領邸は占拠されてしまう。緊迫した空気の中、ロクサーヌの歌をきっかけに、貧困で教育なども受けてこなかったテロリストたちと、教養に溢れた人質たちとの間に親子や師弟関係にも似た交流が静かに生まれ始める。ムーア、渡辺、加瀬のほか、セバスチャン・コッホ、クリストファー・ランバートらが顔をそろえる。監督は「アバウト・ア・ボーイ」でアカデミー脚色賞にノミネートされたポール・ワイツ。
2018年製作/101分/G/アメリカ
原題:Bel Canto
配給:キノフィルムズ
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2022年2月19日
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テロリストに対する気持ちが、移り変わって行くのを感じた。外の人間から、自分自身も中の人間に。
最後踏み込んできたのは外の人間。中のテロリストには悪意しか持たない。
人の殺し合いは虚しい。
2021年5月17日
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決して許されることではないが、その背景にある動機や、歴史を汲み取らなければならないと改めて痛感させられた。映画は南米ペルー大使館の占拠事件がベースとなっている。ニュース映像はフジモリ大統領そのまま使っていたし。テロリスト達と人質達が長時間共にするうちに心が通じ合い、ある者は恋に落ち、共にオペラを聞き、サッカーに興じるようになり、異様な空間の中で、不思議な関係が構築される。いつかは終わりが来るだろうと誰もが思っているが、終わりたくない、このままでいたいと思うほど、そこはある意味、楽園かのような描かれ方をしている。育ちや、言語は違えど、テロも人質も同じ人間、互いに敬意を払っているという風に。そういう意味ではテロリスト全員射殺の結末は悲しい。映画でも突発的事故とは言え、人質一人が銃殺されており、テロ行為=悪という認識は今後も変わらないが、なぜ同じ人間が、そのような行為に至ったか、映画では500年抑圧されてきたとあったが、少数民族の歴史的背景を重んじなければ、この様な悲しい負の連鎖が繰り返されるだろう。テロ側の視点に立った珍しい映画。ソプラノ歌手を演じたジュリアン・ムーアの口パクと、渡辺謙との不倫は若干残念。
2020年12月6日
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武力(力)を持ってねじ伏せる、最悪の収集の仕方。
人は言葉すら通じなくても分かり合える生き物だと思う。
人質とテロリストに友情や愛が生まれることが、そのことを立証している。
2020年11月5日
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1996年ペルーの首都リマで起こった、4ヵ月にも及ぶ日本大使公邸占拠事件から発想された原作の映画化で、ペルーの国名は伏せられ副大統領邸のコンサートパーティーが舞台となる。但し日系人大統領はそのままで、当時のジャパンマネーに頼る南米の貧しさが背景にある。貧困と差別からくる政治不信の打破を目論むテロリストの無計画さが、膠着状態を長引かせて、そこに生まれる奇妙な人間関係が新たなドラマを生んでいる。しかし、日本人実業家ホソカワがディーバと敬愛するソプラノ歌手ロクサーヌ・コスーの世界的名歌手の設定に無理があり、一夜限りの個人的なコンサートの為にその場に居合わせるのが不自然。また人質解放で子供と女性は最優先されるし、まして彼女はアメリカ人だけに国際問題として米国を刺激してしまう。ホソカワとの恋愛を描きたい作意が明らかで、それが通訳ワタナベとテロリストの少女カルメンとの恋とダブるのも工夫が足りない。折角の日本人俳優出演が勿体ないし、特に加瀬亮は実力の半分も出していないであろう。最後の特殊部隊突入に込められた人道主義からの批判的描写も理解はするが、敵味方入り乱れ切迫した状況では仕方ないのではないだろうか。人質監禁を交渉の道具にするリスクは、自滅に近い。
主演のジュリアン・ムーアは貫禄はあるが、吹き替えの演技が良くない。交渉人役のセバスチャン・コッホとラテンアメリカ人のテロリストを演じた俳優はいい味が出ている。それに、クリストファー・ランバートを久し振りに観た。さすがにおじさんになりました。
現実的な社会問題に深入りすることなく、男女の恋愛ものの凡庸さに終わった不完全な作品。
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