バスキア、10代最後のとき 劇場公開日:2018年12月22日
解説 ニューヨークのストリートから時代の寵児となり、20世紀を代表するアーティストのひとりとなったジャン=ミシェル・バスキアの没後30年を記念して製作されたドキュメンタリー。バスキアが注目を集める前の1970~80年代ニューヨークの社会やアートにスポットを当て、初期の秘蔵作品、影響を受けた詩や音楽などを交えながら、アーティストとして世界へ羽ばたいていく姿を映し出す。映画監督ジム・ジャームッシュ、「プラダを着た悪魔」などで知られるファッションデザイナーのパトリシア・フィールド、ミュージシャンのファブ・5・フレディ、グラフィティアーティストのリー・キュノネスらも登場。同じ時代をニューヨークで過ごした「豚が飛ぶとき」のサラ・ドライバー監督がメガホンをとり、天才アーティスト誕生の秘密に迫る。
2017年製作/79分/G/アメリカ 原題:Boom for Real: The Late Teenage Years of Jean-Michel Basquiat 配給:セテラ・インターナショナル
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2019年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
バスキアの活躍した1970年代後半のニューヨークは、ひどい有様だった。70年代はニューヨークで最悪の時期とされ、治安はひどく犯罪都市として名を馳せてしまっていた。しかし、そんな荒れ果てた、混沌とした時代だからこそ、バスキアのような新しいアーティストが生れたのだと、この映画が言っている。 バスキアがこの時代に過ごしたイーストビレッジが治安のせいで家賃も安く、金のない若いアーティストが根城にしていた。そこから新しいムーブメントが起こりアートシーンが活性化した。今のイーストビレッジはジェントリフィケーションの結果、高級住宅地となり、治安はよく住みやすい場所となったが、かつてのような燃えるような活気は失われた。 社会の混乱期には、それを刺激にして映画や文学も含めて優れたクリエイターが生まれる。平和で過ごしやすいけど、アートの活気の失われた街とどっちが好きか。この映画はそういう問いかけをしているんじゃないだろうか。
バスキアのドキュメンタリー、というよりも、バスキアを輩出した1970年代のNYのアングラアートシーンを、当事者たちが振り返る群像劇のようにも見える。なにかをやらかしたいという無名の若者たちがNYのダウンタウンに集まって、そのエネルギーを嗅ぎ分けたかのように現れたバスキアが、次第に注目される存在になっていく。ほぼ、関係者のコメントで構成されているが、当時のリアルを知る彼らがストリートの躍動感を伝えてくれる貴重な証言集として楽しめた。映画側から言えば、ジャームッシュやヴィンセント・ギャロといった才人たちがすごく狭いエリアに棲息していたという梁山泊のような状況にワクワクせずにいられない。
バスキアまでを追って作られたドキュメント作品 まぁ当たり前だけど世に知られる前は無名だが知られた時にはもう既に確立していたバスキアらしさがどんな経緯でできていったかを知ることのできる良作◎ 黒人でもパンクすでにファンクだったって話はやっぱりただのバンダリズム作家ではなかった訳だ(^^) バンバータのプラネットロックととても相性の良い中身です:)
2022年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ー このドキュメンタリー作品の監督は、あのサラ・ドライバーである。 当然、ジム・ジャームッシュは雄弁に、バスキアがNYアンダーグラウンドカルチャーに与えた影響を熱く語っている。- ・ストリートアートの世界からスターとなった20世紀で最も重要な現代アーティストのひとりである、ジャン=ミシェル・バスキア。 だが、彼は27歳でオーヴァードーズにより、早逝してしまった。 ・破綻し、暴力にあふれた1970年代末のN.Y.には、18歳の彼の心を動かす何かがあった。 ・今作では、名声を得る前のバスキアの生活を映し、彼を知る多くの関係者のインタビューを介して、上記を含め、天才誕生の秘密に迫ろうとしている。 <このドキュメンタリー作品は、面白くはあるのであるが、残念なのはジャン=ミシェル・バスキアの姿は頻繁に映像に出て来るし、当時のNYアンダーグラウンドカルチャーについて語る多くの人々のインタビューは面白かったのであるが、バスキア自身の言葉が一切、描かれないのである。 彼自身がNYのストリートアートに注力していた時、何を考えていたのか。 そして、アンディ・ウォーホルにインスピレーションを与えた際に、彼はどう思ったのか・・。 彼自身の肉声が遺されていなかったのかもしれないが、そこが少し残念であった作品である。>