惡の華
劇場公開日:2019年9月27日
解説
累計発行部数300万部を記録し、テレビアニメ化もされた押見修造の同名コミックを、伊藤健太郎と玉城ティナの共演で実写映画化。山に囲まれた地方都市。中学2年生の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい日常をやり過ごしていた。ある日、憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を衝動的に盗んだところをクラスの問題児・仲村佐和に目撃されてしまった彼は、秘密にする代わりに仲村からある“契約”を持ちかけられる。この日から仲村に支配されるようになった春日は、彼女の変態的な要求に翻弄されるうちに絶望を知り、自らのアイデンティティを崩壊させていく。やがて「惡の華」への憧れにも似た魅力を仲村に感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう。「片腕マシンガール」の井口昇監督がメガホンをとり、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の岡田麿里が脚本を担当。
2019年製作/127分/PG12/日本
配給:ファントム・フィルム
スタッフ・キャスト
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2019年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
押見修造のこの原作に、岡田麿里が脚本、監督が井口昇というのは面白い組み合わせだ。実際、この座組みの妙がしっかり出た作品だったのではないか。押見修造は少年の痛々しさを描くのが上手いし、岡田麿里は女性の欲を生々しく描くのが上手い、井口昇は変態的なものへの感性が鋭い。少しでもこういう題材に対して、冷笑的になったり、斜に構えた態度で描いてしまうと、とたんに薄ら寒い作品になってしまっただろうが、そういう素振りが一切なく原作の魅力を映像にきちんと定着させることに成功していると思う。
伊藤健太郎と玉城ティナも良い芝居をしている。ただ、一点残念だなと思うのは、やはり中学生に見えないことだ。この作品は中学生の物語であることが決定的に重要なので、そこは脳内で「これは中学生なんだ」と言い聞かせないといけない。しかし、それさえ除けば非常に良い実写化だったのではないか。玉城ティナは今後女優としてのかなり期待できると思った。
2023年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
荒々しいが、青春というものをしっかり捉えた面白い作品だった。題名からシリアスな作品だと思っていたが、青春時代を経験している者なら誰でも、心に刺さるシーンが多い、異色ではあるが純粋な青春物語である。青春時代の閉塞感、抑えきれない感情の暴走、未熟な自己表現、異性への想い、など、青春のエッセンスを荒っぽく詰め込んだ、見応えのある作品である。
主人公は中学生の春日高男(伊藤健太郎)。彼は、刺激の少ない街での中学校生活に閉塞感を感じていた。ある日の放課後、彼は、教室で、クラスのマドンナである佐伯奈々(秋田汐梨)の体操着を見つけ衝動的に盗んでしまう。それをクラスメイトの仲村佐和(玉城テイナ)に見られ、黙っていることを条件に、佐和の言うことを聞くように迫られる・・・。
いつもオドオドしていて、背伸びしてボードレールの『惡の華』を愛読書にしていることを自慢している春日、暴言を吐き、暴力的態度で問題児の佐和、見かけは清楚だが内に秘めたものがありそうな奈々。三人の個性がぶつかり合いながら物語は展開していく。
佐和がとんでもない問題児に見えるが、そうではない。何もかもが納得できず、逆らっていく佐和は、既成概念には飽き足らないが、目指すものが見つからず彷徨している。青春時代の若者の心情をストレートに激しく表現している。当時、色々なものにぶつかっては跳ね返され続けていた自分と重なるものがあり、胸に迫るものがある。
一方、春日は、理性、プライドで本当の気持ちを覆い隠していたが、佐和に刺激され、導かれて、彼の心は開放されていく。春日には佐和の思考、価値観が分からない。やがて、それは未知なるものへの憧れとなり、佐和への想いとなっていく。
ラストが素晴らしい。佐和の想いが切ない。春日は佐和を乗り越えなければ次に進めない。大人になれないことを強く示唆している。
本作は、青春の激しさと彷徨をストレートに表現した良作である。
私は押見修造が好きで映画も好きだがこの映画はなんか違う。はっきり言うと役者に中学生感がない。別に約束のネバーランドの実写版みたいな容姿のことじゃない。発言や行動に中学生感がない。ここのせいで違和感がすごかった。中学生特有の人間ぽさがない。ゆえに映画を見てても同じわように緊張しない。漫画はもっと面白かったのに。まぁ大体実写化するとこうなるよな。
叫んでいるだけ。うるさい!
せっかくの世界観を表現できないなら映像にしないでほしい。