ある船頭の話

劇場公開日:

ある船頭の話

解説・あらすじ

オダギリジョーの長編映画初監督作品で、柄本明が演じる船頭を通して本当の人間らしい生き方を描いた。橋の建設が進むある山村。川岸の小屋に暮らし、村と町を繋ぐため船頭を続けるトイチは、村人の源三が遊びにやってくる時以外は黙々と渡し舟を漕ぐ毎日を送っていた。そんないつもと変わらない日常を送るトイチの前に、ある1人の少女が現れたことをきっかけに、トイチの人生は大きく変わっていく。主人公のトイチ役を「石内尋常高等小学校 花は散れども」以来11年ぶりの映画主演となる柄本が演じ、源三には村上虹郎が扮した。「ブエノスアイレス」「恋する惑星」などで知られるクリストファー・ドイルが撮影監督を務め、黒澤明監督の「乱」でオスカーに輝いたワダエミが衣装デザインを担当。音楽を映画音楽初挑戦となるアルメニア出身のジャズピアニスト、ティグラン・ハマシアンが手がける。

2019年製作/137分/PG12/日本
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2019年9月13日

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(C)2019「ある船頭の話」製作委員会

映画レビュー

4.0クリストファー・ドイルが再現する古き良き日本の情景

2019年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

確かに現代の日本で撮影されたはずなのに、近代化で失われて追想の中にしか存在しない美しい山間の景色が再創造されたかのように錯覚する。水墨画のような淡いカラー調整と、端正な構図によるところも大きい。撮影監督クリストファー・ドイルは、オダギリジョー主演作「宵闇真珠」に共同監督も兼ねて参加した縁で、オダギリの長編初メガホンとなる本作を撮ることになったとか。外国人の眼と感性によって再現された「和の美」に、日本人の監督・撮影監督たちも大いに刺激を受けるのではないか。

国際的に活躍するオダギリが長年温めてきた企画で、失われゆく日本的価値観、時代に取り残される庶民といったテーマが描かれるのも意外に思えた。だが、世界を知れば知るほど、それまで身近過ぎて見えなかったものを客観的にとらえられるようになることはありうる。その意味でもオダギリ監督と外国人の撮監の組み合わせは本作にうってつけだったようだ。

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高森 郁哉

5.0今年観た中でベスト級

2025年6月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

なんと言っても一番目を奪われるのはロケーションの美しさだろう。ヒューマンドラマでありながら余り寄らないカメラも印象的だ。後ろに映り込む景色もまたキャラクターであるかのよう。
変わりゆく時代。それに伴い変わっていく人間。それを写すかのように移り変わる季節の風景。アメンボの数が減っていく様は、すり減っていく主人公トイチの心を表しているようにも思えた。

変化に順応出来ないままでは淘汰されていく。ただ生きていくのすら困難になっていく。
動物は生き残るために進化してきたが、昔のままでというのは、人もまた生き残れないのかもしれない。
近代化が進んでいく時代の物語であるけれど、ある意味で現代も同じなのではないか。時代に淘汰される。暴力に淘汰される。取り残された弱者が生き残る術はないのだろうか。

自身の生を過去に還元し未来に還元する様は、紡いでいく人の生。何かを得て何かを失う。
個人ではなく人間という大きな括りで見たとき、人ひとりは紡がれるピースの一つなのだと、妙に哲学的なことにまで考えが広がっていく。

喜ぶべきは本作のロケーションに使われた場所が今も残っていることだろう。
この作品に感じる物悲しさほど現実は悲しくないのだと信じたい。

誰にでも受け入れられる作品ではないだろうが、個人的には今年観た中でもベスト級だった。

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つとみ

3.0ティグラン・ハマシアンの音楽が、全く耳に残らなかった

2025年2月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

ジャズピアニストのティグラン・ハマシアンが、この映画で初めて映画音楽を担当するとのこと。
「映画で音楽を聴いてみて、気に入ったらサウンドトラックを購入しよう」という邪な動機で、鑑賞に出かけました。

穏やかに始まった映画でしたが、途中から段々と不穏になり、思いもかけぬ流血シーンもありで、音楽どころではありませんでした。

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ぴのこねこ

4.0これは映画だ

2023年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

美しい。

映像が美しい。
音楽が美しい。
台詞が美しい。

人は美しい
そして醜い。

トップクラスのスタッフに
主役級のキャストを集めた
オダギリ・ジョー監督・脚本の映画

美しくはあるが
重い空気に包まれた
ある川渡しの場所。
その重さは人か、時間か、神か、
または自然によるものなのか、
様々な噂話が飛び交うその場所で
噂は亡霊のように、そこに住みつく。
静かで淡々と物語は進んでゆくなか
ついにに噂と真実が混じり合う。

どのシーンも注目に値し、
あぁ、映画を観ているのだな
と実感した。

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星組