アルキメデスの大戦のレビュー・感想・評価
全534件中、41~60件目を表示
ガッツリ戦争映画ではない面白い作品
太平洋戦争突入前の海軍の話。戦略は戦艦から航空戦へ移る時代となり、次期に製造する船は戦艦か空母か検討している最中が本映画の舞台となる。
邦画では既に太平洋戦争をテーマに多く制作されているが、本作は戦には重きをおいておらず、数学の天才が船の見積もりを計算(戦艦の設計や構造計算含む)し、その実態を暴くことが主旨となり、ガッツりの戦争映画が苦手な人でも楽しめる一作。
現代視点で描く天才青年の斬新な闘い
現代視点で描いた、今まで観たことが無い斬新な戦争映画である。血生臭いシーンは殆どなく、戦争回避のため、戦艦大和の誕生を阻止しようとする天才数学者の姿をコミカルに描いている。次々と現れる難題を主人公が知力で切り抜けていく展開は非常に面白かったが、戦艦大和に寄り添い過ぎて客観性を失ってしまった終盤が惜しまれる。
本作の主人公は天才数学者・櫂直(菅田将暉)。舞台は太平洋戦争開戦前の1933年の日本。日本海軍は、世界に冠たる巨大戦艦か、山本五十六少将(舘ひろし)らが主張する空母を建造するかで対立していた。事態を打開するため、山本少将は、楷に巨大戦艦の建造費精査を依頼する。楷は、機密の壁に阻まれながらも、少ない資料を元に、並外れた知力を振り絞って困難な精査に挑んでいく・・・。
櫂が精査をしていくプロセスは、新製品の開発競争を繰り広げる現代ビジネスドラマのような雰囲気がある。現代視点で戦争に迫っている。菅田将暉演じる櫂は、天才らしいストイックさに加え、粘り強く行動力旺盛であり、反戦への強い想いに溢れている。当時は電卓もない時代であり、鋭い眼光で一心不乱に黒板に向かってチョークを走らせ計算に没頭するシーンは、櫂の並々ならぬ情熱に画面に釘付けになる。
物語は、太平洋戦争末期の海戦で始まり、一気に戦前に遡っていく。史実なので、結末は分かっているが、芸達者な役者陣の熱演で二転三転する展開は緊迫感があり、意外な仕掛けもあり先が読めない。
終盤。物語の主役は櫂から戦艦大和に移っていく。作り手の戦艦大和への想いは理解できるが、これでは、せっかくの櫂の存在感が薄れてしまう。櫂中心の物語で結実して欲しかった。終盤の展開で、史実とフィクションのバランスが崩れ、作品のメッセージが不透明になってしまった。
本作は、現代視点で戦争、戦艦大和誕生を捉えており、ユニークで面白かったが、史実を踏まえたフィクションを描くことの難しさを感じた作品だった。
戦争は、冒頭のような戦い中心のシーンじゃないと面白くないと思ってた...
戦争は、冒頭のような戦い中心のシーンじゃないと面白くないと思ってたけど、
これはこれですごくおもしろかった。
頭脳戦に見入ってしまった。
今まで見たドラマ、映画のなかで一番腹黒い山本五十六だった。 本作で...
今まで見たドラマ、映画のなかで一番腹黒い山本五十六だった。
本作で大和の生みの親、田中泯演じる平井の真意を超えて大和は日本人のロマンとなってしまった。
衝撃的な冒頭シーンと静かな頭脳戦
冒頭シーンは船上の流血が波で流され、兵がバウンドしながら転落。煙を吐いて転覆する様がリアルで胸が痛みました。
予算会議でのやり取り、安い見積の真意‥。
ヤマトが作られる設計者の本当の心の内。
「僕にはね、あの船がこの日本という国そのものに見えるんだよ」深い意味が込められていました。
全てにおいてクオリティが高い作品
(原作未読、ネタバレなしレビュー)
菅田将暉さん演じる櫂直という天才数学者が、海軍の巨大戦艦計画を、数字の説得力で阻止しようという物語。
この作品はこの映画での一番の題材となる大和が沈没するシーンから始まります。CGのクオリティの高さに驚きました。落ちている人間の腕などたくさんCGを使うシーンでしたが特に違和感もなくとても素晴らしいシーンでした。わずか数分でしたが、迫力はとてつもなかったです。このシーンのためだけにも映画館に行けばよかったと後悔しています。
ストーリーは予想を大幅に超えてきました。途中まで見たあとこう思います
「このまま櫂直が活躍したら冒頭のシーンにつながらなくないか?」
ここからがこの映画の本命です。必ず視聴者の予想を超えてくる展開が来ます。テンポもよく画面にしがみつくように見てしまいました。
しかしレビュー自体は星4.2と高いもののレビューのトップは低評価が3つ並んでおりとても目立っています。「旧海軍の再現がひどすぎる」というものです。たしかに当時の海軍オタクや戦争好きの方からすると違和感だらけの作品であるというのはわかります。菅田将暉さんや浜辺美波、舘 ひろしのファンなどで見るという方には特に違和感がありません。自分もレビューをみて、ネットで調べて初めてしりました。
揚げ足取りには最適なミスですが、海軍ファン以外にとっては気にすることない程度です。
予想外の展開、キャストの豪華さ、CGのクオリティの高さ。申し分ない映画だと思います。
過ちは繰り返される
「復興五輪」という名のもとに、「コンパクトな大会」を目指し
7000億の当初予算がいつの間にか3兆を超しそうとか。
パンデミックのさなかにやるべきか、やらざるべきか。
「こういう事態でも大会を開催できる」という姿勢を
世界に見せるために開催しなくてはならない。
あれ?震災からの復興はどこいった?
しかし、開催により際立ったのは選手たちの活躍(=美しさ)。
盛大に盛り上がり無事に終わった後、
あれだけ沢山あった課題問題の検証結果を
一切テレビでは報じていない。
未だ世界は混沌の中。
日本(=大和)はまだ沈んではいない。
これから復興するのか、国威掲揚に踊らされて撃沈するのか。
東京オリンピックの総合演出に問いたい。
この映画最大の見どころ。
「君は非戦派じゃないのか」
「やらずに済めばそうしたいが、時が来たら作戦があります。
真珠湾です。」
「・・・どうしました?」
「君も軍人なのだな。」
現在の日本に山本五十六がいないことを願うばかり。
山本艦長が善か悪かは別として・・・。
軍隊版「半沢直樹」
公開当時に劇場でも観ましたが、ネトフリで配信が始まったので改めて視聴。面白い映画です。
日本の戦争映画といえば、悲惨な戦場、特攻隊、街への空襲そして広島・長崎の原爆投下が描かれることがお約束ですが、本作はそれらを描かずに新しい切り口で作られたエンタメ作品になっていると思います。
冒頭に派手な戦艦大和の戦闘シーンを持ってくることで、一気に物語に引き込まれますし、必要以上に戦争の恐ろしさや悲しさを煽るような場面もないので、戦争映画というよりも「半沢直樹」や「下町ロケット」などの池井戸潤作品を観ている感覚で気軽に楽しめます。ライバルの不正を暴こうとするが圧力や妨害がかかって、万事休すというときに協力者が現れて...そのまんまですね。
気になる点としては、主人公である菅田将暉の演技ですね。終始感情的でオーバーな演技なので観ていて疲れます。周りを固めている田中泯や舘ひろしらのベテラン陣は落ち着きのあるどっしりした演技をしているので余計に悪目立ちします。
また、時代考証や史実についてもツッコミが入りそうではありますが、そこはまぁ、明らかにフィクションなのである程度は割り切って楽しむべきでしょう。
うーん、、、
フィクションであることを差し引いてもなんだかなぁと言わざるを得ない感じの出来
特に主人公の演技にあまりいい感触を抱けなかった。丁寧語でハキハキ早口で喋るのだがこれが実に不自然極まりないのである。頭の回る数学者なんてのはぶつぶつなんかつぶやく変人ぐらいじゃないと似合わない。
そして出てくる数式が胡散臭くて見てられない。。取ってつけたような”数学力”に魅力があまり感じられなかった。
映画館でも見ましたが、Amazon primeで再視聴
戦争映画と思って見ると、あれっ?
って感じになりますが、これも確かに戦争映画ですね。
この作品はフィクションかも知れませんが、きっと当時でも本作の様に、戦争回避を目的に動かれた方はいたんでしょうね。
まぁ、私は浜辺美波さん見たさの視聴組ですが。
【フィクションなのにまるで史実。キャラと物語にのめり込んでしまう秀作】
・2019年公開の日本の太平洋戦争フィクション映画。
・太平洋戦争が始まる直前、「これからの戦争では戦艦よりも航空機主体のものとなるだろう」と考える山本五十六さんは、日本の国家予算を巨大戦艦ではなく空母に費やすべきと主張する。しかし、日本海軍では未だ「巨大戦艦こそ国民に希望を抱かせ、戦争に勝つための要となる」と考えており、巨大戦艦の建造へと進めようとしている。本来なら予算がかかるはずの巨大戦艦の見積もりが、山本五十六さんの母艦案よりも虚偽に安すぎる見積もりを立てられて、巨大戦艦案を通して戦争を推し進めようと画策される。そこで山本さんが偶然出会った櫂 直(かいただし)という数学の天才と呼ばれる学生を海軍少佐に任命し、虚偽の見積もりを暴いて日本国を戦争から守るべく、動いていく という大枠ストーリー。
※原作漫画があるそうですが、私は原作を知らない状態で鑑賞しました。
[お薦めのポイント]
・主人公 櫂 直(かい ただし)のキャラクターに引き込まれる
・櫂さんと田中少尉の凸凹コンビ感が面白い
・物語の落とし方がすごい
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
[物 語]
・久しぶりに「面白い物語を観た」と気持ちよく言える作品に出合いました。鑑賞前は「戦争ドンパチ系」を期待していましたが、実際にはヒューマンドラマ。群像劇に近い?ような流れです。にも拘わらず、非常に面白く感じたのは次の3つの要素でした。
1.櫂さんの軍人嫌いの変人天才設定
2.櫂さんと田中少尉の凸凹なやり取りが微笑ましくずっと見てられる(最初は櫂さんを嫌っていても、だんだんのめり込んでいく田中少尉の姿も素敵)
3.「結局、軍艦大和はどうなったのか」という落とし方
・物語の大筋は結構シンプルで、虚偽の見積もりを暴くために情報を集めようと翻弄するが、そこには幾多の邪魔が入ってうまくいかない、だけのお話。笑 ですが、「究極に嫌なキャラ」が1人もいなかったり、凸凹コンビがガツッとはまっていく成長ぶりだったり、変人天才 櫂さんが機転を利かせて問題を処理していったり、とするーっと最後まで見れてしまうのです。それだけで終わるなら、ただのフィクションドラマ、なのですが、実際の戦艦大和が作られて太平洋戦争で負けた事実、とフィクションをどう擦り合わせていくのか、という部分を非常に気持ちよく落としてくれています。この終わり方がとにかく痛快で切なかったです。
[演出]
・感想は物語とほぼ一緒です。素晴らしかったです。
・1つだけ。菅田さんが没頭しているときに出てくる数式テロップのようなものは雰囲気をアップさせて素敵でした。が、少ない印象だったので、もっとこの辺を大げさにして、ワクワク感をさらに強めてほしかったなぁと思いました。個人的な好き嫌いの枝葉の話なので、どうでもいいですが。笑
[映像]
・ドンパチ系ではないので戦闘シーンなどは極小です。が、その少ないシーンにもかかわらず、かなりリアルに製作されているところは凄いです。制作会社さんがROBOTさんのようですね、さすがです。
[音楽]
・際立って感じたことはありません。
[演技・配役]
・菅田将暉さんと江本佑さん、最強のタッグでした。鑑賞前は正直「すごい!」とまでは思えない主演陣かも…と思っていましたが、鑑賞後は「このお二人でよかった!最高!」に。変人具合を見事に演じた菅田さん、かつての軍人さんの芯の強さと現代人の愛らしさを見事に掛け合わせて共感を生み出してくれた江本さん。この2人だからこそ、のめり込んでスルーっと最後まで観れたのだと思いました。もちろん、そのほかの俳優さんも素晴らしかったです。舘ひろしさんはいわずもがな、山本五十六像ピッタリ。
[全体]
・久しぶりにドンチャカゼロで「面白い映画」を観れた気がしました。フィクションですが、フィクションとは思えない物語の作り方。すごいです。この映画は、戦闘シーンが嫌いな方でも楽しく観れる「戦争映画」と思います。これまでの戦争映画とはちょっと一線を画す物語でお勧めです。ありがとうございました。
#映画 #アルキメデスの大戦 #2019年 #邦画 #日本映画 #フィクション #戦争 #太平洋戦争 #戦艦大和 #漫画原作 #菅田将暉 #江本佑 #三田紀房 #山崎貴監督 #舘ひろし #浜辺美波 #戦闘嫌いでも見れる戦争映画 #物語の落とし方が秀逸
#全体3.7 #物語3.8 #演出3.7 #演技3.8 #配役3.8 #映像3.7 #音楽3.6
武器を持たない男たちの戦い
漫画としても面白いのだけど、一本の映画としての完成度が驚くほど高く期待せずに見たのにも関わらず感動してしまった。
感動というのは悲しくて泣くことではなく、心が震えたと言う意味だ。
巨大戦艦を廃案にするために見積金額の不正を暴くべく、何の資料もないところからの、あっと驚くような展開、そこにきてのどんでん返しと、巨大戦艦の完成にかける皮肉的な結末。
まさに驚きの連続だった。
主人公の天才っぷりがあまりにも非現実的ではあるのだけど、それがどうにでも良くなるようなラストの展開が素晴らしい。
最後の最後までこの戦艦の名前を出さずに、最後に大和という言葉を持ってくるのは映画のクライマックスとして最高でした。
日本という、負けることを知らない国が負けを認めさせるための依代としての存在。
この戦艦が沈む時、日本は負けを認めざるを得なくなるだろう。
それが大和だ。
完全なフィクションなんだけど、悲劇の運命と重ね合わせると、なんとも言えない気持ちになる。
フィクションです。
フィクションです。CGは良かった。
でも歴史観は歪曲されていますね。数十年前に習った歪曲されまうさの歴史のストーリー。
現在は色々解明され、事実が異なります。艦隊至上主義?笑日本が開戦した?笑
真珠湾攻撃より数ヶ月前に、アメリカは日本に攻撃してますよ。日本の映画が歪曲した歴史の自虐映画を作ったらダメでしょ。
当初の高揚感が悪い意味で裏切られる。
まず戦艦大和は撃沈されると。これは事実であり、いかに主人公ががんばっても大和の建造を止めることはできないし、撃沈を逃れることはできない。では、彼は何をしたのかに注意が行くわけ。タイトルからも分かる通り、主人公は天才的な数学的能力で難問を解決するらしい。では、数学で何を求めていくのかというと……わずかな資料をもとに新建造船の本当の見積り金額を暴くという、なんだかスケールダウンしたことになっている。(おそらく原作がそうなのだろうし、見積り金額を積算するといってもそれなりに数学を使っている。冒頭からこの設定ははっきりしているのでネタバレとはいえないと思う)
実は鑑賞するまで、大和建造に関わる技術的な欠陥を指摘して対抗するものだと思っていた。実際、最終的にはそれも含まれているが、主題はあくまで見積り問題。「数学」に思い描く我々の想像の膨らみを見事に踏み潰してくれる。しかも数学という純粋な思考体系が「情緒」に敗北するという絶望的な展開。まあ、それが人間というものだ。
観ている間はそれなりに心を動かされるのだが、観終わってから何か釈然としないものを感じるのは、太平洋戦争を舞台にする作品の故か監督の力量か。監督の力量といえば、山崎貴という監督は基本的に人物の演出は苦手なのではないかと思う。菅田将暉は大人と子供の感性を両方持った人物としておそらく「自ら」演じていて感心するが、ほとんどの人物の描き方はあまりにも類型的。いつか見たあの時のあの演技にしか見えず、新たな感興を覚えない。記号的だ。
ラストの展開は「わー、気持ち悪っ」ってなること請け合い。ほんと気持ち悪いっす。
原作との乖離を感じてしまう
漫画原作を読んだ状態で視聴しましたが、終始櫂直のキャラクターに違和感を感じてしまった。原作では冷静沈着でクールな印象を受けましたが、今回の菅田さんの櫂直はオタク気質で感情的になりやすいという印象でした。もちろんそのような櫂直の解釈があってもいいとは思いますが、私個人としては原作の圧倒的な完璧主義のキリッとした櫂直の方が物語にハマっているように感じました。そこがずっと気になってしまい、しこりの残る結果となりました。
しかしながら戦闘シーン等の大迫力の映像については、とても感動しました。
原作はまだ終了していないので、これからも引き続き読んでいこうと思っています。
全534件中、41~60件目を表示