天気の子のレビュー・感想・評価
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日本に生まれて本当に良かったと思える映画
新海誠監督がいるだけでも。『君の名は。』の期待を背負って世の中の無用なプレッシャーのなかで、その期待値を超えてくるのは天才でしかない。プロデューサーの川村元気さんの才能も大きいかもしれないが。
まずなにより映像美。現実ではない世界であれほどのリアリティを持って、さらにアニメの力をフルに活かしてリアルを超える夢を魅せてくれる。
東京の街並みを知っている人にとっては唸るほどの再現度。McDonaldにSUNTORYにYahoo!知恵袋まで…これでもかとプロダクトプレイスメント(タイアップ?)が溶け込んでいる。広告スポンサーにうがった見方もされるけど、一方でエンタメにおいてパトロンは重要だよね。
そして子どもから大人まで楽しめる仕上がりになっていながら、ど真ん中には人間の普遍的なテーマが凝縮され詰め込まれている。
巨大なる自然の前には人類なんてかりそめの借りぐらしのホモサピエンティだし、束の間の小さな存在なのに、昔から自然災害(人間にとってはそうだが、宇宙の歴史からしたら当たり前のホメオスタシス)に抗ってきた。
結局、人類だって生態系の一部で、その存在意義、歯車の一片にすぎない"価値"に気づき自覚しないといけない。
日常の些細なことに悩んでいることが本当にバカバカしくなる。小さなことを気にしたり意識高い系になろうと、「この世界なんてもともと狂ってる」から。
あっちを立たせばこっちが立たず…多様な世界において決して思い通りにいくことなんてない。
でもそれでも、目の前の人を愛し大切にし、やりたいと思えることに素直に向き合うことで、半径5メートルのささやかな幸せは手に入れられる。
だから「僕たちは大丈夫」だと背中を押してくれる。
たくさん心に響く言葉があったけど、一番刺さったのは、
「神様、お願いです。これ以上僕たちになにも足さず、僕たちからなにも引かないでください。」
一度きりの限りある一瞬の人生、無駄な欲は持たず、ただ楽しめばいい。
それと、またRADWIMPSがいい仕事する。野田洋次郎の歌詞に抉られる。
永久保存版の日本映画の代表作である。
無気力な大人には大変イタイ作品
病室の窓から雨に沈む新宿の街を見下ろしていた少女陽菜。雑居ビルの屋上に射す一筋の陽光を見た彼女は吸い寄せられるように非常階段を登っていく。フェリーで東京にやって来た高校生穂高はYahoo!知恵袋で身分証なしで働けるバイトはないですか?と尋ねるくらい無計画な家出少年。そんな都合のいいバイトがあるはずもなく新宿の闇を思い知る・・・からの物語。
始まってすぐ不安になったのはモノローグの多さ。モノローグで心情をイチイチ語ってしまう極めてテレビ的なアプローチに正直興ざめ。『君の名は。』ではテレビアニメ風の導入を採用しながらそんなテイストは薄かったのに反して、いかにも映画的な荘厳な導入からこんなアプローチを採るのはちょっと納得いきませんでした。
あとチキンラーメンの応用レシピ等タイアップがやかましい。これは大人の事情があったのでしょうが取って付けた感が否めない。新海作品はある意味オカルトですが、だからといって今回の『ムー』とのコラボはちょっと引きました。
恐らく『君の名は。』のある意味真逆の話、すなわち愛する人を救うために世界を滅ぼす話にしたかったのかと思いました。デル・トロ監督が『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』で言及したようなディストピア。それを五輪を来年に控えた今ぶつけてきたところはグッときました。子供3人で2万8000円払ってラブホ宿泊とかにも攻めた片鱗もありますね。
個人的にはRADWIMPSの続投もピンときませんでした。ピアノがポロンと鳴るだけで二番煎じ感が滲む。映像と劇伴のシンクロが物凄く繊細ですが、『君の名は。』に無数にあった、魂が鷲掴みにされるようなグルーヴが余り感じられなかったようにも思います。
勝手な想像ですが、本作は現代の大人に不満を持つ中高生を鼓舞する話かなと。そういう意味でまさしくその標的である無気力な大人である自分にはキツイ作品でした。
そんな中でそんな大人でもグッとくる素晴らしい描写が2つありました。ひとつはなぜか『セーラー服と機関銃』オマージュがあること。雑居ビルの屋上を俯瞰するイメージと穂高がピッと頬を切って出血するところですね。あれを新宿と代々木でやる、そこはよかった。あと本田翼が演じた夏美がメチャクチャ眩しかった。ちょいエロパートを一手に引き受けて誰よりも母性を滲ませる令和の峰不二子に生命を吹き込んだ彼女は素晴らしかった。『空母いぶき』、『新聞記者』、そして本作、彼女こそが海の底に沈もうとしている邦画に陽光を導く巫女なんじゃないかなと思いました。
裏設定⁈
東京のディストピア描写には池袋北口が似合う
東京の描写が渋谷や池袋に広がり、マニアックさを増した。
しかも東京は記憶に新しい集中豪雨のさなか。
言の葉の庭の、想いを重ね合うのを見守る優しさは皆無でただひたすら量感において暴力的である。
雨に降り込められた東京の風景はブレードランナーのロスに通底するが、酸性雨のような化学的な不幸ではなく、物理的な脅威がそこにある。
セカイ(東京)を救うことなく、アイを選び、半ば水没して海に戻った東京に陽射しがあたる風景がキレイだった。
新海誠の根の部分が露呈した傑作だ。
う〜ん...
映像と音楽に集中すれば、話のずぼらさが多少紛れます。
中学〜高校生の恋愛って感じですね。
俺も事あるごとに「あの子かわいいな」って目移りして、その女の子のこと考えてましたもん(笑)
この映画の主人公の必死さもそんなもんです。
終わった後彼女と「....ん?!」って見合わせちゃいました。浮かない顔でした。
見ない後悔と見る後悔、その比重で映画館に行くことを判断されてはいかがでしょうか。
P.S.
あのお姉さんがキッチンで料理するとき後ろ姿移りますが、エイリアンみたいに脚が細長くてびっくらこいた。
浅いな〜
まず、新海作品なのだから絵が綺麗だという点は今更評価点にはならず、むしろストーリーを重視して見たけれど、非常に期待はずれ。
ストーリーが浅はかで色々とツッコミどころがあり、見終わったあとにスカッとした気持ちになれない。
それでも主人公の気持ちに入り込む混むことが出来れば少しは楽しむことが出来たのかもしれないがそれは無い。
ただ身勝手な少年が暴れて終わるストーリー。そこにオカルト的な要素が加わって注目は引くストーリーだけれど得るものは無い。
女の子が人柱になった過程がもう少し表現されていたら。
助けるシーンだって浅はかだし、なんとなく千と千尋の神隠しに似ていたし。
何よりも全体的なストーリーが君の名は。にしか思えない。まして瀧くんや三葉を出す必要は無かった。
そこも、ほかの映画とリンクするジブリ作品を彷彿とさせてなんだかつまらない。
個人的にはオカルトが好きだから、取材のシーンや記事作成のシーンは面白かった。
オカルト的な要素を非現実なシーンとして描くのであれば、少年のシーンはもっと現実的に表現してメリハリをつけて欲しかったけれど、拳銃を持ってみたり、いらないシーンが多すぎて疲れる。
めちゃくちゃな話だよね(笑)
感想
監督の意図には驚かされたが……
どうしても「君の名は。」と比較してしまうと、やっぱり映画としての出来の良さは前作の方が上かなと思ってしまう(個人的には)。映画の面白さはいろいろあるのだろうけど、新海監督の作品は、「これ、最後はどうなるんだ?」という面白さで引きつけていく部分にあるとだと思う(直近の2作は、だけど)。
そういう意味では、予定調和を崩す、という部分はちょっとびっくりしたし、そういう意味では監督の意図はきちんと作品に反映されているのだと思う。しかし、次はこうなるんだろうな、という部分が読めてしまうから、いまいちストーリーに入り込めなかった感じ。
とはいうものの、比較対象がちょっとうまくいきすぎの作品だからこその感想であって、比較対象を映画全般の中で位置づけた場合、満足感のある作品だったと思う。
映像きれい
見るなら4DX
前作ですっかり新海監督のファンになり、期待してみた作品だが、映像美は期待通り。
ストーリー展開は、前回程の仕掛けはなかったが、純粋に楽しめる作品。
特に4DXで見ることにより、より天気に臨場感が得られるので、見るときは是非4DXで見ていただきたい。
また、前作のキャラクターが所々で出て来るのも楽しみの1つ。
そして、声優に合わせて商品を出しているのも驚き。
小栗旬のウイスキーと言えば、メーカーズマーク。こらは小ネタとして良かった。
池袋出身の私としては、新宿、池袋の風景など全てが現実のようで、同じ世界にキャラクターがいるのではと思える親近感を感じた。
美しい世界だ。
肩の力を抜いてみることをお勧めします。
あえて語られていない事や、監督の手法の関係からか語りつくせなかったことがいろいろあって、
深く考えると楽しめないと思う。
たとえば、前者で言えば主人公の家出の理由。
これは監督自身が明確に「この物語で内省されない」と言っている。
つまり、顧みられない、どうでもいいことだという意味。
10代の漠然とした息苦しさとか、家出や喧嘩の理由なんて、
(その当時の当人によっては極めて重要であったとしても)振り返ってみたら大した意味なんてないことがほとんどだし
物語に対して何ら影響を与えないから語られない。
実際、保護観察で島に帰ったあと「当たり前に生活する場所だった」という独白もあるし、
そこ突っ込んで考えても意味はないと思う。
個人的に描写が足りないな、と思ったのは、唯一大人の代表として物語に登場している須賀が、
高井刑事を殴るに至った心理描写。
明日香~→大切なものの順番→そこまでして会いたい人→涙→会いたいんだー!で、
「大人」として丸め込んでしまった自分を解放していくのだけど、明日香を思って泣いたのに、
陽菜を思って泣いてる帆高を止め行くのもよくわからんし、大人代表で仲立ちしに行ったのに
会いたいんだー!一発で自分を取り戻して刑事ぶん殴るのも一足飛びな気がした。
不思議に思うのは「現実的ではない」と批判的な目を向ける人も陽菜が人柱であることに
何の疑問も抱かないところかな。
セカイより陽菜を選んだってのは単に小僧がそう思ってるだけで、
劇中に生きてる人の現実としては冨美さんの「なんであんたが謝んのさ(笑)」に現れる通り
単に自然現象としてそうなったということであって、僕たちが世界を変えましたなんて言ったら、
頭おかしいんじゃなの?っていう結論になると思うんだよね。
劇中を通して、帆高は驚くほど成長しない。
普通は何々はずだ、とか 何々であるべきだ、というべき論にとらわれずに、
ちっとも成長しない独善的でただひたすらにエネルギーを発散して生きる少年の恋を
頭空っぽにして眺めるのが楽しみ方なんじゃないかなと思う。
この監督は映像に音を当てるのではなく、音に映像を重ねてくる監督なので、
そのシンクロがわざとらしいと感じる人もいるし、シンクロ率が心地よくてグッとくる人もいると思う。
ラストを決めあぐねた挙句たどり着いたのが「大丈夫」で、
だから最後に「大丈夫」が割って入ってきてエンドロールが2回あるというみょうちくりんな作りになってるけど、
そこはご愛敬でしょう。
3回も見てしまった
「君の名は。」で有名になる前から新海さんの作品が好きでよく見てました。鑑賞前は正直なところ期待はしていませんでした。前作のヒットでハードルが上がってしまった、賛否が分かれると聞いたので今回は1回見れば十分かなと思っていました。予告編みても天気で2時間もやるのか?陽菜がいなくなるの?といった感じでした。
ところが初めて見終わった後、帰りの車の運転が危なくなるほど重たい余韻とモヤモヤした感覚に襲われました。新海さんの作品はこういったモヤモヤ感が残るような作品が多いことが特徴的ですが、今回は過去一番でした。鑑賞後すぐに小説を購入し、映画では語られなかった部分を知り補填した後日、2回目で泣いてしまいました。今まで映画館で見てきて人生で感動して涙を流したのは今作が初めてでした。
個人的涙が止まらなかった場面は、帆高が「陽菜さんのところに、行かせてくれよ!」と言って上に向かって発砲した後からです。多くの人たちは陽菜が天に昇っていく夢を見たはずなのに知らないふりをして目を背けている。でも帆高だけはそれを認めず、前を向いていた。そのことに気づかされた須賀さんに共感し涙しました。私にとっても忘れていた大切なことを思い出せてくれた重要なシーンです。
もう一つはラストシーンです。もう晴れ女ではない陽菜が変わってしまった街を望みながら祈る姿は涙が止まらなかったです。1日もやむことのない雨の中、毎日祈っていたことを想像すると胸が苦しくなります。
今の世の中も良くするも悪くするも私たち次第ということを忘れてはならない、といった意味も感じ取れました。自分の過去と一部重なる部分があったこともあり心に響く作品でした。RADWIMPSさんの音楽も以前よりストリングスが増えて鳥肌がたちました。そして「天気の子」発表当時から気になっていた英題"Weathering With You"。あなたと共に困難を乗り越える。この作品に込められていました。さらに深く知りたい方には「天気の子」展へ行くことをおすすめします。
この作品は現実主義な人には向かないので低評価も頷けます。
現実的なことよりも人を思いやる、一途な人には響く作品です。
映像、音楽の無駄使い。
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