風をつかまえた少年

劇場公開日:

風をつかまえた少年

解説

当時、人口の2%しか電気を使うことができず、世界でもっとも貧しい国のひとつと言われるアフリカのマラウイで、少年が風車で自家発電に成功した実話を収め、世界各国で出版されたノンフィクションを映画化。アカデミー賞を受賞した「それでも夜は明ける」で自身もアカデミー主演男優賞にノミネートされた俳優のキウェテル・イジョフォーがメガホンをとり、映画監督デビューを果たした。2001年、アフリカの最貧国のひとつマラウイを大干ばつが襲う。14歳のウィリアムは貧困で学費を払えず通学を断念するが、図書館で出合った1冊の本をきっかけに、独学で風力発電のできる風車を作り、畑に水を引くことを思いつく。しかし、ウィリアムの暮らす村はいまだに祈りで雨を降らそうとしているところで、ウィリアムの考えに耳を貸す者はいなかった。それでも家族を助けたいというウィリアムの思いが、徐々に周囲を動かし始める。

2018年製作/113分/G/イギリス・マラウイ合作
原題または英題:The Boy Who Harnessed the Wind
配給:ロングライド
劇場公開日:2019年8月2日

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(C)2018 BOY WHO LTD / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE / PARTICIPANT MEDIA, LLC

映画レビュー

4.0おもしろい

2024年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

アフリカの過酷な環境を目にして日本は恵まれているんだと強く実感させられた。 実話を元にしている作られている作品なのでリアリティがある。 誰が見ても楽しめる作品だと思うのでオススメ。

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cure0101

4.0正統派の描き方だが、感動的

2022年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

(このレビューは、2019年8月に劇場鑑賞した直後に綴ったレビューです) アフリカ・マラウイで、干ばつの危機を救った少年の実話。 ということで、よくある感動物語とも思ったのですが、題材のユニークさと、舞台がアフリカで、あまり目にすることがないこともあり、鑑賞してきました。 この映画の舞台は、マラウイというアフリカの国ですが、私は、その存在を知りませんでした。Wikipediaを見ると、アフリカ南東部の日本の約3分の1の大きさの国です。 映画が始まると、「BBC」のロゴが出てきて、このサイトの紹介文にも、制作国に「英」と入っていたのを思い出しました。 これは、マラウイの歴史にも関係があって、1964年に独立した国なのですが、イギリス連邦に加盟しているそうです。その辺りから、イギリスが関係してくるのかな、と。 映画が始まると、登場人物たちが、まず英語で話していることに気づきます。 イギリス共同制作なので、世界市場を狙って、英語で話す設定か、と思ったのですが、そうではありませんでした。 イギリス連邦の国のため、公用語として、英語があり、現地のチェワ語を併用しているとのこと。 実際、映画の中でも、公の場では、英語を使い、内輪で話す時は、現地語で話しています。 そういう意味では、ドキュメンタリー風の作りです。 さて、映画の中身なのですが、これは、分かりやすいお話になっています。 2001年に、マラウイは干ばつに襲われます。作物が全く育たない危機を深刻に受け止めた主人公の少年は、学校の図書館でエネルギーに関する本を目にします。 ここで学んだことをもとに、風力発電の仕組みが活用できることに気づき、手近な材料から、風力発電で、モーターを動かし、地下水を汲み上げて、畑の水不足を解消することを思いつく…。 面白いのは、「自転車」の存在です。 作品紹介の写真に、少年の左側に車輪が映っています。 これは、自転車の車輪で、この写真では切れてしまっていますが、ポスターで見ると、上部にある風車と繋がっているのです。 風力発電に、なぜ「自転車」なのか? ここは、ネットで巧く説明されている記事があるので、ご一読ください。 出来れば、予備知識として有益なものなので、鑑賞前に読むことをオススメします。 物語展開として、私は、自主制作映画的な、抽象的表現多めかも、と少々不安がありましたが、そこは、BBCが関係しているだけあって、ドキュメンタリー風ながらも、ドラマのツボはきちんと抑えていて、分かってはいるけど、風力発電の起動に成功するシーンは、胸に迫るものがありました。 ちなみに、この主人公の少年ですが、本名がWikipediaに載っているほどで、世界的に有名な人物のようです。 確かに、10代で、干ばつの危機を救うくらいですから、相当優秀な人物なのは間違いありません。 そこで蛇足をひとつ。 主人公の少年は、図書館で、エネルギー関係の書物と出会う訳ですが、これは、英語の本なのです。 先述のとおり、マラウイは、公用語が英語なので、彼は、その本を理解できた訳です。 アフリカの各国の公用語は、植民地時代の影響から、英・仏・西・葡に併せ、現地語併用が多いそうですが、もし、世界的な影響力のある英語を使えなかったなら、いくら優秀な人物であっても、この奇跡はなかったかもしれません。

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悶

3.5日本は恵まれている

2022年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

痩せていて農作物が収穫できなかったり、海が無くて海産物が獲れなかったりする場所の苦労は大変なんですね。日本はその点でとても恵まれている。(食料自給率は低いけれど) 地球上の国々に暮らす人にとって、「生きるための条件」は平等ではないことをあらためて感じました。

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にこにこどり

3.5教育のもたらすもの

2022年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

知的

マラウィの二宮金次郎? 素直に見れば、無情に土埃を巻き上げ困窮した生活の象徴だった風が、ラスト、天高く駆けぬける。そんな清々しさを感じて、映画館を後にできる。 9.11の頃のマラウィのある地方の現状に驚き、 この映画を撮影した時点でも、マラウィでは未だにあのような乾いた土地があるということに驚く。  なのに、空と大地は、あれほどにも雄大で、神々しくて息をのむ。 たくさんの人に見てもらいたいと思いつつ、 聞きかじった情報が心と頭をよぎり、かき乱されて、絶賛とはならない。 「ちゃんと勉強している。なんで学校に行かなくてはいけないの?」  何人もの不登校生に言われる言葉。  この映画でも思う。学校って何を教えてくれるところ?もちろん、ウィリアム君が”あの本”を理解できる素養は初等科で学んだのだけれども。 「(教育によって)僕は父さんが知らないことを知っている」  父と息子の力関係が逆転する危険性。 教育の名のもとに、民族の知恵≒おばあちゃんの知恵袋と言われる伝承の否定。  知識や知恵を蓄えていたがゆえに尊重されていた年長者。でも、今は誰でも”情報”を入手でき、”知恵”を外部に求めることができる。年長者の権威の失墜。”労働力”となりえない者=無用論。  教育によって、すべてのものを人間が管理できると思ってしまう”万能感””支配感”を得たという勘違い。そして、引き起こした環境破壊。  そして、失われつつある口伝えの文化等、その土地が伝え続けてきたもの。 欧米化した各地で起こったこと。  効率化や利益を上げることが主になってしまったことによる環境破壊。  地下水のくみ上げすぎで地盤沈下したと噂される地に関係する身には、これでこの土地がめでたしで終わるとは思えない。 貨幣が浸透することによって、目先の利益に飛びつかざるを得ない状況。  農園の話が冒頭出てきたけれど、どうなったんだ?洪水の備えは? と、欧米の価値観を非難したくなる。 環境破壊の影響を受けた天変地異に脅かされる生活。 だが、  あの、圧倒的な水浸しを、乾いた土地を目にすれば、江戸時代の日本のようにため池を作る工事が必要なのではないか。バブルの頃はさかんに叩かれていた、インフラ整備のODAも捨てたもんじゃないと、マラウィの”土”がどういうものかも知らないで、考えてしまう。植生・植林を乱されてしまったから、土が水を保有する力を失ってしまったから、ため池を作っても、すぐに干上がってしまうのか…。単作農業は、害虫に弱いと聞いたことがあるような…。 非識字率が高い国で識字率を高める活動を続けてきた方がおっしゃった。  「土地の伝統文化は、その土地ならではの知恵を有している。守り伝えていかなければいけないもの。反面、貨幣はどこの土地にも浸透しているし、環境の変化はどこの地域にも及び、昔のままの生活では立ち行かない。村外部の知識がない、言葉を知らない、文字を読めないがゆえに、搾取され、変化から取り残される危険性から、身と家族を守るために、識字は、学問は必要なの」 要は、得た知識をどう使うかという知恵も必要なのだろう。  夫を罵りたい状況でも、子の前では父を立てる。父と子を繋ぎ続けた母の自己コントロールに心を打たれる。  また、失敗続きの父ではあるが、他の家で餓死者が出るような状況の中で一番先に倒れることの多い赤ん坊はこの家では育っている!!!この父なりに、家族を守り続けた証(自分は食べないで、使用人(お手伝い人?)に食べろと勧める場面あり)。  そして、伝統を否定する母が言う。「昔から、皆で力を合わせてきた。この状況の中で、いつ力を合わせるんだ」 この母にして、この父にして、この子あり。  知識を渇望したウィリアム君。  だが、助け合いの精神を育んだのは、この家族であり、この部族という伝統(親友は次期族長)。  教育とは、点取り競争ではない。偏差値だけで図ることではない。  子どもの好奇心を応援してあげること、この両親のような知恵を身につけることなんだなあと思った。 なんて、考えてしまうが、  映画はマラウィの状況を描くことに時間がさかれる。が、どこかで聞いたようなエピソードの羅列で薄っぺらい。  ”族長”が出てくるが、”族”の解体もあっさり描かれる。  この国の話を別の土地に持っていっても同じ?と思えてしまう。  母の言う「昔は皆で力を合わせて乗り越えてきた」そんな具体的なエピソードがあればよかったのに。 原作未読。  他のサイトのレビューによると、”改悪”している部分もあるようだ。  支援を待つだけの「他者依存」という人もいると聞くが、実際は援助を待つだけでなく、ウィリアム君以外の人も自助努力もしていたはずだ。そんなマラウィの人々の知恵も具体的に描いて欲しかった。  環境破壊についても、教育についても、貧困についても、マラウィについても、一般論ばかりで、監督ご自身の哲学がない。  惜しい。

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とみいじょん

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