町田くんの世界のレビュー・感想・評価
全199件中、81~100件目を表示
まあまあ面白かった。
漫画から飛び出すってまさにこのこと
天網恢恢
初心でぎこちなく不器用な少年と少女の青春恋愛ファンタジードラマであって、決して際立って端正な主人公同士の整然としたラブストーリーではありません。
片や純真にして素朴で、何より純粋に周囲に利他を実践する不得要領な少年・町田くん、片や真の己を韜晦し、心が屈折して拗強な少女・猪原さん。まるで接点がないはずの二人が、歯痒くも焦れったいすれ違いを繰り返して収まる様を、実に巧妙に綴り上げています。
最も特徴的なのは、作品の中で演出の立ち位置が明らかに変わっていくことです。
前半導入部は町田くん視点、中盤は猪原さん視点、佳境に入る後半は、主役二人に絡んでいく諸々の登場人物其々の視点で目まぐるしく展開し、それら全てが一点に収束して熱気が最高潮に達しラストを迎えます。この構成は絶妙です。
もう一つの特徴は、最近の青春映画では珍しく寄せの画があまり無く、殆ど引きの画で且つトラッキングやパンの長回しが多く、そのために淡々とストーリーが進行する印象となって、緊張を強いられることは全くなく、観衆は客観的な視点で寛りとドラマの推移を観つめられたことです。
周りの難儀する人に只管善行を施す町田くん、その世界観は崇高ですが、本作では町田くんを決して神格化せず、あくまで市井の一人の高校生として見つめています。そのカメラの目は玲瓏でありながら仄暖かく、観衆も、聖人君子に看做しかねない町田くんを過度に絶賛することにもならず、カメラ同様にやや距離を置いて仄々と観ていたと思います。
新人男女の主人公二人に比して豪華過ぎる脇役陣の配役は、つい作品の焦点を茫漠とさせてしまいがちですが、作品としての構造は堅固に築かれています。
「情けは人の為ならず」、そして「天網恢恢疎にして漏らさず」。二人の間の込み入った入り繰りと押し引きのもどかしさや、一人の女生徒を狂言回しの語り部にするといった凝った構成も、ラストから振り返ると、これこそ本作のテーマではないかと思っています。
多分本作は現代のメルヘンを目指したのでしょう。やや美しすぎる嫌いもする観賞後感とも符合します。
尚、蛇足ながら、本作で非常に耳に障ったのが「ごめん」という台詞の、いわば間投詞のような使い方での多用です。最近の現代劇映画の殆ど全てに共通する特徴のように感じます。
対人関係に極度に敏感な現代若者気質を捉えているのかもしれませんが、ガラスのような壊れやすい繊細な神経を感じる一方、柔弱な線の細さを感じざるを得ません。その実相は、町田くんといえども不安と猜疑心の裏返しではないかと、ふと邪推してしまったしだいです。
漫画チック過ぎて、感情移入できない
タイトルなし
この世界観には浸れない面はあるが、これはオッサン向けのストーリーだと思った。
クライマックス以外は充分に楽しめた。
原作は少女マンガらしいが、原作の読者層が観てどう感じるかはわからない。
前田敦子の台詞が秀逸。
原作にあるのか、脚本が素晴らしいのか、
「やべぇな、青春」
猪原さんが町田くんに翻弄される姿が、新人関水渚の演じぶりも含めて、本当によく伝わってくる。
「好き」が爆発して「恋」になる過程が、町田くんのリアリティーのなさに相反して、実にリアル。
恋したくてもできなくなったオッサンが「恋って、そうなんだよ」と言いたくなる。
風船を掴んだ町田くんが浮かび上がるところは、大林宣彦的なファンタジーを感じさせたが、それがその ままクライマックスに移行するのは、冗長で安直ではなかったか。
達観した高校生に違和感を感じる人もいるだろうけど、意外と今の高校生は大人なのよ。
視野は狭いけど。
ホンマ、終盤ぶっ飛び。。。
前田敦子の存在感
良質のコメディ
良質のコメディは、笑えて、感動して、心温まる。
この映画はまさにそんな映画だ。
主役もわき役もチョイ役も、みなキャラがはっきりしていて、誰もかれも愛おしくなる。みな、誰かのことを「変な奴」と思いつつ、自分の灰汁の強さに気付かない。主役を囲む曲者たちは、私たちの目線になっている。だから共感できる。
浩市氏のみ唯一の悪役になってしまった。彼のそうなった背景や、町田君に触れて救われる場面があればさらに良かったと思うが贅沢か?
最後の場面も、もう少し現実に寄せてほしかった。そうでないとこの居心地のいい世界があり得ない話に寄ってしまいそうだから。
それでも、この映画には高評価を与えたいし、もう一度観てみようかな、とも思っている。
世界観がすごい
とにかく原作ファンには納得できない作品かなと思います。
かく言う私も原作ファンなので町田くんと猪原さんの原作との違いには正直がっかりしてしまいました。
でも新人さんとは思えない2人の演技力には感動しました。
高い評価に見合った作品だと思いますが、原作とは全然違うぞっていう大前提を頭に入れて見て欲しい作品でした。
序盤はわりとゆるゆる続きますし、個人的に原作で大好きな猪原さんのあまりのズレに少々不快感もあって見ていられませんでしたが
架橋からの作品の世界観についてはぶっ飛んでいて良かったです。
勝手な意見としては池松さんの演技力に拾われまくった感もありましたが。
脇を固める俳優陣の素晴らしさがピカイチで本当に感動しました。
初めの方は大賀さんの演技力に驚き、松嶋菜々子さんの安定感に惚れ惚れしました。
最後に行くにつれてすっきりした作品で良かったです。
久しぶりに池松壮亮さんのコメディアンの一面を見たのでそこがとにかく良かった。
やっぱり大ファンです。
世界対町田君
あくまでも個人的感想です。
テーマ:①言葉で説明する事が出来ないもの、答えのない問題に思考停止してはいけない。向き合わなくてはいけない。②必死な人の姿は美しい。
裏テーマ:人は他人を通してこそ自分の姿を認識する。町田君が皆に好かれるのは、そこに自分の中にある良心を見い出す事が出来る、彼の中に救いを見い出すからである。
ストーリー:ラブコメ。決して他人を傷つける事の無かった良心認識装置である主人公が自我に目覚め(恋におち)、他人を傷つける可能性を孕むという自己矛盾に陥いるが、最後は自分の気持ち(エゴ)を押し通すことを選ぶ。
荒唐無稽なエンディング :風船を掴んだ瞬間、もはや世界は町田君の世界であり、どんな奇蹟が起こっても許される。
現実世界の町田くん
原作ファンなので楽しみにしていたのですが、まぁ、漫画と実写はベツモノと考えておりますので全然オッケー。
多分、漫画の町田くんをそのまんま実写にしたらちょっと怖い気がしていたので実写ではあれくらいわちゃわちゃしていた方が人間味があると思います。
(我々の素敵な町田くんはやはり二次元に留まるしかなかったのですね。)
実写映画としてはなんといっても前田敦子さん素晴らしい。他のキャストも豪華なのに前田さんが出ると会場から笑い声が出る程みんな一瞬で好きになったような感じでした。
原作ではほのぼのとしていたのに最後のぶっ飛びかたはもうエンターテイメント作品!という感じ。
町田くん、側にいたらめちゃくちゃイライラしそうだけど、一歩離れたらほんと見てて癒される感じなので映画としてはありかと。
でも、あくまで原作が一番良いので星3.5
(好き)で世界が変わるファンタジー
後半ビックリするくらいだれる
前半の町田くんの紹介部分は面白かった。
後半の
町田くんが町田くんじゃなくなった辺りから
ビックリするくらいつまらない。魅力がない。
ライバルの女は取ってつけたように元彼とヨリを戻して協力
何故か風船で飛んで彼女さらってプールに落ちて告白
脚本が思考停止してる
ファンタジー映画と思えば面白い
運動も勉強も苦手で、見た目も地味で、何も取り柄もないという町田くん。人を愛する才能があるという町田くん。こんな男の子、いまどき、いるわけがない。コミックの実写化っていうけど、リアルというか、ノンフィクションと思って見てしまうと、面白くないと思う。だって、人は、風船では飛べないから。でも、ファンタジーと思って見たら、風船で飛んだっていいんですよ。面白いと思えると思います。
町田くんの思考回路、変わってたわ〜。でも、本当に、素直な男の子です。バスで席を譲ったり、困った人がいると、誰であれ、助けてあげられる。そんな人になれないから、みんな、彼を素敵だと思うんでしょうね。でも、彼を好きになったら、大変かも…。
主役2名が無名だからか、脇は、凄く豪華キャスト。個人的には、前田敦子が良かった。普段は、あまり演技上手いとか思わないけど、こういうテンション低い役は良いんだよね〜。それにしても…平均年齢25歳くらいありそうなメンバー全員が制服姿って…。似合ってるから良いですけど、若干、痛いですよね。
キラキラの二人にギャラリー俳優陣の安定感よ。
願い
不可能な事ではないと思える。
彼が見てる世界、彼がいる世界は、彼がいるからこそその形を成す。
世界を変える事はできなくても、自分が見てる世界くらいは変えていけるのかもしれない。
人によってはスイッチを入れ替えるくらいで出来るのかもしれない。人によっては痛みや苦しみを伴うのかもしれない。だけど、そうありたいと願うのならば、あなたの世界は緩やかにでも変わっていくのかもしれない。
それに連れて、社会も変わっていくのかもしれない。
そんな事を思った。
とても温かい映画だった。
作品的にはなかなかにぶっ飛んでた。
本作の主人公を演じた2人の好感度は爆上がりだ。町田くんちの前で、収まりきらない感情に振り回されるシーンとか大好きだ!
前田さんの演技が良い!グッと抑えた声のトーンに笑ってしまう。それ以外にも辛辣な台詞を吐きながらも「こいつ皆んなの事好きなんだな」と思わせる仕草に魅せられる。
キャスティングの勝利なのか、キャラ設定の勝利なのか…最後まで飽きなかった。
良い台詞もたくさんあって、納得したり、感動したり。
池松氏のキャラを生んだ原作者に感謝してみたり…葛藤も後悔もあるよなぁって。
ああいうわかりやすい環境じゃなくても、誰かを犠牲にしていいのかってのは、魚の小骨の如く喉に突っかかっる。
町田くんの世界は夢みたいなもんだけれど、もうそろそろ多数決の呪いから抜け出してもいいのかも。
その世界が過ごしやすい世界ならそれでもいいのだろうけど、心のどこかで「クソみたいな世界だな」と思うなら決断も必要かも。
クソみたいな世の中は変えれなくても、クソみたいな世界なら、自分次第で変えていけるのかもと思わせてくれた。
なるほどと興味深いのは、皆んなが羨む町田くんの世界を、本人は楽しく過ごしているわけでもなく、悩んで迷って汗かいて、叫んでぶつかって、大いに足掻いている点だ。
一生懸命しか知らないのは、正直しんどいと思う。でも、やっぱり心のどこかで「羨ましいな」と思える自分もいる。
そんな自分を否定しないでいようと思う。
きっと、おとぎ話なんかじゃない
先日、私が見た光景の話です。
踏切を女性が小さい子を連れて歩いていたんです。
そして、踏切が鳴り出したその時、宅配便の男性が素早く、それでいてさりげなく女性の荷物を手に取り踏切の外まで運んだんです。
かっこよかったなあ。
タイミング的には、その行為が無くても親子は余裕で踏切を渡りきっていたと思います。
でも、そんな事はどうでもいいんです。
だって彼の行動は、見ていただけの私の心まで、とても幸せな気分にしてくれたから。
善意は人を幸せにするのだと、実感した出来事でした。
きっと善意は、普段見落としてしまっているだけで、そこら中に溢れているんだと思います。
それはきっと、おとぎ話なんかじゃない。
この映画も、おとぎ話なんかじゃないといいな。
全199件中、81~100件目を表示